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コープケミカル株式会社
2017.5.13作成開始


▼肥料出荷のこのごろ (『貨物』1986年3月号、p16)

 コープケミカルは、東北肥料とサン化学が合併し、ラサ工業と日東化学工業のリン酸肥料部門の営業譲渡を受け、1983(昭和58)年4月に設立した会社 である。合併により工場は7工場(釧路、八戸、宮古、秋田、茨城、新潟2)を有し、肥料では最大手のメーカーとなった。

 肥料の出荷量は、70万トンに達し北海道、東北、関東を中心に出荷しており、合併によって工場立地による出荷対応となり、工場からの出荷距離は著しく近 くなった。秋田工場を例に取ると、秋田県と山形県の出荷量の全体に占める割合は、合併前64%だったものが、合併後87%までに達している。これに伴い、 平均出荷距離は合併前215kmが合併後140kmと75km短縮している。同工場の出荷量は11万トンで、出荷距離の短縮は出荷費の削減に大きく貢献し ている。

 従来は貨車による出荷が大半だったが、現在は貨車出荷を取り巻く諸情勢は厳しく、トラックによる出荷が多くなり出荷費用の増大となっている。これらの変 化は引取先の農協にも大きな影響を与えている。

 貨車の場合は引取りに貨物駅がバッファーとなって、農協の都合により小型トラックでピストン輸送でも引取りは可能だったが、トラック持ち込みとなると、 到着した肥料はすぐ搬入しなければならない。大型トラックの入れない倉庫があるなど、事前の調整が必要となっている。メーカーでは、出荷先が先方の倉庫持 込渡となり、細かい出荷が要求される。また工場のレイアウトは、貨物出荷に適合しているためトラックの積込に適したレイアウトに改造が必要である。

 秋田工場は、一部が貨車利用で原料・製品の搬入、搬出されるが、他工場では廃止により大幅な工場レイアウトの改造を余儀なくされている。国鉄再建のため とはいえ、これらの対応を利用者のみの負担となることに割り切れない思いが残る。

 コンテナでの対応という考え方もあるが、製品の特性上難しい現状ではないかと思っている。肥料は貨車で輸送するのが当然の時代から、新しいシステムの構 築が必要となっている。

▼コープケミカル(株) シートパレで作業効率化 化成肥料を鉄道で輸送  (1999年8月2日付『運輸タイムズ』3面)

 肥料業界では7月から新肥料年度が始まり、来年の田植え時期に向けてようやく新年度の肥料が動き始めた。コープケミカルは東日本に基盤を置く肥料の総合 製造販売大手で、鉄道コンテナは宮城県内の各農協に納める水稲用肥料の輸送に古くから利用している。しかし、最近は米の減反やホームセンター等で販売され ている低価格の輸入肥料の台頭により、肥料業界でも価格競争が激しくなっている。このため国産肥料の需要は年々減少傾向で、これに比例してコンテナの利用 も減っており、作業効率化のためシートパレットによる一貫パレチゼーションを行っているが、1998年度実績で鉄道コンテナ輸送は2,300トン余りに留 まっているという。

 全国の農協(JA)向けに水稲用肥料の販売を行う商社には、県経済連を窓口にする「系統」と、各地域JAあるいは農家に商社が直接販売する「商系」と呼 ばれる2種類の流れがあるという。

販売先は東日本が主力
 コープケミカルは系統に属する商社で、東日本を基盤にして各種化成肥料や飼料添加剤、その他化成品等を各地に販売している。工場は東北の八戸や宮古、秋 田、北関東のつくば及び新潟市にあり、鉄道コンテナはこのうち八戸、秋田、新潟の3工場から宮城県の各JAに水稲用肥料を納品する際に、積み付け作業の効 率化と輸送コストの節減のために利用しており、平成10肥料年度では2,312トン(5トンコンテナ約460個強)の肥料を宮城野や古川駅にコンテナで輸 送している。

 同社が鉄道輸送を利用するようになったのは、通常肥料の倉庫入れは東北地方の場合稲刈りの終わる9月〜10月頃から雪の降り始める12月初め頃までの間 に集中してしまうため、トラックだけでは対処し切れなくなったのがきっかけという。

 また同社では肥料を古くはハワム車を利用して、車扱で大量に運んでいたが、近年の減反政策や低価格の輸入肥料が全国のホームセンター等で販売されるよう になってから、国産肥料の需要も減少してきており、貨物の輸送ロットもどんどん小口化が進み、これに比例してコンテナの利用機会も徐々に減っているとい う。

荷姿はビニール袋詰め
 コンテナの荷姿は20〜25、6キロ程度のビニール袋入りで、積付けは全てシートパレットとプッシュプルフォークを使用して一貫パレチゼーション輸送を 行っている。このシートパレットは8年ほど前から導入しているが、パレットサイズの関係でコンテナはC型では小さすぎ、もっぱら18D型または18D型が 調達できなかったとき等に19A型を利用している。

 10年程前には宮城野駅だけで1万トンの肥料が鉄道コンテナで着いていたという。このため当時は県経済連やJR貨物、通運事業者らを交えて協議を重ね て、コンテナの輸送枠等を確保してきた。

 ところが今ではコンテナの利用が当時の4分の1以下に減っており、ここまで減ると鉄道貨物輸送に対する要望は特に無いが、作業の効率化と運送コスト面で メリットがあるうちは、JRコンテナの利用を全く廃止するようなことはないとする。



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