■鮮魚関係

 九州・瀬戸内
 東北・北海道
 北 陸
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0.車輌の開発
・東京・大阪〜北九州間本線上では最高時速100km/hで走行し更に一般貨物列車
に併結 され支線区(香椎・博多港・西唐津・長崎)へも乗り入れる。
・高速走行が可能な空気バネ付き台車TR203を履いている
・ 100km/hの高速性能を持たす為二軸ボギー車で24d積みであるが,積み荷の積載単位に応じて12d2部屋の構造とした。
・二室構造に対応して応荷重式電磁気ブレーキを備える。
・冷蔵方式はドライアイスである。
 [5]

一. 九州北部各地・下関→東京・大阪への輸送[2]

@ 輸送の開始期(昭和41年)の状況 
列車番号 運転区間 貨車運用 元列車 説明,その他
7050
(ぎんりん)
博多港発
大阪市場行
博多港発大阪市場行(レムフ1車,レサ3車)
長崎発大阪市場行(レサ3両)
西唐津発大阪市場行(レサ1車)
下関発大阪市場行(レサ5両)
現行急送貨
第350列車の
立て替え
出荷波動対策としてレムフ1車,レサ4車,計5車以上の出荷があれば運転するこ ととし,4車以下の場合は既設の急送品列車252列車及び254列車または急送貨(75キロ)第250列車で輸送を確保することとしている。
7052
(とびうお)
長崎発
東京市場行
下関発東京市場行(レムフ1車,レサ7車)
長崎発東京市場行(レサ2車,3車)
西唐津発東京市場行(レサ2車)
博多港発東京市場行(レサ4車)
上戸畑発東京市場行(レサ1車)
現行貨
第3360列車の
立て替え
瀬野八の牽引定数の関係から長崎,博多,上戸畑発の7車を姫路まで輸送力列車 260列車で先送し,姫路→東京市場間100トン牽引とした。またこの列車は長崎→幡生間で75キロ走行車として一般幡生以遠の貨車を連結して輸送力の活 用を図ることとした。
7051〜
 5151
東京市場発
 長崎行
東京市場発博多港行(レムフ1車)
東京市場発博多港行(レサ空7車)
東京市場発西唐津行(レサ空3車)
東京市場発上戸畑行(レサ空1車)

7051レは東京市場→香椎で空車回送。
東京市場から博多港へのレムフに空と成っていないのはどういうことか?
急行列車
第1065
大阪市場発
  下関行
大阪市場発下関行(レサ空)

駅別に見るとその発送量(枠)は以下の如し。

駅名 東京市場 大阪市場 合計 その他備考
下関 7.5車 5車 12.5車
長崎 5車 3車 8車
博多港 4車 3.5車 7.5車
西唐津 2車 1車 3車
上戸畑 1車
1車

専用貨車135両で昭和41年10月輸送を開始。以後北海道→東京市場,三陸→東京市場,北九州・下関地区→名古屋等へ拡大の予定。

A 最盛期の状況

市場駅と漁港駅は以下の如し。
東海道山陽筋市場全駅
駅名 位置 開設日 廃止日 参考・備考
東京市場 汐留起点1.1km S10.2.11 S59.2.1
汐留は品川起点4.1km。
横浜市場 東高島起点
1.2km
S6.1.2 S57.11.15 横浜市中央卸売市場側線で貨物取り扱い開始→山内町<貨> (S19.12.1)→横浜市場<貨>(S19.12.1)
山内町か横浜市場のどちらかの名称変更時期が間違っているようだ。
名古屋市場 名古屋起点
6.1km
S32.2.1 S53.10.1 因みに白鳥駅はS57.11.15に廃止。堀川口はS55.10.1に廃止。
京都市場 梅小路起点
2.8km
S51.3.16 S59.2.1
S51.3.16〜S57.3.31小荷物取 り扱い。山陰本線の高架化により丹波口(M30.4.27)から分離独立。
京都市場として独立したS51時点での京都市場に於ける鉄道貨物シェアは鮮魚で約15%,果実約4%,野菜は2%以下であった。[6]
大阪市場 野田起点1.5km S6.11.8 S59.2.1
S49.10.1〜S57.11.14小荷物取り扱い。
百済市場 百済起点2.1km S39.11.24 S59.2.1

大阪貨物ターミナル 吹田起点8.7km S57.11.15 現存
側線は既に使用せずとのこと。使用実績に疑義。
尼崎市場
尼崎起点1.5km
S42.10.1
S55.10.1

神戸市場
新川起点1.2km
S7.12.16
S59.2.1
S49.10.1〜S57.11.4小荷物扱い。
姫路市場
姫路起点1.5km
S32.3.27
S54.11.1


鮮魚輸送に関係する漁港駅は以下の如し。高速レサ輸送に出てこない臨港線もこれに含めた。

漁港駅大全
駅名 位置 開設日 廃止日 参考・備考
沼津港
沼津起点3.0km
M32.6.15
S49.9.1
蛇松→沼津港S22.3.1改称





下関港 下関起点1.3km
S9.6.11
S17.7.1※ ※下関に併合。構内側線扱い。現在では廃止。
長崎
M38.4.5

コンテナ化され,トラック代行駅化。漁獲量減少で1列車仕立てる貨物量集まらな くなった。
博多港 香椎起点7.8km
S17.7.1

ヤード的な位置づけ
福岡港
博多港起点3.1km
S29.6.15
S60.3.14
日清製粉の飼料基地などあり。廃止後暫時博多港の側線として残存。
福岡市場
博多港起点4.2km
S39.2.1
S57.11.15

上戸畑(信)
T8.2.1

S30.7.15〜貨物取扱
西唐津
M31.12.1


東広島
S44.3.1

とびうお号に牡蛎を積み込んでいた。[2]
東広島は改称されて現在は広島貨タ





境港
M35.11.1


馬潟港
東松江起点1.0km
S5.4.1
S50.4.1

浜田港 西浜田起点2.3km
S30.8.1
S57.11.7
廃止後暫時西浜田の側線として残存か?

B 晩年期の状況

下関での積み込みの様子[2]

西唐津・長崎――┐
   下関市場―幡生―広島(牡蛎)―とびうお号―汐留→東京市場 

国鉄は老朽化で修理費がかさむレサを廃止してコンテナ化を要請している・
市場関係者は国鉄所有のレサが廃止になり私有冷蔵コンテナの利用は運賃値上げになると反対している。
[2]

C 現状など

駅名
記事
参考・その他
長崎

『鉄道ジャーナル7月号』第32巻第7号,通巻381号,1998年,107頁
長崎発鮮魚専用列車の「ぎんりん」号を廃止

 長崎〜梅田間に運行されていた鮮魚専用コンテナ列車の「ぎんりん」(高速貨2050列車)が1998年3月31日限 りで廃止された。「ぎんりん」は国鉄時代を含めて20年以上の歴史があり,1985年3月改正までレサ10000形などの冷蔵貨車で,以後は冷蔵コンテナ を使用して運行されてきた。
 しかし長崎駅に隣接していた魚市場の郊外移転や, 東シナ海以西での底引き網漁業の不振により列車を仕立てるほどの輸送量が無くなり,廃止が決定したも ので, コンテナ化以後,最盛期は5トンコンテナ1日30個以上あったものが,末期は1日10個以下となる日が多く,最終日も9個だった。
 かつては東京の築地市場ゆき「とびうお」号もあり,毎日2本を運行していた長崎発の鮮魚専用列車だったが,これで全廃となった。

下関

JR貨物ニュース 2001年6月1日 第35号 4面  下関駅 鮮魚輸送に ついて抜粋
 下関漁港の水揚げは年間およそ7万トン。フグは約3000トンで全国の8割を占める。フグ以外にも,様々な魚が水揚げされ,下関駅からも,春先はアジ, 秋口はサバなど年間を通じて多くの鮮魚が輸送されている。
 かつては下関漁港駅という駅も置かれた同漁港には,駅が無くなった今も,毎朝コンテナ貨車1車が鮮魚の積み込みに行く。
 漁港内の荷役場で鉄道利用運送事業者によって専用の 保冷コンテナ(下欄参照) に積み込まれた鮮魚は,そのまま下関発80列車となり東京(タ)まで輸送される。(途中幡生駅で福岡(タ)発列車に併結)トラックの横持ちがないためとて もスピーディだ。
 青木営業所長によると,80列車は鮮魚輸送用にセリの開始時刻に合わせて設定されたそうだ。
 下関漁港地方卸売市場のセリは午前1:15開始。80列車なら下関発7:17東京(タ)着翌0:17なので,午前5時開始の築地市場のセリに充分間に合 わせられる。
 漁港からの鮮魚輸送は鉄道,トラック両方を利用しているが,東京直送のものは鉄道,各地域を回るものはトラックと使い分けされているそうだ。
UR1(鮮魚コンテナ)
 コンテナに以下が表記。
下関漁港近代化(協)
下関←→東京
S60.拠点整備
 
 
H12.12現地訪問

レ ス参考

二. 東北・北海道→東京への輸送

@ 輸送の概要

時期
列車
運転区間
使用貨車
備考
〜1960年代
急行急送品列車
青森操→東京市場
レ12000型冷蔵車
北海道からこの列車へ継送か。
1970〜1980年代
急行「東鱗1号」
鮫→大宮操
レサ5000型
11両編成
大宮操から東京市場,横浜市場などへ継送か?
一関から大船渡,気仙沼からのレサを併結。
1990年代〜
コンテナ列車

クールコンテナ






鮮魚輸送に関係する漁港駅は以下の如し。臨港線としかわからない物も含めた。

東北地方漁港駅市場駅大全
駅名 位置 開設日 廃止日 参考・備考


T13.11.10

S58頃に魚市場への専用線は廃止された[7]
宮古港
宮古起点2.0km
S18.11.22
S59.2.1

気仙沼港
南気仙沼起点
1.3km
S31.4.11
S54.11.1

女川港
女川起点1.4km
S33.8.11
S55.8.1
S49.10.1〜S49.9.30小荷物取り扱い。
(旧)石巻港
釜起点2.8km
S28.7.20
S46.4.1
釜は(現)石巻港
塩釜魚市場
塩釜港起点
2.1km
S40.10.1
S53.12.1
S49.10.1〜S51.9.30小荷物取り扱い。





仙台市場
宮城野起点
1.4km
S36.6.1
S49.7.1
市場移転につき廃止。

A 現状その他

2001年3/13 北海道新聞
JRコンテナで魚介類を関西へ 道漁連テスト事業
 道漁連は新年度、道産の新鮮な魚介類をJRの冷蔵コンテナで関西方面に出荷、販路拡大を目指すテスト事業を行う。これまで、ホッケやサンマなど道産の 「大衆魚」の遠隔地への出荷は、鮮度維持とコスト低減が課題で、JR便の利用で課題を解決、実用化につなげたい考えだ。
 ホッケやサンマ、イカなど道内での水揚げ量が比較的多く、手軽な価格の「大衆魚」の消費拡大が狙い。これまで関西へは、一般的な流通ルートがなく、道漁 連は1998年度から、道の補助を受けて、関西方面へ道産鮮魚を試験出荷するなどして、消費拡大を進めてきた。
 しかし、トラック輸送は運送料が安い反面、水揚げから消費地まで4日かかり、航空便では2日で着くがコスト高が悩みだった。JRコンテナを利用した場 合、水揚げした鮮魚を選別、集荷して出荷、3日目には店頭に並ぶ。運送料は試算では、航空便より3割程度安くなる見込み。98年度から本年度までの出荷量 は20t前後だったが、新年度は40tを目指す。道漁連は、調理法をPRするカード配布や関西の量販店でのキャンペーンなど消費拡大策も併せて実施し、道 産魚介類の定着を図る。

 20トンという数字は小さい。1日当たりの数字だろうか? 5トンコンテナで4個分だからなぁ。

三. 北陸への輸送 

伏木・氷見・富山港・直江津辺りにもあったかもしれぬが未調査。ご教授願いたい。


=講評=

現在,東京市場,大阪市場はいずれも廃止され線路はつながっていない。またその後整備されたと思われる百済市場,名古屋市場,横浜市場などもしかり である。但し大阪貨タに隣接する市場には線路がつながっている(ように見える)し,東京市場も有明への移転問題などで事態は不透明であるがモーダルシフト との絡みで何か出来ないであろうか?

臨港線の現状も廃止されたという状況に余り変わりはないが下関は未だ残っているし,博多も近くの福岡貨タまで線路は延びてるし長崎も未だ貨物取扱駅 である。しかし,下関の鮮魚取扱量は微々たる物のようで,長崎は既にトラック代行駅であるし,西唐津などは鮮魚輸送が復活したとしても貨物の取り扱いを復 活するほどではないであろう。帰り荷の都合さへつけば,白いレサの復活は一部区間で可能ではと思わざるを得ない。九州→東京を高速で結ぶコンテナ列車にレ サが併結されている姿を見たくもあるではないか。

しかしレサ10000の保冷は棚に置いたドライアイスである。このご時世にドライアイスもないであろうが,まぁ冷蔵装置など取り付ければ済む話しで事の本 質ではない。現実には市場駅への専用線を引かずに済み,既存のコンテナ高速列車網に載せることが出来,輸送単位も小ロット化できる5dクールコンテナがベ ストなのである。願わくは少しでもクールコンテナを使った輸送が増えることを。


[1]「高速鮮魚特急と高速コンテナ特急」長木義信『鉄道ピクトリアル』
[2] 『鉄道ジャーナル』1984.2月号 特集●国鉄輸送合理化と"59.2"改正
[3]『国鉄全線各駅停車』@〜I 宮脇俊三・原田勝正編集委員 小学館 昭和58年4月〜昭和59年2月
[4]「JR貨物ニュース」関連記事
[5]村井健三「新らしい高速冷蔵車」『鉄道ピクトリアル』1967.2
[6]宮脇俊三編著『鉄道廃線跡を歩くVI』JTBキャンブックス1999.2
[7]『JR私鉄全線各駅停車2』A東北650駅 宮脇俊三・原田勝正編集委員 小学館 1993年5月

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