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UMG ABS株式会社 2007.1.14作成  2007.2.12公開

■概要
■沿革
宇部興産 米GE 三菱レイヨン 国内ABS樹脂を統合
スチレン系耐候性(ASA)樹脂事業について(2005年4月12日)
宇部サイコン(株)について
鉄道貨物輸送について
  ▼宇部サイコン(株)そしてUMG ABS(株)宇部工場の鉄道貨物輸送
  ▽鉄道輸送に関する年表
  ▽ABS樹脂 国内出荷量の50%をモーダルシフト目標に UMG ABS(株)宇部工場
  ▼三菱レイヨン(株)のABS樹脂の鉄道貨物輸送
■参考文献


■概要 
商号
ユーエムジー・エービーエス株式会社
資本金
30億円 (2002年4月30日増資)
株主割合
宇部興産(42.7%)、三菱レイヨン(42.7%)、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー (14.6%)
事業内容
ABS樹脂事業(ABS、ASA、SAN、AESの各ポリマーそれらを使用するコンパウンド品、
並びに他の樹脂とのアロイ製品にかかる事業)
本店所在地
東京
工場
宇部市(山口県)、大竹市(広島県)
設備能力
150,000トン(ABS樹脂重合設備能力)
設立年月日
2002年4月 事業統合による設立


■沿革 

宇部サイコン(株)
三菱レイヨン(株)(ABS樹脂事業)
1963年
宇部サイコン(株)設立
(宇部興産(株)とボーグ・ワーナー・ケミカルズ社との合弁)
によりABS樹脂生産開始
日東化学工業(株)にてABS樹脂生産開始
1967年

ABS樹脂事業を日東化学工業(株)より継承
1970年

ABS樹脂生産設備が横浜工場にて完成、稼動
1980年
ASA樹脂生産、販売開始

1983年

大竹工場にABS樹脂生産設備を移転
1985年

多目的乳化重合工場稼動
ASA樹脂生産、販売開始
1988年
ゼネラル・エレクトリック社がボーグ・ワーナー・ケミカルズ社を買収

1992年
AES樹脂製造、販売開始

1993年

SAM樹脂工場稼動
1995年

SAS樹脂生産、販売開始
2002年4月 UMG ABS(株)設立
2005年7月 日立化成工業(株)よりASA系樹脂事業譲受、販売開始


■宇部興産 米GE 三菱レイヨン 国内ABS樹脂を統合 年産16万6,000トン (2001年 7月13日 日本経済新聞 11面) 
 宇部興産、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と三菱レイヨンは、家電製品や自動車部品の材料となるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン) 樹脂の国内事業を統合することで基本合意した。2002年4月にも統合新会社を発足させる。内需低迷やアジア企業の販売攻勢に対応するため、規模拡大で合 理化を進め競争力を高める。
 宇部興産とGEはすでにABS樹脂を製造販売する共同出資会社、宇部サイコン(東京・港)を持つ。3社の事業統合は、この宇部サイコンと三菱レイヨンか ら分離するABS樹脂事業を統合する形で新会社を設立する。新会社の出資比率は今後詰めるが、宇部サイコン側が過半を出資する見通し。
 宇部サイコンの年産能力は10万トンで国内3位。三菱レイヨンは6万6千トンで6位。事業統合後の年産能力は16万6千トンとなり、三菱化学などが出資 するテクノポリマー(東京・中央)の29万トン、東レの29万トン(計画含む)に次ぐABS樹脂メーカーとなる。
 ABS樹脂は家電、OA機器の本体や自動車部品、建材、日用品などに使われる。だが、国内顧客企業の海外移転で内需は年40万トンと10年前に比べ10 万トン減った。各社は一部輸出もしているが、主力輸出先の中国でも世界最大手である台湾のチー・メイ(奇美)グループなど海外企業の販売攻勢にあい収益が 低迷している。
 日本国内では現在、8社がABS樹脂を生産しているが、海外のライバル企業に比べて生産規模が小さく国際競争力が弱い。3社は事業統合で規模を拡大し、 人員削減や原料調達の効率化、生産設備のスクラップ・アンド・ビルドなどを含めた合理化を進めなければ生き残れないと判断した。
 GEはABS樹脂で合計年約70万トンの生産能力を持つ世界有数のメーカー。統合会社はGEがアジアに持つABS樹脂の加工拠点と販売力を活用して事業 基盤を強化する。

日本企業のABS樹脂の年間生産能力
1 テクノポリマー
29
1 東レ
29
3 宇部サイコン
10
3 日本A&L
10
5 旭化成
8
6 三菱レイヨン
6.6
7 電気化学工業
6.5
8 鐘淵化学工業
2.16
(注)万トン、東レは計画含む

ABS樹脂
 アクリロニトリルとブタジエン、スチレンモノマーを結合させた樹脂のこと。加工しやすいうえ、外観が美 しく強度的にも優れた製品に仕上がるなどの特徴がある。
国内生産は60万トン弱。国内需要はこのうち約40万トンで、残り約20万トンを中国などアジアに輸出している。内需は家電、情報機器が減る一方、自動 車、住宅
建材、雑貨向けが伸びている。
 世界需要は現在、約380万トンで、今後も平均で年率5%の成長が見込まれる。特に中国、東南アジアは有望市場で、台湾、韓国の化学会社を中心に中国で
ABS樹脂の生産に乗り出す計画が相次いでいる。


■スチレン系耐候性(ASA)樹脂事業について(2005年4月12日)  http://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/cgi-bin/release_show.cgi?ID=69
 UMG ABS株式会社(本社:東京都中央区、取締役社長:宮本 利雄、ABS系樹脂生産能力:年17万6千トン)と日立化成工業株式会社(本社:東京都新宿区、 執行役社長:長瀬 寧次、ASA樹脂生産能力:年1万5千トン)は、2004年11月8日に発表したスチレン系耐候性(ASA)樹脂事業に関し、日立化成 工業(株)よりUMG ABS(株)への事業譲渡契約を締結するとともに、公正取引委員会への届出も完了し、2005年7月からのUMG ABS(株)による営業開始を目指し、本格的な作業を開始した。
 ASA樹脂はABS樹脂の耐候性を改良するために、ブタジエンゴムをアクリル酸ゴムに置き換えた樹脂で、耐候性、耐薬品性に優れ、かつABS樹脂と同様 な着色性、成形性、強度を保有した熱可塑性スチレン系樹脂の1つであり、自動車外装部品や、建材、屋外用途に使用されている。耐候性・熱安定性に優れるた め製品の長寿命化、塗装工程の省略も可能なことから、環境に適した素材として使用量も拡大している。
 ABS樹脂の大手メーカーであるUMG ABS(株)は、ABS系樹脂の特殊化推進策としてASA樹脂の事業拡大を図っており、一昨年のASA樹脂生産設備の改造と今回の日立化成工業(株)から の事業譲渡契約の締結により、拡販体制が整った。これにより、国際的にもASA樹脂のトップクラスのメーカーとなる見込みだ。
 日立化成工業(株)は、事業の選択と集中の一環としてスチレン系樹脂事業の再編に取り組んできたが、ASA樹脂事業については、原料価格の高騰など厳し い事業環境の下で、これ以上の収益改善は困難であると判断し、UMG ABS(株)に営業を譲渡することにしたものである。
 日立化成工業(株)はASA樹脂事業からの撤退に伴い、基本的にバイタックス®、バイフネン®など現行ASA樹脂製品の製造・供給を停止する。尚、 ASA樹脂は一部顧客の認定を必要とする部材に使用されている場合があり、円滑に切り替えを進めるため、UMG ABS(株)は1年間を目処に必要に応じて日立化成工業(株)に現行製品の製造を委託し、供給を継続する予定だ。製造委託品からUMG ABS(株)製品への切り替えに伴い、バイタックス®、バイフネン®などの商標は、UMG ABS(株)のダイヤラック®、UMGアロイ®などの商標へ切り替わる。

1.事業譲渡契約の骨子
 (1)UMG ABS(株)が譲り受ける事業の内容
    スチレン系耐候性樹脂事業(営業権のほか、知的財産権、生産ノウハウを含む 但し、製造設備・人員は含まない。)
 (2)事業譲渡契約の締結
    2005年2月25日
 (3)UMG ABS(株)による営業・受注の開始
    2005年7月1日


■宇部サイコン(株)について  

▼宇部サイコン(株)の設立と宇部工場建設 [1]
 1962年に宇部興産、ボルグ・ワーナー・コーポレーション(BW)は宇部サイコン設立で合意した。翌1963年6月に宇部サイコン(株)が設立。出資 比率は宇部興産51%、BW49%であった。
 宇部サイコンは、1963年6月30日にセールチルニー商会からサイコラック®の販売権を取得、7月1日から本格的な輸入販売を開始した。セールチル ニー商会は、BWのサイコラック®輸出総代理店であるイギリスのアンカーケミカルの日本代理店として昭和30年代の初めからわが国でサイコラック®ABS 樹脂の市場導入を始め、1961年から本格的な販売を開始し、月間100トンの販売実績を上げるなど、わが国ABS樹脂市場の開拓に主導的役割を果たして いた。さらに1962年に入ると、U.S.ラバーとの提携に合意した住友化学、すでに外資と提携していた三菱モンサント化成、日本ゼオンなどが本格企業化 を前にして輸入販売を開始したため競争は激化したが、セールチルニー商会の販売するサイコラック® は、ABS樹脂市場年間約1,200トンの70%を確保するなど圧倒的な地位を占めていた。
 宇部興産は、当初ABS樹脂を千葉で企業化する計画であったが、BWとの最終的な交渉段階でこれを変更、宇部の東見初炭鉱埋立地に改めた。BW側は、原 料、市場条件などから千葉を主張したが、最終的には宇部地区への立地変更を受け入れた。宇部興産が宇部地区に変更した理由は、土地が安くかつ産炭地域振興 につながり政府系金融機関から低利融資を受けられること、優れた人材の確保が容易であること、ユーティリティなど関連施設が整っていることなど、立地条件 が優れ、製品輸送もセメントタンカーを利用すれば不利とはならないと考えたためである。
 1963年4月、政府の認可を受けると、ただちに工場建設準備に着手し、宇部サイコン発足後BWから数十名の技術者が来宇、その指導の下に本格的な建設 工事を開始した。工事現場では、ブタジエンを重合するマルテックス®生産設備、ABS生産設備をはじめ着色工場、さらには原料タンク、ボイラーなどユー ティリティ設備などの建設がいっせいに開始された。
 そして1964年4月にはほぼ工事が完了して原料の搬入が始まり、6月から待望のサイコラック®の本格的な生産を開始した。

▼宇部サイコン(株)宇部工場の増設 [1]
 わが国のABS樹脂市場は、1965年に1万2,890トンであったものが1970年には12万2,100トンと10倍に拡大するなど、本格的な成長期 を迎えていた。電気器具、車両、一般機器、雑貨などの各分野でABS樹脂がその優れた特徴を生かして安定した市場を確保し始めたためであるが、同時に相次 ぐ参入に伴う販売競争の激化による価格の低下が市場拡大を加速した。
 昭和40年代前半において宇部サイコンのサイコラック®は、加工性とバランスの取れた物性から車両の内・外装、家電製品、ミシン、タイプライター、カメ ラなど一般機器をはじめ、幅広い分野で安定した市場を確保し、1970年の総販売量は2万2,700トンと2万トンの大台に達した。
 同社は1964年に年産5,000トンでサイコラック®ABS樹脂の生産を開始したが、40年代に入ると需要が急増してきたため段階的に設備増強を進 め、1969年には年産3万2,000トンへの増設を完了した。
 主な設備増強の推移をみると、1965年には第2期ABS樹脂設備を建設し能力を増強し、66年にはサイコラック®生産ラインに機械凝集設備を導入して 生産性の向上を図る一方、混練工程を増強するため押出機2系列を新設し、ABS生産能力を年産1万トンに増強した。さらに1967年にはマルテックス®の 新銘柄の生産を開始したほか、ABS樹脂の耐熱グレード生産に備えてプレッシャークッカーを設置するとともに押出機を増設した。
 また1968年には、マルテックス®増設と機械凝集の増設、プレスドライヤー、押出機の増設などが進み、ABS樹脂の設備能力は年産2万トンとなった。 さらに1969年には、連続ソープメイクアップシステムを採用したABS樹脂の第2工場の完成に合わせて、第1工場では特殊グレード生産を開始し、ABS 樹脂の能力は年産3万2,000トンとなった。さらに1970年には、レジンベースカラー改良のため凝固方法を変更して混練時における変色トラブルを解決 した。また小ロット生産用のバンバリーを設置したが、生産能力が不足したため一部外部に生産を委託している。
 第一次石油危機の影響により1975年の生産量は大幅に減少したが、76年に入ると需要は再び拡大に転じたため、同社は設備の更新、新増設、ストックポ イントの増強などを実施した。これによりABS樹脂の生産能力は年産4万8,000トンから5万トンに増加した。
 続いて1977年には、マルテックス®工場の設備を利用して懸濁重合法によるAS樹脂の生産を開始すると同時にマルテックス®設備の更新を行っている。 また着色工場では、バンバリーにパレタイザーを新設して省力化を進めた。さらに78年にはその年に生産を開始したAS樹脂の能力を生産性向上により増強す る一方、ABS樹脂第2工場にラテックスストリッパーを新設、ほぼ全グレードについて残留未反応モノマー問題を解消した。
 1979年12月、同社はAS樹脂年産6,300トン設備を新設、本格的な生産を開始した。また従来外部からの購入に依存していたサブストレートの自給 化のため、U1179の生産を始めたほか、押出機などを更新した。これにより同社のABS樹脂の生産能力は年産6万トンに拡大した。
 その後、1985年6月、AS樹脂設備の204工場を増強し、年産7万2,000トンとなり、1989年9月にはABS樹脂設備を増強し年産9万トンと なった。

▼原料について [1]
 第一次石油危機に伴い宇部サイコンが購入する主原料のアクリロニトリル、ブタジエン、スチレンモノマーの価格は、オレフィン価格の新価格体系移行と同時 に急上昇した。同社は創業以来、安価な原料調達を基本にして2社購買体制としたのをはじめ種々の取り組みを行ってきたが、ブタジエンについては1969年 に丸善石油化学のエチレン30万トン設備が完成、これを契機に宇部興産と丸善石油化学が合弁で設立した千葉ブタジエンが71年1月から生産を開始したた め、全量同社から購入に切り替えた。
 また、1972年にはアクリロニトリルについては、旭化成と日東化学、スチレンモノマーについては、新日鐵化学、三菱油化、出光石油化学の3社購買とし たが、73年7月に出光石油化学徳山工場で火災事故が発生したため、初のスチレンモノマーの緊急輸入を行った。
 第二次石油危機以降、宇部サイコンの主原料であるアクリロニトリル、ブタジエン、スチレンモノマー、さらにはエチレングリコール、EDCなどで大量輸入 が定着した。同社は1976年にアクリロニトリルを輸入したのに続いて、79年にはブタジエン、及びBWからスチレンモノマーの輸入を開始している。

▽原料に関する年表 [1]
年月日
事 項 (アクリロニトリル:AN、ブタジエン:BD、スチレンモノマー:SM)
1964.4.1
主原料基本売買契約締結(AN:旭化成、BD:日本石油化学、SM:三菱油化)、原料の受け入れを開始
1965.3.1
主原料契約更改(AN:旭化成、BD:東燃石油化学、SM:旭ダウ)
1966.4.1
主原料契約更改(BD:東燃石油化学、日本石油化学、SM:旭ダウ、三菱油化)
1967.4.1
主原料契約更改(AN:旭化成、BD:日本ゼオン、SM:三菱油化)
1967.7.-
SM輸入品を保税扱いで購入
1969.5.7
ポリカーボネートを出光石油化学から購入開始
1969.7.1
ポリカーボネートを三菱江戸川化学から購入開始
1969.7.19
ブタジエン船初入港、国鉄タンク車から切り替え本格化
1970.4.1
SMを出光石油化学から購入開始
1970.6.10
MMAを三菱レイヨンから購入開始
1971.4.1
千葉ブタジエンとBDの売買契約を締結
1972.4.1
主原料売買契約締結(AN:旭化成、日東化学、BD:千葉ブタジエン、SM:新日鐵化学、三菱油化、出光 石油化学)
1973.8.20
SMのスポット輸入を開始
1975.10.-
AMSを三井東圧化学から購入開始
1976.3.1
ビストロンからANの輸入を開始
1979.4.20
BD400トンを輸入
1979.12.1
BWと年間3,000トンのSM輸入契約を締結(期間3年)
1981.9.10
BD500トンを輸入
1982.2.1
ポリカーボネートを帝人化成から購入開始
1990.2.15
酸化チタンの輸入開始


■鉄道貨物輸送について  


▼宇部サイコン(株)そしてUMG ABS(株)宇部工場の鉄道貨物輸送

▽専用線概要
専用線一覧表
所管駅
専用者
第三者利用者
作業方法
作業キロ
総延長キロ
記 事
1964年版
宇部岬
宇部サイコン(株)
日本通運(株)
国鉄機
日通機
1.6
(機)0.5

宇部興産線に接続
1967年版
宇部岬
宇部サイコン(株)
日本通運(株)
山陽無煙燃料工業(株)
国鉄機
日通機
1.9
(機)0.5

宇部興産線に接続
1970年版
宇部岬
宇部サイコン(株)
山陽無煙燃料工業(株)
日本通運(株)
国鉄機
日通機
1.9
(機)0.5
1.5
コンテナによる小口扱貨物
も取り扱う。
宇部興産線に接続
1983年版
宇部岬
宇部サイコン(株)
日本通運(株)
国鉄機
日通機
私有動車
1.7
(機)0.4
1.9
コンテナ貨物も取り扱う。
宇部興産線に接続

▽鉄道輸送に関する年表
年月日
事  項
1964.3.-
宇部岬駅に宇部サイコン(株)専用線敷設。(軌道延長1,487m)[2]
1967.3.1
国鉄コンテナー輸送を開始[1]
1968.5.10
工場専用線を設置、国鉄コンテナー輸送を開始[1]
1969.9.1
宇部岬駅が専用線コンテナ基地として開業。東京、名古屋および大阪あてにコンテナ輸送を開始した。[3]
1974年度
荷主別輸送量 宇部サイコン(株) コンテナ:16千トン[3]
1978.1.12
広島鉄道管理局からコンテナー輸送実績で表彰[1]
1987.9.29
国鉄コンテナー輸送20年の歴史に幕[1]
1988.‐.‐
JR専用側線を撤去[1]
※コンテナ輸送の開始時期の記述が文献によって異なる。推理すると、まず1967年にトラックでコンテナ輸送を開始し、68年に専用線におけるコンテナ扱 いを開始、69年に正式に駅として開業した、というようなことなのか・・・。


コンテナ輸送開始[1]

▽ABS樹脂 国内出荷量の50%をモーダルシフト目標に UMG ABS(株)宇部工場 (JR貨物ニュース 2006年3月15日号  4面)
 宇部サイコン(株)、三菱レイヨン(株)のABS部門が事業統合し、2002年に設立されたUMG ABS(株)は、ABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂事業を展開する素材メーカーだ。ABS樹脂はOA機器、車両、家電製品、建材など 私たちの身近にある、様々な製品の外装などに使われている。同社は環境保全、リサイクル・再資源化樹脂への取り組みと共に、鉄道輸送への関心も高く、平成 17年度中国運輸局のモーダルシフト促進優良荷主表彰を受けた。
 UMG ABS(株)宇部工場では、商社やメーカーから指定があった色のABS樹脂を、要望どおりに製造して、カスタマーカラーを作り出す。原料の掛け合わせや配 合で1,000に及ぶ品名(グレード)があり、それに色を掛け合わせるので、何十万色にもなるカラーを作り出している。
 車のモデルチェンジ、携帯電話の新機種発売など、次々に新商品、新モデルが世の中に送り出される。めまぐるしく変化する消費社会で、商品を選択するポイ ントの1つに、色がある。売れなかった商品は、カラーチェンジして売り出す戦略に出ることも−。そうした需要の変化とニーズに応える素材として、汎用とい われるプラスチック樹脂の中でも、ABS樹脂は強度があり扱いやすく、発色の良さが大きな特徴だ。市場の動きから商品の生産量を割り出したメーカーから、 必要なときに必要な分量だけ、受注センターに注文が入る。

▽コスト優先しつつ
 製造は宇部工場と大竹工場、他に外部委託工場(7ヵ所)で行う。関東、関西、中部地区にストックポイント(SP)を設け、取引先側から依頼があった場合 にだけ、SPに在庫を置く。同工場でもトヨタ方式を取り、オーダーがきたら、必要な分量だけ製造し、在庫は置かない生産体制を基本にしている。最低25キ ロ入り1袋から注文を受け、月間生産量は約1万トン、輸出用と国内向けの割合は半々だ。
 輸送手段は、路線便と貸切のトラック便、船、鉄道を使い分け、注文ごとに輸送単価を割り出し、積載効率がよく、コストメリットのある輸送手段を選ぶ。こ こ数年はモーダルシフトへ力を入れ、貸切のトラック便を鉄道や船便へとシフトして、2003年に45%だったシフト率が年々増加している。この実績が認め られ、昨年は中国運輸局から優良荷主として表彰された。
 「鉄道をもっと活用するためにはどうしたらいいかを、まず使う側に教えて欲しいですね。そうしたら、シフトする企業がさらに増えると思いますよ」と受注 センターの坂本明センター長は話した。「今年度は、鉄道とフェリーと合わせて、国内出荷量の50%をモーダルシフトすること−を目標にしてやってきまし た」と物流グループの中村隆夫グループリーダーも意欲的に語る。この結果、 生産量の2割を鉄道輸送す ることに。宇部駅からコンテナ輸送されるのは、メーカーが集中している東京(タ)、越谷(タ)、静岡貨物駅 など関東方面が特に多い が、中部から北海道方面まで広範囲だ。昨年、一昨年 と 年間2,000個を超える実績があった。
 倉庫には一見同じような袋が積み上げられているように見える。が、同じ品名でも中身の色によって品番表示は異なっている。そのためコンテナに積み込む時 には、品名ごと、さらに色ごとに紙テープで仕分けする。着側で取り下ろす際バラバラにならないよう、誤配送防止の対策だ。担当者へは、手積みの際に破袋を 起こさないよう、取扱いの注意も徹底している。
 輸送障害対応について「お客様には納期を買ってもらってます。その信用を崩さないように、迅速に事故後の対応をしてもらい、情報提供してほしいですね」 と坂本センター長は要望した。

▽ABS樹脂の製造工程
 原料は水島、大分、千葉から船輸送で宇部港 に着く(※)。原料を重合してパウダー状にした後混合し、顔料などを加え、熱 処理すると赤や青、黒などの着色されたひも状の樹脂が流れてくる。水で冷やして、細かくカットするとペレットになる。色ごとに1トン用の容器に収まり、そ こから小分けされて25kgの紙袋や500kgフレコン入りの製品となる。工程の中で一番注意するのが、容器の洗浄だ。品質に大きく響くので徹底してい る。別の色のペレットが1粒でも混ざったら、成型後の出来上がりの色が違ってくるからだ。
 同社では、事務機器の部品に使用されたABS樹脂のマテリアルリサイクルシステムを確立した。回収された部品を洗浄し汚れなどを取り除いて、製品に再利 用するリサイクル事業に取り組んでいる。

原料:水島⇒旭化成(アクリロニトリル)、大分⇒新日鐵化学(スチレンモノマー)、千葉⇒千葉ブタジエン(ブタジエン)と予想される。

製品出荷ヤード、JRコンテナ荷役中[1]


▼三菱レイヨン(株)のABS樹脂の鉄道貨物輸送
発駅
発荷主
品名
着駅
着荷主
コンテナ
目撃
備考
大竹
三菱レイヨン(株)
ABS樹脂
刈谷
富士レジン※
18D
19E
98.3.11刈谷
99.3.26刈谷
多数あり

※富士レジン化工(株)  http://www.sankyo-kasei.co.jp/fresin/fresin21.htm
所在地
愛知県西加茂郡三好町大字福田字宮下7番地
設立
1958年4月
事業内容
合成樹脂の着色、コンパウンド、ブレンド
主要取引先
日本ポリケム株式会社
UMG ABS株式会社
三菱レイヨン株式会社
竹本油脂株式会社
三協化成産業株式会社
年商
18億円
生産高
1,000トン/月


参考文献
[1]『宇部サイコン30年史』宇部サイコン株式会社、1994年
[2]『中国支社30年史』日本国有鉄道中国支社、1966年
[3]『広島鉄道管理局この10年史』日本国有鉄道広島鉄道管理局、1976年
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