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ステアリン酸カルシウム
2019.1.2作成開始 2019.1.3公開

《目次》
◆1.ステアリン酸カルシウムとは
◆2.ステアリン酸カルシウムのメーカー
◆3.ステアリン酸カルシウムの鉄道貨物輸送
 ◇3−1.発送駅別の輸送
 ◇3−2.到着駅別の輸送
◆4.その他


◆1.ステアリン酸カルシウムとは  

 「ステ アリン酸カルシウム」は、ステアリン酸及びパルミチン酸のカルシウム塩で、欧米諸国では古くから食品に使用されていたが、日本でも近年、食品添加物として 認可され、錠剤の滑沢剤として用いられるようになっているが、鉄道貨物輸送されているのは主に製紙メーカー向けに離型剤として販売されるものである。

 塗工用離型剤とは、紙の塗工層に潤滑性を与えて塗料の流動性を改良し、カレンダーがけにおける平滑性と白紙光沢の発現を助け、汚れを防止する薬剤のこと である。離型剤の種類として、不溶性石鹸、水溶性石鹸、脂肪酸エステル類、ワックスエマルジョン、アミン類が使用されるが、主流はステアリン酸カルシウムで、2〜3種類を組み合わせて使用する場 合もある。

 鉄道貨物輸送では、私有タンクコンテナの「ステアリン酸カルシウム」専用が1971(昭46)年には登場しており、サンノプコ(株)が使用を開始した。


◆2.ステアリン酸カルシウムのメーカー  
 私有コンテナによる鉄道貨物輸送を行っているのは、下記2社である。2社とも様々な紙・パルプ用薬剤を製造・販売しているが、その内の1つとして離型剤 のステアリン酸カルシウムを取り扱っている。
 その他のステアリン酸カルシウムのメーカー(堺化学工業(株)、大日化学工業(株)、太平化学産業(株)…等)も、JRコンテナ等による鉄道貨物輸送を 行っている可能性はあるが、確かめられていない。


サ ンノプコ(株)
(株) 日新化学研究所
本 社所在地
東 京都中央区日本橋本町1-5-6
大 阪府高槻市大塚町1-2-12
設  立
1966 (昭41)年11月1日
1955 (昭30)年2月1日
資 本金
4 億円
7,500 万円
工  場
*名古屋事業所
愛知県東海市新宝町31-1
*高槻本社・工場
大阪府高槻市大塚町1-2-12

*川之江工場
愛媛県四国中央市川之江町1501
そ の他
三 洋化成工業(株)100%出資
苫 小牧市、仙台市、東京都千代田区、
富士市、川之江市に営業所あり


◆3.ステアリン酸カルシウムの鉄道貨物輸送  
 サンノプコ(株)と(株)日新化学研究所は、共に生産拠点が西日本にあり、遠距離の東北地方や新潟地区の紙・パルプ工場向けに鉄道コンテナ輸送を行って いる。
 20ft級の10トンタンクコンテナで輸送されることが多いが、比較的目撃機会は多い。そのため輸送量は少なくはないようだが、タンク車輸送が行われた 実績は無いと思われ、コンテナ輸送によって鉄道輸送が始まったと考えられる(ワム車による輸送はあったかもしれないが…)。

 2社ともステアリン酸カルシウム以外にも様々な薬品を扱っているが、私有コンテナで大々的(?)に鉄道輸送を行っているのは、このステアリン酸カルシウ ムだけなのが特徴的である。同じ製紙用薬品のラテックスは、製造が大手化学メーカーで以前はタンク車によって、現在はISOタンクコンテナによって全国各 地に輸送されているのに対して、 ニッチな分野なためかメーカーも輸送規模も相対的に小さいが、鉄道コンテナ輸送の世界では結構目立つ存在感を放っているのが面白い。

◇3−1.発送駅別の輸送  

@サンノプコ(株)
発 駅
着 駅
着 荷主
形 式
所 有者
借 受者
備 考
名古屋 (タ)
八戸貨物
三菱製紙 (株)?
UT11A-5065
JOT
サンノプ コ(株)
2000.9 一ノ関駅
名古屋 (タ)
秋田貨物
日本製紙 (株)?
UT5A- 28、29
JOT
サンノプ コ(株)
2010.10 秋田貨物駅
名古屋 (タ)
宮城野
大昭和製 紙(株)岩沼
UT11A-5067
JOT
サンノプ コ(株)
1998.4 宮城野駅


2000.9一ノ関駅

2010.10秋田貨物駅

1998.4宮城野駅


A(株)日新化学研究所
発 駅
着 駅
着 荷主
形 式
所 有者
借 受者
備 考
大阪 (タ)
新潟 (タ)
北越紀州 製紙(株)?
UT11A-5082
JOT
(株)日 新化学研究所 2015.10 新潟(タ)駅、2018.1大阪(タ)駅
梅田
宮城野
日本製紙 (株)
UT11A-5099
JOT
(株)日 新化学研究所
1998.4 宮城野駅
百済
八戸貨物
三菱製紙 (株)
UT11A-5076
JOT
(株)日 新化学研究所
1996.12 百済駅


2018.1大阪(タ)駅

1998.4宮城野駅

1996.12百済駅


◇3−2.到着駅別の輸送  

@八戸貨物駅
 百済と名古屋(タ)からUT11A形式で到着している。百済駅(日新化学研究所)発は、三菱製紙(株)八戸工場向けと判明しているが、名古屋(タ)発は 同社向けと確認できてはいないものの、ほぼ確実に三菱製紙向けであろう。

A秋田貨物駅
 サンノプコ(株)所有のUT5A形式を秋田貨物駅で目撃しているため、日本製紙(株)秋田工場向けの輸送と思われる。同工場は板紙がメインで、塗工紙の 生産量が少ないため12ftタンクコンテナによる輸送を行っていると思われる。

B宮城野駅(現 仙台(タ)駅)
 名古屋(タ)(サンノプコ)からUT11A形式で、大昭和製紙(株)(現日本製紙)岩沼工場向けの輸送が行われているのを目撃した。一方、梅田(日新化 学研究所)から宮城野へUT11A形式で日本製紙(株)向けの輸送を目撃した。大昭和製紙との経営統合前のため、石巻工場向けと考えて問題無いだろう。 尚、日本製紙は岩沼工場の塗工紙生産設備を2012(平24)年3月末に停止しており、岩沼工場向けのステアリン酸カルシウムの輸送は消滅したと思われ る。

C新潟(タ)駅
 新潟(タ)駅と大阪(タ)駅で、同一のUT11A形式を目撃している。北越紀州製紙(株)新潟工場向けの輸送と思われる。


◆4.その他  

 名古屋・大阪〜新潟・東北で、鉄道コンテナ輸送を行っているサンノプコ(株)と(株)日新化学研究所だが、西日本の製紙工場向けの輸送は目撃できていな い。王子製紙(株)米子工場や日本製紙(株)岩国工場・八代工場向けなども鉄道コンテナ輸送されていても良さそうな気もする。単に目撃できていないだけか もしれないが、今後の調査テーマである。

 またUT11A形式の老朽化によって、今後はISOタンクコンテナが登場することも予想される。上述の発駅も着駅もISOタンクコンテナの取り扱い可能 であり、製紙工場向けのラテックス輸送がJR形式の私有コンテナから急速にISOタンクコンテナに転換したのと同じような展開になるかもしれない。



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