日本の鉄道貨物輸送と物流:目次へ
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アサヒビール株式会社
2002.2作成 2003.4.29更新 2017.7.1更新開始
<目次>
1.アサヒビールの概要
2.アサヒビールの沿革
3.アサヒビールのトピックス
4.アサヒビールの鉄道貨物輸送
 @北海道工場
 A福島工場
 B吾妻橋工場
 C名古屋工場
 D吹田工場
 E西宮工場
 F博多工場


1.アサヒビールの概要



2.アサヒビールの沿革



3.アサヒビールのトピックス  

◆アサヒ強気!285億円投じ5工場増強http://www.mirai.ne.jp/~shungen/gyoukai.html よ り)  (1996年12月28日付『日本経済新聞』)
 アサヒビールは1997年夏のビール需要期に向け、約285億円を投じ5工場の設備を増強する。アサヒの容器別構成比は缶53%、瓶34%、樽13%の 見通し。 

工場名 投資内容 鉄道輸送駅
北海道工場 ビールから生きた酵母を除去する濾過設備を刷新
福島工場 缶ビールのラインを一系列新設。旧式缶ビールラインを改良、高速化 郡山(タ)
名古屋工場 缶ビールのラインを一系列新設。三菱重工製のラインで毎分2,000缶の世界最高速。樽詰め増強 新守山
茨城工場 缶ビールのラインを一系列新設。旧式缶ビールラインを改良、高速化。樽詰め増強。麦芽とコーンスターチなどの原料を混合煮沸する仕込 み釜1基、発酵タンク12基、貯酒タンク30基を増強
西宮工場 西宮で旧式缶ビールラインを改良、高速化 西宮
博多工場 缶ビールのラインを一系列新設。濾過設備を刷新 竹下


4. アサヒビールの鉄道貨物輸送  

食品メーカー、鉄道輸送へ再シフト (2001年8月31日付『日刊工業新聞』35面)
 アサヒビールの鉄道輸送の比率は2000年度実績で全体量の2、3%程度。しかし2001年度に発売した発泡酒「本生」の生産拠点は一部にとどまるため エリア間輸送には鉄道を用いる。そうした動きもあり、長らく前年割れを続けてきたJR貨物の酒・ビール輸送も2001年春から前年を上回るペースが続く。
 ただし鉄道輸送比率の2、3%という数字は、麒麟麦酒の同1%未満 よりもだいぶ大きい。拙著の麒麟麦酒(株)を参照。

◆鉄道利用運送事業への新規参入 
(2000年3月30日付『カーゴニュース』27頁、2003年2月27日付『カーゴニュース』74頁)
事業者名
拠点駅
利用運送事業者名
許可年月
アサヒカーゴサービス名古屋
新守山、魚津
日本通運
1998.10.16
アサヒカーゴサービス九州
福岡タ
日本通運
2000.2.9
アサヒロジスティクス
札幌タ、東京タ、名古屋タ、大阪タ、福岡タなど14駅
日本通運、札幌通運
2001.12
アサヒロジスティクス株式会社はアサヒカーゴサービス4社の持株会社として2001年3月に設立された。 http: //www.alogi.co.jp/index.html



A福島工場  

◆新規の海コン輸送 アサヒビール 内陸の福島工場へ (1996 年10月14日付『運輸タイムズ』2面)

 アサヒビール(株)原料部は米国をはじめ世界数十か国からビール原料の麦芽を輸入、同社の各工場に調達している。輸入麦芽は工場に近い港に着け、工場に トラック輸送しているが、1996(平8)年初め、福島工場向け輸送を請け負う日本通運(株)から東京〜郡山間をレール利用してはどうかと、同社に提案が あった。

 福島工場はその他工場に比べトラック輸送距離が長い(東京港から福島工場は約250km)。鉄道利用するとコストを20%程度削減できるという内容だ。 福島工場用の麦芽は、20ft国際海上コンテナ(17.5トン積み)で1船17個単位で東京港や横浜港に着く。工場にはこれを2回に分けて輸送しており、 1日の輸送個数は8〜9個。工場で麦芽を取り卸した空の海上コンテナを港に返す輸送も必要だ。

 アサヒビールは日本通運の提案を受けて、鉄道利用について検討を始め、併せて東京港などより工場に近い小名浜港や仙台港を利用した場合のコストとも比較 したところ、鉄道利用の有利さは明らか。このため7月末、東京(タ)〜郡山(タ)間でテスト輸送を実施した。

 麦芽はインナーバッグ入りで海上コンテナに積まれているのでコンテナ自体が多少傷んでも、品質に問題無いが、万一、コンテナに穴や隙間が開くと、そこか ら異物混入の恐れがあるので、トラック輸送時も疵・封印等を絶えずチェックする。この点について、台車積替え作業がコンテナを傷める心配の無いことがテス ト輸送で確認できた。

 だが配送については、テスト時、時間的ロスが問題になった。麦芽は工場のサイロにコンテナをトラックシャーシごとダンプアップして投入するが、この間サ イロのコンベアを稼働する必要があるため、8〜9個のコンテナからの投入を切れ目なく行わないと、モーターを無駄に動かす結果になる。

 郡山(タ)から福島工場まではトラックで片道40分、作業時間を入れると往復1時間40分で、テスト輸送時は到着側の日本通運が3台のトラックで駅〜工 場間をピストン輸送したが、工場到着が遅れて、投入間隔が開くことがあった。しかしこれは、日本通運が配送車を4台に増やすことで解決。

 また輸送日数については、トラックで港から工場に輸送する場合は、発送の2日目朝に工場納入を開始、空コンテナが返るまで3日間なのに対して、テスト輸 送時の鉄道ダイヤは、東京(タ)発8時26分で前日集荷しなければならず、工場納入が発送後4日目、回送まで5日かかった。これを4日に短縮するため、 JR貨物は今月ダイヤを変更。アサヒビールもトラックより1日長い程度なら問題無いとして、今月中旬から鉄道輸送開始の運びとなった。

 JR貨物は20ft国際海上コンテナを輸送する時、緊締装置を特別にずらした台車を利用しており、東京(タ)〜宇都宮(タ)間に昨秋からこのような特殊 台車で編成した海上コンテナ列車≠ェ走っている。今回の郡山(タ)行きも宇都宮(タ)までは同列車利用だ。

 同列車はこれまで、東京(タ)始発で横浜本牧駅に行き、ここで台車を積み替えて宇都宮(タ)に16時50分に到着していたが、JR貨物は今月ダイヤを調 整して始発を横浜本牧に変更、15時38分発で東京(タ)に向かい、宇都宮(タ)着19時20分とした。郡山行きは、2日目の11時16分宇都宮(タ)発 で郡山(タ)着は13時51分。

 アサヒビールの工場作業等の関係で配送は3日目朝だが、その日の19時25分発列車で回送するので、発送後、4日目に空コンテナは返る。

 同社原料部は「中旬に鉄道輸送を開始して様子を見ながら、徐々に輸送量を増やす。福島工場に送る麦芽の80%程度は鉄道利用にしたい」「JR貨物は海上 コンテナ輸送に非常に意欲的だ」と評価。また福島以外の工場については、「どの工場も最寄り港に近いので、今のところ鉄道利用は検討していない」とのこ と。


「アサヒビール」号運転 『鉄道ピクトリアル』第47巻第9号、通巻第642号、鉄道図書刊行会、1997年、88頁
 郡山(タ)〜秋田貨物(東青森経由)にビール臨貨「アサヒビール号」が1997年3月27日・31日運転された。アサヒビール郡山工場からの製品輸送で ある。写真によると、アサヒビールのヘッドマーク付きED75+コキ5500形12両編成であった。


東北地区でビール臨貨を運転 運輸タイムズ、1997年7月7日
 アサヒビール福島工場(東北6県と群馬・栃木・新潟県が販売エリアで、鉄道コンテナ利用は秋田・青森・岩手県向け)が1997年6月30日に5トンコン テナ350個分のビールを郡山タ駅から発送した。
 これにあわせJR貨物は同日、郡山(タ)発東青森ゆきのビール専用臨時貨物列車を運行した。コキ車17両で、5トンコンテナ85個分の輸送力があった。 JR貨物は、他の荷主も含めてビールの出荷が増加する旧盆の8月12日〜15日の間、東北地区でコンテナ列車の区間運転を行なう。また同期間は列車の計画 運休を行なうが、輸送需要が強い列車については運転継続を検討している。


◆JR貨物郡山営業支店 最盛期迎えたビール輸送 安定輸送武器にシェア奪取
 交通新聞、1997年8月5日付、2面
 JR貨物郡山営業支店が「最大のお客様」と自他共に認めるのが、アサヒビール福島工場である。工場があるのは郡山市に隣接する本宮町のJR東北本線沿 い。安達太良山系の清流を生かす形で、1972年に創業。「スーパードライ」を中心に、通好みの「黒生」、地域限定の「福島麦酒」など大瓶換算で年間ざっ と5億本を出荷する。わが国でも3指に入る近代的なビール工場である。

 鉄道によるビール輸送は、国鉄の分割民営化とほぼ軌を一にして87年頃からスタート。トラックの牙城を崩し着実にシェアを伸ばしてきたが、特に営業支店 発足(1995年10月)後の躍進ぶりが目覚しい。レールで運ばれるのは 青森八戸弘前秋田能 代など東北地区主体に、青函トンネルを越えた北海道 、加えてはるか九州だが、本年度(1997年度)の数字を見て も、東北が実に2割近くアップしたのをはじめ、パイ自体は小さいものの北海道が9割近い伸び、九州に至ってはほぼ2倍に増えている。また海上コンテナを 使って海外から運ばれてきた麦芽の原料輸送もJR貨物の役目となっている。

 出荷がピークを迎える7、8月は、オンレールはもちろんのこと、工場から郡山タまで片道10キロほどの道路輸送を担当する日本通運とも歩調をあわせ、輸 送力を増強。コンテナについてもパレットを使ったビール輸送に適合する18D形を使えば、積み卸しはすべてフォークリフトによる作業で済み、手積みが不要 になることから、同形式のコンテナ確保にも努めている。こうしたJR貨物の努力に対する、荷主側の評価はどうか。同工場の青木輝次物流部長は「コストの面 を含め、JR貨物がわれわれにとって使いやすい輸送手段であることは間違いありません。ただ独りビール業界に限らず、現代の企業というのは物流面での効率 化が急務の課題で、そうした面でも当社とJRの双方にメリットをもたらすような輸送方法の改良に、一層の知恵を絞りたい」と語る。


ルポ・郡山(タ)駅 主力はビールなど (『JR貨物ニュース』2001年2月15日号、4面)
 郡山(タ)駅の近くには国内最大と言われるビール工場があり、そこから運ばれてくるビールが構内に設けられた荷捌場でコンテナに積み込まれている。同駅 発の荷物の4分の1がビールで、東北一円に輸送している。年末年始は臨時列車も仕立てられるという。

 このように、ビール会社は駅でトラックからコンテナにビールを積み替えることが普通のようなので、新守山駅構内で頻繁に見られたアサヒビールのト ラックの発着は、ビールをコンテナに積み替えるためであろう。(1997年3月6日新守山駅訪問)



B吾妻橋工場  

 国鉄が開発した粉粒体積卸装置を使うことで、ホキ2200形に必要な設備(着荷主:専用線の真ん中にピットを敷設し、工場内保管設備までの運搬具等)が 不要となり、1970(昭45)年9月上旬から小金井の日本麦芽工業(株)か らアサヒビール(株)吾妻橋工場向けのビール用麦芽に実用することになった。
 ホキ2200形で小金井〜隅田川間を輸送し、隅田川駅構内 で粉粒体積卸装置を使ってトラックに積み替える運用となっている。
(『貨物』1970年11月号、p27-28)



C名古屋工場  

◆1 日コンテナ60〜70個 アサヒビール名古屋工場 東京向けに大量輸送 (1990年6月25日付『運輸タイムズ』7面)

 アサヒビール名古屋工場は、6月上旬から新守山駅発・東京(タ)駅着で、1日60〜70個のコンテナを使って製品(スーパードライ)輸送を行っている。 期間は8月上旬まで。

 東京工場の生産量が関東での需要に追い付かないため工場間輸送しているもので、3年ほど前から需要期には大量のコンテナを使っている。一昨年は1日約 60個、昨年は特殊商品(イースト)を主体に輸送したため個数はやや落ちたが、今年は生産設備の増強で今までにない輸送量となっている。

 トラック輸送を中心としているが、コンテナは安定輸送できるメリットのほか、昼から午後に時間帯を分散して倉庫へ入れることができる(トラックは朝のほ ぼ同一時間)利点もある、とのこと。配送は日本通運(株)が行っているが、着駅頭でコンテナから取り出し、大型平ボディ車に積み替え搬送している。これは 倉庫内の輻輳を回避し、受け入れ作業の平準化にもなっている。

 コンテナはパレット輸送に適合した18Dを中心にC20、C21も使っており、発の日本通運(株)守山支店では大型ウイング車で集荷し、発駅頭でコンテ ナに入れている。



F博多工場  

 アサヒビール(株)九州支店のサービスエリアは、九州・沖縄全域と山口、広島の一部だが、博多工場で作られた余力のある製品を他の配送センターへ供給す る役割も持っている。
 博多工場は、これまで全国シェアの1割だったのだが、2割近く能力アップしたため、多方面への供給が多くなり、JRコンテナは、関東・中京が中心で、関 西はトラックと併用している。コンテナは計画輸送に適しており、特にコストが合えば積極的に利用する。現時点では、関西近辺までがコストはトントンで、緊 急時はトラックを利用している。
(『Monthlyかもつ』1988年11月号、p18)



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