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 東 亞合成株式会社
2010.7.23作成開始
【目次】
■1. 会社概要
■2.会社全体のトピックス

■3.名古屋工場
 ▼工場概要と歴史
 ▼トピックス
 ▼鉄道貨物輸送について

■4.高岡工場
 ▼工場概要と歴史
 ▼トピックス

 ▼鉄道貨物輸送について

■5.坂出工場

 ▼工場概要と歴史
 ▼トピックス

 ▼鉄道貨物輸送について
■6.徳島工場
 ▼工場概要と歴史
 ▼トピックス

 ▼物流について


<グループ会社>

■7.鶴見曹達(株)
 ▼工場概要と歴史 
 ▼トピックス
 ▼鉄道貨物輸送について
■8.大分ケミカル(株)
 ▼工場概要と歴史 
 ▼トピックス
 ▼鉄道貨物輸送について



■1.会社概要

■2.会社全体のトピックス


◆東亞合成 生産拠点の最適化加速 苛性カリ 名古屋に移転 (『化 学工業日報』2003年1月31日付1面)

 東亞合成は基礎化学品の生産最適化戦略の一環として、苛性カリの生産拠点を高岡工場から名古屋工場に移す。名古屋工場で昨年末、高岡工場と同規模の年産 2万トン設備を建設しており、今春から本格操業を開始する。新設備の稼働に伴い、高岡工場の苛性カリ設備は基本的に廃棄する。同社は昨年からスタートさせ た中期経営3カ年計画の中で、グループ内の生産拠点最適化を課題の一つに掲げている。苛性カリの拠点移転はこの一環であり、高岡工場については接着剤や塗 料用ポリマーなどファイン系製品の生産に特化し、高機能・高付加価値製品を拡充していく。

▽高岡はファイン系特化
 東亞合成の国内生産拠点は名古屋工場、徳島工場、高岡工場及び坂出工場の4カ所。電解製品を中心とする基礎化学品は名古屋と徳島が主力となっているが、 苛性カリ及びカリ関連製品だけは高岡で生産するという体制になっていた。このため、電解のユーティリティなどが充実し、需要先への出荷にも有利な名古屋に 生産を移すことによって、苛性カリ事業の効率化と競争力強化を図ることにした。名古屋工場に建設した苛性カリの設備は苛性ソーダとの併産設備で、昨年12 月に完工した。試験運転などを経て3月から本格稼働させる予定。苛性カリは塩化カリの電気分解で製造するが、名古屋工場には塩化ナトリウムを塩素と苛性 ソーダに分解する電解プラント(苛性ソーダ側で生産能力約8万6千トン)があるため、操業面での相乗効果が発揮できる。

 苛性カリの生産再編を受けて、高岡工場ではファイン・スペシャリティケミカル製品の生産に特化する。同工場では一般用瞬間接着剤「アロンアルファ」をは じめとした各種接着剤のほか、うどんこ病療剤「カリグリーン」や塗料用ポリマーなどの高機能製品を生産しているが、生産体制をさらに拡充する。生産品目は 明らかにしていないが、ファイン関連で新しい生産設備が一つ完工したほか、もう一つの設備も建設中で、「高岡工場はこれから高付加価値製品で運営する」 (福澤文士郎社長)方針だ。

◆クロアリ事業基盤強化 東亞合成 鶴見曹達と生産計画連動 製品融通し稼働最適化 へ (『化学工業日報』2009年8月14日付1面)

 東亞合成は、子会社である鶴見曹達との間で最適生産体制を構築する。生産計画を連動させて、名古屋工場(愛知県)、徳島工場(徳島県)と、鶴見曹達・本 社工場(神奈川県)間でクロールアルカリ製品を融通し、電解設備の効率稼働を図る。同社は今年、徳島で合成塩酸の能力を増強する一方、塩素誘導品5製品の 生産停止を決めるなど、クロアリ事業の大胆な構造改革に着手している。今後、鶴見曹達も巻き込むことで同事業の基盤を一段と強化する。

 国内クロアリ市場では、紙・パルプ加工の漂白向けに使われる液体塩素の需要減などを背景に、電解設備の停止が相次いだ。東日本では05年に関東電化工業 の渋川(群馬県)、06年にセントラル硝子の川崎(神奈川県)の2設備が停止。西日本でも06年に日本製紙ケミカルが岩国(山口県)の設備を停止した。ま た08年には石原産業が日本製紙ケミカルの設備を譲り受けて、四日市(三重県)で塩素・苛性ソーダ自給体制を整備しており、地域ごとの需給バランスは大き く変化している。今後は12年をめどにヴイテックが水島(岡山県)の設備を停止する予定。

 こうしたなか、東亞合成はクロアリ事業の構造改革に着手。副生塩酸の減少から需要増が見込まれる合成塩酸の能力増強を、08年の名古屋に続き徳島でも実 施、9月の稼働開始を予定している。その一方、塩素系溶剤などの生産を12月末に停止することを決め、塩素消費の最大化に向けて誘導品構成の再編を進めて いる。

 鶴見曹達は京浜地区の電解製品メーカーとして地場へ製品を供給するとともに、高純度製品などをグローバル展開してきた。東亞合成はクロアリ事業の一段の 基盤強化に向け、鶴見曹達と生産計画を連動させ、苛性ソーダなどを融通し合うことでグループの電解設備の最適稼働を実現することにした。02年の完全子会 社を契機として会計システムの共通化などを完了しており、これらを土台として仕組みづくりを急いでいる。

 これに先駆け東亞合成は、06年に徳島工場内で鶴見曹達の高純度薬品工場を稼働させている。今年4月には無機高純度品の研究開発と販売機能を移管するな ど、鶴見曹達の資産を有効活用する施策を相次いで具体化している。



■3.名古屋工場

▼工場概要と歴史

 名古屋工場は1928(昭3)年に設立された昭和曹達(株)と、1933(昭8)年に設立された矢作工業(株)を源流に持つ。1944(昭19)年に矢 作工業は、昭和曹達と北海曹達(株)、レーヨン曹達(株)を吸収合併し、東亞合成化学工業(株)が誕生するが、矢作工業と昭和曹達の名古屋工場は名古屋工 業所に統合され、東工場(昭和曹達)及び西工場(矢作工業)となった。当時の主な生産品目は、苛性ソーダ、アンモニア、硫酸、圧縮酸素などである。 ([1]p98)

 戦後は、東洋レーヨン(株)との提携によるナイロン原料分野に進出した。東洋レーヨンは米国デュポン社から基本特許を取得し、工業化を目指した。ナイロ ンは石炭酸から作られるラクタムを主原料に電解水素・アンモニア・硫酸・亜硫酸ガスなどで生産する。また副産物として多量の硫安が回収されるなど、硫安 メーカーとの提携が不可欠であり、同社からの要請に応え、名古屋工場は1950(昭25)年に西工場の敷地内にラクタム・アノン工場を建設した。ナイロン 繊維の需要増と共に増設が続けられ、生産量が日産40トンにのぼった1956(昭31)年には、売上高の42%を占めた。([1]p98-99)

 しかし東洋レーヨンは昭和30年代末からPNC法による自前のラクタム製造を開始し、同社向けのナイロン原料供給は下降線を辿り、1968(昭43) 年、ついに同社向けの供給は停止した。また、ほぼ同時期に競争力を失いつつあった原油法アンモニアの製造も停止し、これに伴い窒素、液化炭酸、ドライアイ ス工場も製造を止めた。([1]p99)

 それに代わり新たに名古屋工場の柱となったのはアクリル酸エステルで、東亞合成が国内で初めて企業化した製品であり、やがて名古屋工場の生産を代表する 基幹製品に成長した。
 名古屋工場では1951(昭26)年に改良レッペ法による月産3トンの我が国初のアクリル酸エステル合成設備を完成させ、1957(昭32)年に同35 トンの商業プラントを建設した。さらに1960(昭35)年には国内唯一のメーカーとして、月産480トンの製造設備が完成した。以後、生産能力の増強に 努め、1971(昭46)年には年産4万トンに達した。
 ただ昭和40年代に入ると新規参入が始まり、同社の独占体制は崩れた。後発各社は、石油化学を原料とし、プロピレンを使う直接酸化法によりアクリル酸を 製造した。当初、プロピレン直接法による製品は品質に問題があったが、大量に電気を消費するアセチレンを使う改良レッペ法に比べ低コストで、次第にシェア を伸ばしていった。([1]p100)

 1973(昭48)年、東亞合成は住友化学工業(株)と技術提携を結んだ。名古屋工場は、同社新居浜工場から供給される粗アクリル酸の受け入れ設備を新 設すると共に、新しくエステル化設備を建設した。1980年代に入ると、アクリル酸エステルの需要が急増し、原料の手当てが課題となったが、1983(昭 58)年の大分ケミカル(株)設立により、住友化学と合わせて2社から粗アクリル酸の供給を受ける体制が整い、これに合わせてエステル化設備を増強し、生 産能力は年産7万1,000トンに膨らんだ。1990年代半ばには生産量が月産9,500トンに達するが、これは生産規模として世界的に見ても屈指のもの となっている。
 昭和40年代初めまで、東亞合成はユーザーとの競合を避けるため、アクリル酸エステルモノマーをポリマーメーカーへ供給する立場を堅持していた。しかし 後発メーカーが積極的にポリマー分野に進出したこともあり、アクリル事業の発展には各種ポリマー製品を企業化することが不可欠の条件となった。([1] p100-101)

 戦前戦後を通じて、名古屋工場の基幹製品として業績を支えてきた苛性ソーダの生産は、戦禍と地震で大きな打撃を受けた。しかし1948(昭23)年には 約半分の設備が復旧し、水銀法月産360トン、隔膜法同110トンの合計470トンの生産が可能となった。その後、増強工事を重ね、1971(昭46)年 には月産7,700トンへと順調に増産を実現した。この間、隔膜法は1957(昭32)年に停止し、隔膜電解槽を鶴見曹達(株)に移設、水銀法のみによる 製造となった。また1958(昭33)年には次亜塩素酸ソーダの製造も開始した。
 1984(昭59)年には水銀法を停止してイオン交換膜法へと転換することになった。設備能力は、将来の塩素需要を見通して月産約7,000トンとし た。尚、塩酸は月産3,500トン、液体塩素は同5,155トン、次亜塩素酸ソーダは同1万868トンである。
 名古屋工場の電解事業は、苛性ソーダの生産量で見ると徳島工場の半分弱で、規模は比較的小さい。これは副生する塩素の有効利用が、現状では難しいためで ある。苛性ソーダと塩素をバランスよく生産するために、副生品の塩素消化を高める必要があり、その一環として1991(平3)年には、ジクロロベンゼン製 造設備を新設した。([1]p102-103)

 硫酸の製造は、矢作工業(株)時代に遡る長い歴史を持ち、1933(昭8)年に日産90トンの硫酸工場を建設した後、1936(昭11)年に第2硫酸工 場、1938(昭13)年には日産100トンの接触式濃硫酸製造設備(ルルギ式)2系列が作られ、第3硫酸工場として操業を開始した。1975(昭50) 年には第4の硫酸工場として、新鋭プラントが完成し稼働した。硫酸工場の生産能力は、その後の度重なる改良により現在では月産3万トン以上にのぼる。
 硫酸は肥料、合成繊維、無機薬品をはじめ、多種多様な化学薬品の原料になっているが、主にナイロン繊維のほか、セロハンや紙パルプの製造用に供給してい る。また伝統の肥料部門は、アクリル酸エステルが戦列に加わった昭和30年代後半になると国際競争力を次第に失い、生産が東南アジア諸国などにシフトさ れ、国内での生産は衰退傾向を辿るようになった。肥料工場として機能していた西工場も様相が変わり、現在は生産のウェートを肥料から硫酸、アクリルポリ マーに移している。([1]p104)

 このほか無機工業製品では、パルプ漂白、染料中間物に使う精製亜硫酸ソーダ、還元剤、医薬品向けの硫酸ヒドロキシルアミンなども製造されている。 ([1]p104)

◆2拠点体制を構築 鶴見曹達 高純度液化塩化水素 名古屋に分工場建設  (『化学工業日報』2004年9月28日付)

 鶴見曹達は、市場シェアの大きい高純度液化塩化水素などの安定供給体制を確保するため、親会社である東亞合成の名古屋工場内に分工場を建設する。現在は 本社工場(横浜市鶴見区)だけで製造しているが、広域災害などの事故発生を想定し、2拠点製造体制を構築することにした。すでに具体的な作業に着手してお り、2年後の操業開始を目指す。高純度液化塩化水素のほかに、高純度塩酸なども分工場での製造品目に加えていく計画だ。

 鶴見曹達は液化塩化水素を1964年に日本で最初に企業化。屋台骨である電解事業の高純度化製品拡充戦略に沿って、一般品から超高純度(純度 99.999%)以上までの各種グレードを品揃えしている。高純度品は半導体用シリコンウエハーの製造工程などに使われ、同社の製品は市場で大きなシェア を握っているだけに、不測の事態などで供給に支障が出た場合のリスクヘッジとして分工場を設ける。

 分工場については、東亞合成から名古屋工場内の土地を借り、そこにプラントを建設する計画。生産能力は本社工場にある設備の半分程度を想定している。第 二段の製造品目として高純度塩酸も検討しており、高シェア製品の分散製造・供給体制で顧客満足度を一段と高めていく狙いだ。

 同社は1934年の創業以来、電解による塩素・カセイソーダと各種誘導品の事業を一貫して展開。規模の点で汎用品だけではコスト競争力を出せないことか ら、高純度品の追求で事業付加価値を高めてきた。高純度液化塩化水素と高純度塩酸はその代表的な製品だが、近年は塩素系のほかにアルカリ製品についても高 純度品を開発、市場投入している。

 アルカリ製品のうち高純度カセイソーダは今年末から来年初頭にかけて本社工場での生産能力を倍増するほか、高純度カセイカリについても設備手直しによる 増強計画を進めており、市場での需要拡大に備えて生産体制を拡充する。



■4.高岡工場

▼工場概要と歴史

 高岡工場の前身は1918(大7)年に設立された北海曹達(株)で、製造品目は電解法苛性ソーダ及び晒粉であった。1944(昭19)年に北海曹達は レーヨン曹達(株)、昭和曹達(株)と共に矢作工業(株)に吸収合併され、高岡工場となった。合併前には、苛性ソーダ、塩化アンモニア、トリクロロエチレ ン(トリクレン)、水銀法苛性カリなどを製造していた。
 太平洋戦争が勃発し、航空機や精密機械工業の規模が膨張するにつれて、「トリクレン」の需要が急増した。それに応えるため、1942(昭17)年に小矢 部川上流の二上地区で工場用地を買収、1944(昭19)年から二神分工場の建設を進めた。しかしこの頃になると、国内の航空機工場は爆撃の被害が続出し 需要も減退したため、トリクレン製造設備の建設を中断して銅シアン化カリの生産を開始した。([1]p115-116)

 戦後は1951(昭26)年に塩素供給源として月産250トンの隔膜法電解設備を新たに設置した。これと並行して、1952(昭27)年に水銀法電解設 備の拡充を行った。その後、1956(昭31)年には隔膜法電解設備一式を鶴見曹達(株)に譲渡した。高度経済成長により苛性ソーダの需要は全国的に伸び たが、主要な需要は太平洋側の工業地帯に集中していたため、北陸から輸送する費用がコストを押し上げた。また小さな生産規模と電力料金の上昇が追い打ちを かけ、高岡工場の競争力は次第に低下していった。
 一方、ソーダの最大の得意先であった東洋レーヨン(株)滋賀工場で人絹製造設備は閉鎖され、出荷量は大きく落ち込んだ。損益は悪化し、毎期4,000万 円から6,000万円という赤字が続いた。
 再建策として電解設備の合理化が行われ、1961(昭36)年3月に第1期工事を完成しており、第2期工事は1964(昭39)年4月に完了した。この 時点で苛性ソーダ生産は月産2,105トンに伸びている。またトリクレン、液体塩素、塩水、ボイラーなどの設備の合理化も進め、塩化アンモニア、塩化ビニ ルモノマー、テトラクロロエチレン(パークロルエチレン)は生産を順次中止した。([1]p116-117)

 新しく企業化したのはピロリン酸カリ、アロンアルファ、重炭酸カリ、メチルクロロホルムなどの製品であるが、中でも工場の再生を促す起爆剤となったの が、1963(昭38)年に製造を開始したアロンアルファであった。これは高岡工場がファインケミカル分野に活路を見出し、同社の知名度を一躍高める代表 的な製品となり、危機的な状況にあった高岡工場は早くも1965(昭40)年下期からは営業利益を黒字に転換することが出来た。([1]p117)

 高岡工場の更なる再建策として、苛性カリを中心とした電解事業への転換と、スペシャリティ製品を主力とする工場への体質転換である。競争力に劣る同工場 の苛性ソーダ生産は1976(昭51)3月末で終息させ、電解設備は苛性カリの単一生産を行うことにした。
 東亞合成は国内に4社ある苛性カリメーカーのうちの1社で、関連製品の重炭酸カリは化学的性質が重曹(重炭酸ソーダ)に似た化合物で、主にタバコ栽培用 の肥料として使われるが、ごあくありふれた製品でありながら、国産品が無く、全量をフランスからの輸入に頼っていた。輸入は1961(昭36)年から始 まっているが、その後海外では用途の拡大や市況の上昇があり、輸入が望めなくなってきたことから、1965(昭40)年、高岡工場に年産5,000トンの 能力を持つ重炭酸カリ工場を建設した。([1]p119)


◆工場ルポ 東亞合成 高岡工場 (『化学工業日報』2003年4月 25日付、5面)
特徴あるファイン製品拡充 カ性カリ撤退で体質転換

 東亞合成・高岡工場は、約65年の歴史を持つ中核事業のカ性カリの生産を中止、高付加価値型ファイン工場への転換に力を注ぐ。カ性カリ関連製品と並んで 主力事業の接着剤を中心とした機能製品の拡充に加えて、農薬や半導体用特殊ガスなど特徴ある製品を軸に工場の再構築を図る。

  ◇

 高岡工場は小矢部川の河口に近い高岡市伏木地区を主力に、分工場として同市二上地区の2ヵ所ある。社宅なども含めた工場敷地は26万5,600平方メー トル、従業員は200人弱の中型化学工場。工場の歴史は東亞合成設立の1942年に先立つ1918年に北海曹達として設立され電解工場が稼働した。そして 1938年に生産を開始したカ性カリが基幹製品として発展を支えた。

 カ性カリは、カナダから輸入する塩化カリを電気分解して塩素との併産によって生産する。石鹸、化粧品、医薬品からアルカリ蓄電池、半導体など多様な用途 を持ち、安定した市場を確保している。高岡工場は物流面のハンディを抱えているが、カ性ソーダ・カ性カリの生産が可能な電解設備を名古屋工場に建設するこ とで物流コストの削減が可能になるとして高岡工場の生産を撤退、名古屋工場に移管した。生産能力は引き続き年2万トン規模を維持するが、これによって現 在、年120億円程度の生産が減少する。

 「今後もピロリン酸カリ、重炭酸カリなどのカ性カリ関連製品は、名古屋工場からカ性カリを持ち込み生産を続ける一方、ファイン・スペシャリティ製品の工 場として再構築を図る」(山下義信執行役員高岡工場長)とする。その代表的製品は瞬間接着剤「アロンアルファ」シリーズで、世界各国に輸出されている。充 填工場は米国、中国など市場に近い拠点を確保しており、原液供給を含めてマザー工場の役割を担う。さらに多機能アクリル系接着剤、光硬化型接着剤、ホット メルト接着剤など製品ラインアップを拡充、引き続き新規投資を検討している。

 機能製品としては、富山地区が有力な生産基地になっているアルミサッシ用塗料、電着塗料など向けのアクリル系ポリマーのほか、無公害性注入土質安定剤を 中心とした土木関連資材などを手掛ける。農薬ではカ性カリを原料にするウドンコ病治療剤(商品名・カリグリーン)に続いて、プロピレングリコールモノ脂肪 酸エステルを有効成分にした殺ダニ剤(同アカリタッチ)を発売している。半導体向け特殊ガスも新規に導入するなど、体質転換に向けての布石は確実に進んで いる。

 一方、大日本スクリーン主導のブラウン管シャドーマスクの製造・販売会社「ディ・エス・ティ・マイクロニクス」が生産拠点を高岡に集約したこともあっ て、二上地区では輸出を中心に高い操業率を維持、安定した生産に貢献している。(佐藤真次郎)



■5.坂出工場



■6.徳島工場

◆液化塩化水素の生産能力を倍増 鶴見曹達 30億円投資 徳島工場に新設備  (『日経産業新聞』2006年6月15日付15面)
 東亞合成子会社の鶴見曹達(横浜市)は、半導体用シリコンウエハーの表面処理などに使う高純度の液化塩化水素の生産能力を7月に倍増する。30億円を投 じ、東亞合成の徳島工場(徳島市)内に年産1,800トンの生産設備を導入。携帯電話やパソコン向けの半導体出荷が堅調で、国内外のシリコンウエハーメー カーが増産していることに対応する。
 徳島の新設備は7月に試運転を始め、11月にも商業生産を開始。同社の高純度品(超高純度品も含む)の生産能力は年1,800トンから同3,600トン になる。

 同社はこれまで鶴見工場(横浜市)だけで生産してきた。徳島工場での生産開始には、旺盛な需要に対応するとともに、地震などで停止する場合に備えて生産 拠点を分散する狙いもある。
 新設備はガス化した塩酸を圧縮・精製して液化塩化水素を製造。純度が99.9%以上の高純度品を、シリコンウエハーの表面に付着した重金属分子を洗浄し て除去する用途で出荷する。また、99.99%以上の超高純度品を一部の高級ウエハー向けに出荷する。

 鶴見曹達は1983年に液化塩化水素の生産を始め、国内メーカーで初めて純度が99.999%に達する製品を製造するなど、付加価値の高い高純度品に力 を入れている。東亞合成のグループ会社で、2002年7月に同社の完全子会社となり上場を廃止した。04年には韓国に販売会社を設立し、韓国市場への売込 みを強化している。

▽液化塩化水素
 塩酸を一度気化させた後、乾燥、圧縮して純度を高めたもの。強い酸性を持ち、金属の溶解など幅広い用途に使われる。純度によって用途が違い、99.7% ほどの一般品は農薬の原料などに利用。不純物を嫌う半導体向けには99.9%以上の高純度品を使う。高純度品は国内向けのほぼ全量を鶴見曹達が供給してい る。

◆東亞合成、無機製品の基盤強化へ合成塩酸を増強 (『化学工業日 報』2009年3月9日付)
http://www.chemicaldaily.co.jp/news/200903/09/01601_2125.html

 東亞合成は、無機製品の事業基盤を強化する。その一環として、徳島工場(徳島市)で合成塩酸を増強する。年産7万トンの能力拡大を図るもので、今年9月 の稼働を目指す。すでに名古屋工場(名古屋市港区)では昨年1月に増強設備が稼働している。副生塩酸発生量とのバランスなどから需要は堅調に推移するとみ て、合成塩酸メーカーとして供給体制を整備する。同社は、基礎化学品事業部で扱っている無機高純度品の研究開発、販売を4月1日付で子会社の鶴見曹達に統 合する計画。今後、東亞合成は無機汎用品について、鶴見曹達・本社工場(横浜市鶴見区)と合わせた3拠点の最適生産体制を生かし展開を強化していく。

◆東亞合成、洗浄剤など塩素系製品4品目の製造停止 (『化学工業日 報』2009年5月27日付)
http://www.chemicaldaily.co.jp/news/200905/27/01601_2121.html

 東亞合成はこのほど、塩素系有機製品の生産品目を絞り込み、徳島工場(徳島市)の関連設備を今年12月末で停止することを決めた。トリクロロエチレン、 1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、塩化ビニリデンモノマーの4品目。国内外の需要が減少し、採算性が悪化していたため、事業再構築を 検討していたもの。塩素消化先として、高純度液化塩素など高付加価値の無機薬品へシフトを加速する。生産停止により、今年12月期決算で18億円の減損損 失を計上する。



■7.鶴見曹達(株)

◆液化塩化水素の輸送 鶴見曹達が専用車両 6トン分 不純物混入しにくく  (『日経産業新聞』2006年7月7日付26面)

 東亞合成子会社の鶴見曹達(横浜市)は液化塩化水素の輸送に、ボンベ10本(6トン分)を一体化した専用車両「チューブトレーラー」を導入する。500 キログラムのボンベ単位で輸送していた従来方式に比べボンベの脱着回数が減り、不純物が混入しにくくなる。今秋をメドにまず韓国向けで使用を始める計画。 輸送品質の向上で、液化塩化水素の拡販につなげる。

 鶴見曹達の投資額は専用の充填設備とチューブトレーラーを合わせて5億円。まず鶴見工場に4台を導入し、韓国の半導体ウエハー向けの出荷を始める。今後 は国内の顧客向けにも導入を検討する。チューブトレーラーのままフェリーに載せて韓国に輸送し、港からは現地のトラック輸送会社がウエハーメーカーまでの 配送を請け負う。

 大口顧客である半導体ウエハーメーカーは製品の歩留まりを良くするため、不純物が混入しない高純度の液化塩化水素を必要としている。チューブトレーラー を使えば、不純物の混入を抑えられるうえ、大量輸送の際にボンベの積み下ろしにかかっていた手間も低減でき、輸送コストの削減につながるという。

 チューブトレーラーの活用は国内の液化塩化水素メーカーで初めて。米国では天然ガスなどの輸送に同様の車両が使われており、鶴見曹達も設備の設計は米国 のメーカーに依頼、自社の安全基準に合わせて改良した。輸送車の価格は1台約2千万円。
 鶴見曹達は純度が99.9%以上の高純度液化塩化水素を、シリコンウエハーの表面に付着した重金属分子を洗浄して除去する用途で出荷している。



■8.大分ケミカル(株)

◆東亞合成、飼料用添加物メチオニン中間原料を事業化 (『化学工業 日報』2009年12月25日付)
http://www.chemicaldaily.co.jp/news/200912/25/01601_2121.html

 東亞合成の子会社である大分ケミカルは、飼料添加物メチオニンの中間原料であるメチル・メルカプト・プロピオンアルデヒド(MMP)について、来年4月 1日付で日本曹達から製造設備を譲り受けて、本格的に事業化することを決めた。24日発表した。大分ケミカルはMMPの原料であるアクロレインを生産して いる。2004年からは、日本曹達が大分ケミカル敷地内に設置したMMP製造設備の運転を受託してきたが、このほど同契約を解消し、設備を取得したうえで MMPを大手需要家向けに販売することにした。




[1]『東亞合成五十年史』東亞合成株式会社、1995年


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