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北旭川駅 〜我が国最北端の物資別適合基地の成立とその変遷〜
2017.2.20作成開始

 人口約35万人を数える道北最大の都市・旭川市。内陸に位置する交通の 要衝で、古くから食品や紙・パルプ産業などの経済活動が活発であり、鉄道貨物輸送が盛んに行われていた。

 市内には旭川本町駅という貨物駅が存在したほか、近文、旭川、新旭川、永山、東旭川といった貨物取扱駅が点在し、旭川四条駅から分岐していた旭川電気軌 道(1973年廃止)も貨物営業を行っていた。北旭川駅はヨン・サン・トオのダイヤ改正で知られる1968(昭43)年10月に開業したが、旭川周辺の貨 物駅集約はすぐには進まず、石油系専用線は昭和50年代になって北旭川駅に敷設された。

 一方で、市内各駅も専用線の貨物取り扱いが国鉄末期まで残った箇所が比較的多く、特に新旭川駅には日本製紙(株)旭川工場の巨大な専用線がJR貨物発足 後も維持されたこともあって、北旭川駅は(趣味的には)相対的に目立たない位置付けにあった側面は否めない。しかし、石油輸送こそ近年廃止されてしまった ものの、30ft級コンテナを取り扱う主要貨物駅として、道北に君臨している。

 国鉄によって、石油、セメント、農産物といった物資別適合基地が整備された最北端の貨物駅であり、コンテナ専用駅となった今後も道北の鉄道貨物輸送の拠 点としての地位は揺らがないであろう。旭川都市圏内の各貨物取扱駅の盛衰にも気を配りつつ、北旭川駅の成立とその変遷を辿ってみたい。



▼北旭川駅の配線図(1984.1.1現在)
[1]p14

▼北旭川駅の年表
年 月
内  容
1968(昭43)年10月
北旭川駅開業
1969(昭44)年10月
日鐵セメント(株)専用線使用開始[1]p12
1969(昭44)年11月
旭川地方卸売市場専用線使用開始[1]p12
1970(昭45)年06月
旭川青果専用線使用開始[1]p12
1971(昭46)年07月
北海道農産品ターミナル(株)完成[1]p13
1974(昭49)年06月
宇部興産(株)専用線使用開始[1]p13
1974(昭49)年12月
旭川駅の専用線扱いを除く貨物取り扱いが全面移行[1]p13
1977(昭52)年10月以降
日本石油(株)、出光興産(株)、東西オイルターミナル(株)、共同石 油(株)専用線が相次いで使用開始[1]p13
1978(昭53)年11月
東西オイルターミナル(株)旭川油槽所(利用元売会社:三菱石油 (株)、コスモ石油(株))が開所
1980(昭55)年10月
ダイヤ改正時に石北本線短絡線の完成
1990(平02)年03月
ダイヤ改正で近文駅の石油列車の発着廃止
1999(平11)年11月
東西オイルターミナル(株)旭川油槽所が閉鎖
2003(平15)年07月
30ft・40ft級対応の総重量24トントップリフター配備(『JR 貨物ニュース』2003年8月15日号、2面)
2003(平15)年10月
苫小牧〜北旭川で30ftタンクコンテナによるLNG輸送開始(『JR 貨物ニュース』2003年8月15日号、2面)
2004(平16)年07月
新日本石油(株)旭川油槽所が日本オイルターミナル(株)に移管され同 社旭川営業所に(『交通新聞』2004年7月15日、3面)
2012(平24)年05月末
日本オイルターミナル(株)旭川営業所が営業終了。本輪西〜北旭川間の 石油列車廃止

▼石油

1984.8北旭川駅 (地図・空中閲覧サービスより)



▼セメント

▼LNG



[1]『かもつ』第34巻第2号、鉄道貨物協会、1984年

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