日本の鉄道貨物輸送と物流: 目次へ
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大竹駅 〜化学・繊維・紙 パルプなど多数の大手メーカーを荷主に抱える中堅貨物駅のバラエティに富んだコンテナ輸送の魅力〜

2010.11.14作成開始 2010.11.22公開
<目次>
はじめに
大竹駅の1日平均貨物発着トン数の推移
大竹駅の鉄道貨物輸送と荷主に関連する事項の年表
大竹駅の専用線概要の推移
大竹駅の貨物取扱の概要
大竹駅の主要荷主の鉄道貨物輸送
 三 井化学(株)岩国大竹工場
 ダ イセル化学工業(株)大竹工場
 帝人(株)岩国事業所
 東 洋紡績(株)岩国事業所
 三菱レイヨン(株)大竹事業所
 フマキラー(株)広島工場
 日本製紙(株)岩国工場
 日本大昭和板紙(株)大竹工場
大竹駅に到着する輸送など
 三徳化学工業(株)宮城工場
 (株)クラレ 新潟事業所



■はじめに  
 大竹駅は鉄道貨物輸送に興味を持つ人間にとっては、一般的に馴染み深い駅になるのではなかろうか。同駅は30ft級コンテナやISOタンクコンテナも 取扱う主要貨物駅であるし、大竹から岩国にかけて広がる巨大な工場群、石油コンビナートの存在もあり、大竹≠ヘ隣の岩国と並ぶ工業都市としてのイメージ が強い。ただ意外にも大竹市の人口は約2万9千人(2010年)程度と市としては小さい部類に属し、岩国市の人口が約14万8千人(2010年)なのと比 べても随分と差がある。ただ鉄道旅客輸送を比較すると、大竹駅の乗車人員が約4,000人前後に対し、岩国駅のそれが6,000人前後と人口差ほどの差は 無いこともあるし、大竹・岩国の両駅とも鉄道貨物輸送の拠点として機能していることもあって鉄道的には大竹の都市としての小ささを感じることは少ないのか もしれない。むしろ鉄道貨物的には専用線扱いだけの岩国よりもフロント扱いでISO規格コンテナの取り扱いが可能な大竹の方が主要駅と言えよう。

 さて、そんな大竹駅の鉄道貨物輸送の魅力は、何と言ってもその雑多さ≠ノあると思われる。三井石油化学工業(株)の長大な専用線とそこからのワキやタ キに よる輸 送、ダイセル 化学工業(株)の駅 頭におけるタンク車の荷扱い、興亜石油(株)からの石油タンク車輸送、などは同駅を特徴付けるものとして姿を消してしまった今でも強い印象が残っている し、コ ンテナ 輸送だ けになってしまった現在でも 様々なISOタンクコンテナ、JR規格の私有タンクコンテナが駅構内には溢れ、昔も今も代表的な荷主であり続ける三井化学(株)、日本製紙(株)岩国工場 の専用線 発着 以外の膨大な輸送、繊維メーカー各社の化成品輸送など大手メーカーを荷主に抱えた大竹駅の輸送はバラ エティに富んだ魅力溢れるものとなっている。

 荷主以外の面では、大竹駅はコンテナ取扱い基地が海側と山側の2ヵ所に分かれているという駅の構造に複雑さを抱え、それが同駅の雑多さに拍車をかけてい るような気もする。
 周辺の広 島(タ)駅や新南陽駅が着発荷役線化された近代的な貨物駅となったのと比べると、大竹駅はトップリフターの導入はされたものの駅の構造が非効率という根本 的な 問題を抱えていると言えるわけで、今後抜本的な改良が必要になってくるのかもしれない。
2007.9 大竹駅(海側コンテナホーム)

■大竹駅の1日平均貨物発着トン数の推 移  (単位:トン)  
年  度
発 送
到 着

年  度
発 送
到 着

年  度
発 送
到 着

1981 (昭56)
840
118
958
1991 (平03)
1,238
137
1,375
2001 (平13)
709
147
856
1982 (昭57)
849
113
962
1992 (平04)
1,234
133
1,367
2002 (平14)
700
166
866
1983 (昭58)
862
103
965
1993 (平05)
1,191
157
1,348
2003 (平15)
649
162
811
1984 (昭59)
932
1,047
1,979
1994 (平06)
983
144
1,127
2004 (平16)
652
172
824
1985 (昭60)
899
99
998
1995 (平07)
1,025
174
1,199
2005 (平17)
705
183
888
1986 (昭61)
812
80
892
1996 (平08)
1,080
225
1,305
2006 (平18)
749
209
958
1987 (昭62)
874
64
938
1997 (平09)
1,010
203
1,213
2007 (平19)
723
214
937
1988 (昭63)
913
80
993
1998 (平10)
940
189
1,129
2008 (平20)
605
191
796
1989 (平元)
972
91
1,063
1999 (平11)
783
150
933




1990 (平02)
1,039
111
1,150
2000 (平12)
772
145
917




(『広島県統計年鑑』より作成)

 下記の貨物取扱の概要にもあるが、発貨物に比べ着貨物が少ないことがよく分かる。また国鉄時代末期に比べ、1990 年代初頭は30%程度発送量が増加している。また到着量も徐々に増加していったことが分かる。ただ1990年代末から発送量が大きく落ち込んでいて、 2000年代半ばに回復傾向にあったもののリーマンショックの影響か、2008年度は前年に比べ15%程度減少した。



■大竹駅の鉄道貨物輸送と荷主に関連す る事項の年表  
年月日
事  項
1926 (大15)年05月
岩国駅に帝国人造絹糸(株)〔現、帝 人(株)〕の専用線 が敷設(1965年7月現在の軌道延長 3,522m)([1]p307)
1927 (昭02)年02月
帝国人造絹糸(株)岩国工場が開業。〔帝人(株)webサイトよ り〕
1933 (昭13)年05月
岩国駅に山陽パルプ(株)〔現、日本製紙(株)〕の専用線が敷設 (1965年 7月現在の軌道延長 3,282m)
([1]p307)
1935 (昭10)年06月
新興人絹(株)〔現、三 菱レ イヨン(株)〕の大竹工場竣工〔三 菱 レイヨン(株)webサイトより〕
1945 (昭20)年05月
興亜石油(株)麻里布製油所が完成するが翌日被災。(JX 日鉱日石エネルギー(株)webサイトより)
1950 (昭25)年06月
大竹駅に日本通運(株)の専用線が敷設(1965年7月現在の軌道延長 1,584m)([1]p307)
1950 (昭25)年08月
興亜石油(株)麻里布製油所が操業再開。(JX 日鉱日石エネルギー(株)webサイトより)
大竹駅に日本燃料(株)の専用線が敷設(1965年7月現在の軌道延長 1,318m)([1]p307)
1952 (昭27)年06月
南岩国駅に東洋紡績(株)の 専用線が敷設(1965年7月現在の軌道延長 2,063m)([1]p307)
1956 (昭31)年09月
大竹駅に三井石油化学工業(株)の 専用線が敷設(1965年7月現在の軌道 延長 3,433m)([1]p307)
1956 (昭31)年10月
大竹駅に極東工業(株)の専用線が敷設(1965年7月現在の軌道延長 105m)([1]p307)
1958 (昭33)年04月
三井石油化学工業(株)が 岩 国コンビナート操業開始(エチレン2万トン規模)([3]p19)
1960 (昭35)年02月
大竹駅に日本鉱業(株)の専用線が敷設(1965年7月現在の軌道延長 1,650m)([1]p307)
1961 (昭36)年01月
大日本セルロイド(株)〔現、ダ イセ ル化学工業(株)〕が大竹に大日本化成(株)を 設立し石油化学に進出
ダイセル化 学工業(株)webサイトより)
1963 (昭38)年11月
大竹駅に三井石油化学工業(株)の専用線が敷設(1965年7月現在の 軌道 延長 318m)([1]p307)
1964 (昭39)年11月
大竹駅に三井石油化学工業(株)の専用線が敷設(1965年7月現在の 軌道 延長 2,213m)([1]p307)
1965 (昭40)年05月01日
大竹駅にコンテナ基地開設。東京、名古屋あてコンテナ輸送を開始した ([2]p119)
1972 (昭47)年03月15日
ダイヤ改正で沼津発大竹着の優等列車を設定した([2] p118)
1974 (昭49)年
コンテナの取扱の増加に対応し積卸場等の整備を行ったが、用地買収難航 のため引上線の整備が遅れ
計画は縮小を余儀なくされた([4]p108)
1980 (昭55)年
発着コンテナの増加に対応し積卸場の整備、引上線の延伸等を1973年 から1980年にかけて実施した
([4]p118)

1992 (平04)年03月14日
大竹駅に20ft用フォークリフトが配備された
1998 (平10)年10月
三菱レイヨン(株)は 日東化学工業(株)を吸収合併した(三菱レ イ ヨン(株)webサイトより)
2000 (平12)年07月
大竹駅に24tトップリフターが配備されISOコンテナの取扱開始 (『JR 貨物ニュース』2000年7月15日号、1面)
2001 (平13)年09月
日本板紙(株)芸防工場は 大竹〜富士間でJT純白ロール輸送をトラックから鉄道にモーダルシフトした
2002 (平14)年04月
東洋紡績(株)岩国事業 所は エンジニアリングプラスチック輸送をトラックか ら鉄道にモーダルシフトした
(『JR貨物ニュース』2003年12月15日号。4面)




■大竹駅の専用線概要の推移  
専用者
第三者利用者
真荷主

第三者利用者
通運事業者等

作 業方法
作 業キロ
総 延長
キロ

1983
年版
1975
年版
1970
年版
1967
年版
1964
年版
1961
年版
1957
年版
記 事・備考
日本燃料(株)
日本鉱業(株)

国鉄機
日燃線2.5
旧配炭所線
2.6
1.3
×
×





日通、三井石油化学、日鉱線に接続
1957年版以前は日本鉱業(株)無し
日本燃料(株)
三井石油
化学工業(株)

国鉄機
日通機
2.5
(機)2.1
0.5







一部使用休止(1983年版)
専用者は、使用休止(1975年版)
三井石油化学線(2号線)に接続
日本通運(株)
興亜石油(株)
岩谷産業(株)
興亜石油ガス(株)
ダイセル化学工業(株)

国鉄機
私有機
3.0
(機)2.8
1.8







五社協定線に接続
1967年版以前は興亜石油ガス、
ダイセル無し、大洋プロパン(株)あり
1957年版以前は岩谷産業無し
三井石油
化学工業(株)
三井物産(株)
日本通運(株)
山九(株)
国鉄機
日通機
1号線4.1
(機)2.8
3.1







日通線に接続
1970年版以前は三井物産無し
1967年版以前はゼネラル瓦斯鰍り
三井石油
化学工業(株)

日本通運(株)
山九(株)
国鉄機
日通機
2号線2.8
(機)2.1
3.7







五社協定線に接続
1970年版では総延長キロ2.2km
三井石油
化学工業(株)

日本通運(株)
国鉄機
大竹線0.2
0.3
×
×





1967年版以前は第三者利用者に
三井ポリケミカル(株)、大日本化成(株)あり
(五 社協定線)
(大 蔵 省)
日本通運(株)
日本燃料(株)
三井石油
化学工業(株)
興亜石油(株)


国鉄機
2.1
2.1







通路線
(二 者協定線)
日本燃料(株)
三井石油
化学工業(株)


日通機
国鉄機
2.5
(機)2.1
0.1







共用線
使用休止(1983年版・1975年版)
極東工業(株)


手押
0.1
0.1
×







日本鉱業(株)

丸楽商運(株)
国鉄機
2.5
1.6
×
×





日通、日燃、三井石油化学線に接続
1967年版以前は丸楽商運無し
○:存在 △:使用休止 ×:廃止 −:未設置



■大竹駅の貨物取扱の概要  
▼JR貨物は大竹営業所を営業支店に格上げ  (『運輸タイムズ』1999年2月1日付)
 JR貨物は関西支社広島支店の大竹営業所を、1998(平成10)年12月1日付で営業支店へ格上げした。要員も1名増えた。大竹営業支店は、管内に大 竹駅と岩国駅の2駅を持つ。
 大竹駅はコンビナート地帯にあり、三井化学(株)三菱レ イヨ ン(株)帝人(株)日 本板紙(株)日本製紙(株)〔子会社:大竹紙業(株)〕など大手荷主が多い。
 一方、 岩国駅は日本製紙(株)岩国工場の専用線発着の貨物だけを取り扱う。2年前に生産ラインを増設していらいコンテナ利用個数が大きく増え、現在は一日約 160個 を発送する。
 これら2駅のコンテナ発送実績は、広島支店直轄エリア内の40%になる。
 上村栄・営業支店長は、「営業支店化で輸送契約等についてこれまでより即応できるはず」と話している。そして、中継貨物の荷崩れなど、即急な解決を要す る課題や、セールスに取り組んでいる。
※鈴木康弘氏の運営するwebサイト「日本の鉄道貨物輸送」内の記述を参照 させて戴きました。

▼大竹駅 ISOコンテナ取扱い開始 24tもOK (『JR貨物 ニュース』2000年7月15日号、1面)

 大竹駅はこのほど総重量24トン対応のトップリフターを配備して、7月から20ftISOコンテナの取扱を開始した。
 三井化学(株)岩国大竹工場が、同駅専用線発のタンク貨車による年 間 6,000トン規模の車扱輸送を、コンテナ化するのが契機となった。
 また取扱開始は到着貨物のISOコンテナ化をも促し、千葉や福島から同種コンテナ が早速到着し始めている。JR貨物の20ftISOコンテナ取扱駅はこ れで28駅(24トン対応は22駅)。
2000.12 大竹駅(山側コンテナホーム)

▼ここにも貨物駅 大竹駅 本線渡って入換 (『JR貨物ニュー ス』2003年12月1日号、4面)

貨物と旅客1つ屋根の下で
 海岸線を走る岩国行きの列車からは、のどかな入江に小型漁船やクルーザー、ヨットが係留された晩秋の瀬戸内海が見え隠れする。厳島神社に渡るフェリー乗 り場がある宮島口を過ぎ、大野浦からしばらくすると、湾曲した対岸に何本もの煙突から白い煙が見えてくる。
 臨海工業地帯である。豊富で良質な水に恵まれ古くから製紙工業が盛んな土地に、昭和になってから化成品工場、石油コンビナートが進出、高度成長期には化 学臭があたりに充満したというが、今は企業の環境保護により潮の香が戻った。
 大竹駅は工業地帯の一画にある。明治30年開業、国鉄民営化と同時に貨物会社帰属駅となり、現在はJR貨物とJR西日本が、1つの駅舎で肩を並べて業務 する共同使用駅である。
 海側・山側に分かれたコンテナホームを持つ構内を、信号操作員など5名の社員で管理、フロント・入換業務は中国フレートサービス鰍ノ委託している。

2面のコンテナホーム間を移動
 上り下りの旅客ホームの間には3本の本線が通っている。駅構内は面積約69,000平方メートル、貨物列車は一旦海側の引込線に移動してから、旅客列車 のダイヤの合間を縫って、駅中央を通る本線内を再度渡って、山側のコンテナホームへ移動。荷役作業を終え、また本線へ移動、出発する。作業性も悪く、危険 を伴うが、1日に上り7本、下り3本の入換作業をこなす。
 貨物列車が到着すると信号所では、広島駅のCTCセンターへ電話で連絡、駅扱いの承認を取る。線路ブロックごとの信号操作をして、入換指示をする。
 朝夕の通勤時は、信号所が緊迫する時間。旅客列車の1、2分の遅れの調節を広島駅と確認しながら、円滑に列車移動が出来るようにする。事故など障害時に は交渉の回数も重なり緊張が高まる。

着発のバランスが課題
 同駅の取扱貨物は、広告紙などのコート紙、一時原料の化成品など固定品目が殆どを占め、平成14年度は約25万トンと大量輸送している。発送先は、関 東、東海が中心。
 コンテナ扱個数は、上越、関東、東海方面行きと広島での中継を合わせて260個。海上コンテナの取扱いも多く、平成14年度は化成品メーカーの一次加工 製品を中心に、550個を発送している。対してその原料は船で到着す る。近くに整備された港があり、鉄道は船舶と凌ぎを削っている。
 発に比べ着貨物が少ないので、突然の大量の依頼に、必要なコンテナを確保するのに往生することも。
 「これからITフレンズが導入され、形式別の箱が入手しやすくなるというので、いい効果がでればと期待しています」と木藤駅長。
 「在庫調整で安定輸送が確保できた頃に比べ、必要なものを必要な時に、ユーザーさんに直送することが多くなってきて、荷の波動の予測がし難くなりまし た」と大竹営業支店の長本支店長は、最近の傾向を話していた。
2007.9 大竹駅(海側コンテナホーム)



■大竹駅の主要荷主の鉄道貨物輸送  
 大竹駅の主要荷主は、三井化学やダイセル化学に代表される化学メーカー、三菱レイヨンや帝人、東洋紡績といった繊維メーカー、日本製紙や日本大昭和板紙 などの紙・パルプメーカーに大きく分けることができよう。各社がそれぞれ特徴ある輸送を行っており、日本製紙以外の各社は専用線を廃止してしまったもの の、コンテナ輸送によって鉄道貨物輸送を積極的に活用していこうという姿勢は感じられ心強いところではある。しかし大竹周辺に立地するこれら荷主は船舶輸 送の比重が高いため、「モーダルシフト」の取組みも船舶への転換事例が多い。



◆三井化学(株)岩国大竹工場   

1965年頃の大竹駅の三井石油化学工業(株)専用線([1] p307)
 我が国最初の石油化学コンビナートである三井石油化学(株) 岩国 工場は、1958(昭33)年4月にエチレン年産2万トンで操業を開始した。1962(昭37)年に第2系列6万トン、1964(昭和39)年には第 3系列の新設と既存設備の増強が実施され、年産16万トンに拡大した。([1]p41)

<主要製品> 同社 webサイトより)
PTA(高純度テレフタル酸)、PET樹脂アーレン(高い耐熱性と強度を備え、吸水性は低い樹脂)、TPX(耐熱性、透明性、剥離性などに優れた樹脂。世界で唯一、同工場でのみ生 産。携帯電話の基板製造工程や電子レンジ用耐熱ラップなどに利用

<主要プラント> 同社 webサイトより)
◆国内最大級のPETプラント。年間14万8千トンの生産能力がある。
◆機能性材料のTPXプラント。2005年度には年間1万3千トンまで生産能力を増強した。
◆原料の受入や製品の出荷のため、公共の港である「岩国港」を主に利用している。
 


2000.12
左の壁に「五社協定線」と「三石専用 線」の境界が貼ってある

2000.12三井化学(株)専用線
既にゲートの先は線路 撤去済み

▼1974(昭49)年度荷主別輸送量 ([2] p127)
 広島鉄道管理局においては三井石油化学(株)車扱159千トンであった。これは 管内で第6位(車扱)の実績であった。
 また三井ポリケミカル(株)コンテナ30千トンであった。これは管 内で第4位(コンテナ)の実績であった。

▼大竹〜三島間の化学薬品輸送
 JR貨物発足当時(1987年)の輸送として、大竹〜三島間にワキ5000形を利用した化学薬品輸送があった([5]p37)。おそら く大竹の三井石油化学から三島の東レ(株)向けのテレフタル酸輸送であったと思われる。ワキ内にフレコンを積んだ輸送方法であっ たようだ。

1996.3 東港駅 ワキ35639(大竹駅常備)

▼三井化学(株)岩国大竹工場 10トンコンテナを12トン化 増備せず増送可能に  (『運輸タイム ズ』1998年6月1日付2面)

 三井化学(株)岩国大竹工場は沼津駅管内の大口ユーザーに毎日、テレフタル酸を私有20ftタンクコンテナで出荷している。工場内の専用線上で製品を充 填し、大竹駅から沼津駅に輸送。沼津駅からユーザーへはトレーラーで配送している。
 この輸送は5年前まで車扱輸送だったが、同工場がタンクコンテナを84個製造しコンテナ化した。

 1998年5月18日からこのタンクコンテナの積載量を10トンから12トンに増トンした。JR貨物がそれに伴う運用貨車の変更や荷役機器の改造等を実 施、1日の輸送個数は15個から14個に減り、輸送量は150トンから168トンに増やすことが可能となった。

 同工場の物流課花本課長によると、
○私有コンテナを増備することなく一日の出荷量を増大
○年間で1万トン程度までの納入量増にも対応可能
○コンテナの運用に余裕ができ、輸送障害などの危機管理体制が充実
という効果があった。

 一方JR貨物はこの増トンのために、運用貨車を5車からコキ106形7車に増やし、2列車に分けて沼津に着けるように変更した。コンテナの総重量が 15.5トンとなるため、コキ106系など海上 コンテナ対応貨車でないと輸送は不可能。また沼津駅のフォークリフトを増トンに耐えるように改造した。

 同工場では、テレフタル酸(粉状)を全国各地のユーザーに向けて、私有コンテナのほか1トン・2.5トンフレコン、ローリー等の各種荷姿で出荷してい る。沼津以外の鉄道利用は汎用コンテナにフレコン積み。沼津向けは年間数万トン規模を出荷する大口ユーザーで、多少の季節波動はあるが、15個〜9個のタ ンクコンテナを毎日発送していた。しかしコンテナ運用には余裕がなく、特に阪神淡路大震災以降、同工場は運用状態の改善を目的に、タンクコンテナの増備や 同コンテナによる船輸送、トラック輸送への転換など様々な方法の検討をしていた。しかしコンテナの増備や鉄道・船両用への改造はコストが高く、トラック転 換は800kmの長距離のため、鉄道輸送が有利だった。そこで、10トン積んでも内容積に余裕があるタンクコンテナの増トンをするというアイデアが浮上し た。

 JR貨物の技術開発室によると、今回増トン対象となったコンテナは、製造メーカーが厳しい条件で強度試験を行なっていた。このため12トン積載できる強 度があることを確認できたと説明している。また沼津駅のフォークリフトは15トン用だったが、20トン用の機台で製造されていたため改造で荷役可能となっ た。

2006.12富士駅

 テレフタル酸輸送の着荷主は、富士宮市の富士フイルム(株)である。この輸送については、拙web「貨物取扱駅と荷主」の「富士駅」の富士フイルム(株)のコンテナ輸送も参照さ れた い。

▼JR貨物は12フィートコンテナの6トン化を試行開始 (『運輸 タイムズ』1999年5月10日付)

 JR貨物は1999(平成11)年4月から、12ftJRコンテナで6トン化の試行を開始した。三井化学滑竝荘蜥|工場の要請を受けたもの。
 対象は、専用線発で越谷(タ)ゆきのコンテナ貨車1両分(コンテナ5個)。物流経費の削減が目的。従来は1コンテナにフレコンを5個積載していたが、6 トン化により6個積載でき、安定性が向上した。
 同工場は、専用線発とトラック集荷の大竹駅発で計50個の12ftコンテナを 発送している。段階的に、可能ならばすべてを6トン化したい意向。同工場は、大竹駅から約2kmのところにあり、大竹駅からの専用線がある。製品は、鉄道 や船・トラックで全国各地へ輸送されている。すでに1998(平成10)年5月から10トン積みだった20ftコンテナの12トン化を行っている。
 同工場では、名古屋以東などの遠距離輸送に関して、リードタイムの速さ輸送の安定性などから船よりも鉄道コンテナを評価している。しかしJR貨物の大型コンテナへの対応が悪いと考えている。汎用コンテナの大 型化(20トンないし10トン)を求めている。また一気通貫の料金体制が欲しいとしている。
※鈴木康弘氏の運営するwebサイト「日本の鉄道貨物輸送」内の記述を引用 させて戴きました。

▼三井化学(株)岩国大竹工場の同社市原工場向け輸送 ISOコンテナ化  (『JR貨物ニュース』2000年8月1日号)

 1958年に日本初の総合化学工場として操業を開始した三井化学岩国大竹工場は、ポリエステル繊維原料・高純度テレフタル酸や、ペットボトル原料のペッ ト樹脂をはじめ各種の石油化学品・樹脂を生産している同社の主力工場だ。世界でも生産しているのは本工場だけ、という製品もあり、今回、車扱輸送をコンテ ナ化した4メチルペンテン1も その1つだ。


2007.9 大竹駅 JOTU871015_0 JOTU871008_3 共に「4MP-1」専用

日数は短縮、大きな設備変更なし

 三井化学岩国大竹工場の総務部購買・物流グループリーダーの佐々木英俊氏と同グループ液ガス品物流チームリーダー山本洋治氏にコンテナ化の経緯を聞い た。
 山本チームリーダーによると4メチルペンテン1は医療・実験器具、電気・電子部品、食品包材など、耐熱性と透明性を活かした多くの分野で使用されてい る。TPX(ポリメチルペンテン)の原料で、比重は0.66の水より軽い液体(常温以下)だ。同工場で年間13,000トンが生産され、うち6,000ト ンを同社市原工場に送っている。
 本輸送は約20年前に始まって以来、岩国大竹工場と市原工場の専用線間をタンク車で車扱輸送してきたが、今年7月にコンテナ化。大竹−東京(タ)間を 20ftのISOタンクコンテナで鉄道輸送する。専用線を使わず、岩国大竹工場〜大竹駅、東京(タ)〜市原工場間はいずれも日本通運によるトレーラー集配 だ。コンテナ化で輸送日数は片道4日から2日に大きく短縮した。
 輸送単位はタンク車の35トン(55立方メートル)から16トン(26立方メートル)に半減したが、回転効率がよいのでリースしたコンテナ個数は予備も 含め10個。車扱輸送では1日1〜2車の輸送需要に対し13 車を保有していたことに比べると、その有利さがよく分かる。

 コンテナはタンク車同様、日本石油輸送(株)からリースした。4メチルペンテン1は消防法第一石油類に該当し、安全弁を備えた遮熱性の高いISOタンク コン テナを使用する。危険品の輸送手段転換で気になるのは安全性の確保だが、岩国大竹工場では以前から、輸出用に同種のISOコンテナを使っており、機器の性 能、安全性を改めてテストする必要は無かった。また鉄道には20数年間、タンク車で安全に輸送してきた実績がある。「道路は公共のものですから、トラック 輸送では前後にどんな車が来るか分からない。その点鉄道は専用のレールを走るので安心です」と佐々木グループリーダーは評価する。
 コンテナ化に備えJR貨物は大竹駅に24トン対応型のトップリフターを配備した。しかし本製品は比重が小さいのでフル積載しても総重量が20トンに納ま る。JR貨物には100系コキ車にコンテナを2個積載できる効率よい輸送形態だ。

 三井化学としては「輸送単位は大きければ大きいほどよい」ので、一時は船輸送(タンカー、輸送単位は少なくとも250トン)への転換が有力だった。発着 両工場ともに港に隣接しているので、港からすぐパイプ搬入できるし輸送単位も大きいから単価が安い。ただ、港の受け入れ設備を本輸送用に改造するイニシャ ルコストが大きかった。
 その点ISOコンテナ転換には大きな設備変更がいらない。それが決め手となった。「トータルメリットではJR貨物大竹営業支店が提案するコンテナ化が有 利だと判断しました。JR貨物と日本通運、日本石油輸送がチームワークよくコンテナ化プロジェクトを進めてくれました」。

構内専用線スペース活用
役 目を終えたタンク車と構内専用線

 この車扱輸送の転換を同工場で検討し始めたのは、タンク車の耐用年数が迫ってきたことに加え、専用線通過貨物量の減少に伴い線の維持費が割高になってき たからだ。また工場構内の専用線は相当な面積を占めており、撤去して有効活用する構想も持ち上がった。
 「工場がもっと大竹駅に近ければ専用線を止めようとは考えません。工場入 口までJR貨物が管理してくれるのなら大歓迎です」。同工場の専用線は大竹駅か ら約1kmの長さで、小瀬川の鉄橋や陸橋もあり、そのための維持費もいるのだ。
 現在も同専用線には工場で車上荷役した汎用コンテナ列車が走っているものの、今回のコンテナ化で専用線に関する論議は一層煮詰まりそうだ。当面、岩国大 竹工場では今回コンテナ化したタンク車が入線していた構内線の使用を休止した。

 またこれに伴い、同工場にタンク 車で納入されていた過酸化水素も「JR貨物が大竹駅にトップリフターを配備して戴いたのを機にISOコンテナに転換する ことにした」。大型荷役機械設備導入の相乗効果が早速現れた形だ。
 だが車扱輸送にも大きな利点はあった。「生産する銘柄により4メチルペンテン1の使用量が日々異なります。タンク車は、そのために生じる需要量と生産量 のバランスを調整する一時的な保管機能を担ってくれていました」と、年間約330日は稼働する生産ラインで果たしていたタンク車の役割を説明。
 最後に、コンテナ化後は「年末年始や5月の連休等長期運休時の製品オーバーフロー対策を今まで以上に考慮して欲しい」とJR貨物に注文した。

 上記の「タンク車で納入されていた過 酸化水素」が「ISOコンテナに転換することにした」というのが、どのメーカーなのか気になるところだったが、大竹駅の概要で引用した『JR貨物 ニュース』2000年7月15日号1面には、「到着貨物のISOコンテナ化をも促し」「福島から同種コンテナが早速到着し始めている」とあったため、俄然、郡山の日本パーオキサイド(株)を注目していた。

 そして2003(平15)年8月に横浜本牧駅で遂に(返空ではあったが)その輸送を目撃することができた。
 尚、日本パーオキサイド(株)は郡山(タ)からISOタンクコンテ ナを東水島大竹福岡(タ)各駅へ月間約20個発送しているとのこと。(『MONTHLYかもつ』 2010年3月 号、p10


2003.8 横浜本牧駅
NRSU174101_0 過酸化水素水
返回送:大竹(三井化学)→郡山(タ) (日本パーオキサイド)

▼JRコンテナによる輸送
発 駅
発 荷主
品 目
着 駅
着 荷主
コ ンテナ
確 認・備考
大竹
三井石化岩国
PTA
豊橋
三菱レイヨン
C31
1996.9.8豊橋駅

▼和木と大竹結ぶ旧鉄橋撤去へ (『中 国新聞』2009年10月11日付
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200910110010.html
 太平洋戦争中の1944(昭和19)年、山口、広島県境の小瀬川に架けられた旧鉄道橋が来年から撤去されることになった。山口県和木町の陸軍燃料廠への 引込線の一部として造られ65年。戦後はコンビナートの成長を支え、9年前まで現役だった歴史的な構造物が姿を消す。

 大竹市と和木町をつなぐ鉄道橋は全長約206メートル、幅約1.8メートル。大竹駅から燃料廠までの約2キロに敷かれた引き込み線の名残だ。周囲には、 立ち入り禁止の柵が張られ雑草が茂る。橋には錆が目立つが、鉄骨を組み合わせた無骨な造りが目を引く。

 鉄道橋を含む引き込み線は戦後、燃料廠跡地に日本で初めて建設された総合化学コンビナートなどの5社が共同で使った。物流の主力がトラックなどに移る中、最後まで残っていた三井化学岩国大竹工場(和木町)も2000年に使用をやめた。 旧鉄道橋は現在、中国財務局山口財務事務所が管理している。

 撤去工事をする国土交通省太田川河川事務所によると、2010年秋ごろに着工して12年春ごろに終了する予定という。費用は約5億円を見込んでいる。

【写真説明】来年から撤去される旧鉄道橋。隣はJR山陽 線(和木町)



◆ダイセル化学工業(株)大竹工 場  
 ダイセル化学工業(株)は大竹工場や新井工場、網干工場で古くから鉄道貨物輸送を利用してきた。現在、タンク車輸送は全廃されて全てコンテナ化されてい る が、輸送品目は多種に亘り大手荷主であり続けている。新井工場の鉄道貨物輸送の内、黒井駅発着分については、拙web「貨物取扱駅と荷主」の「黒井駅」のダイセル化学工業(株)新井工場の鉄道貨物輸送を 参照されたい。

▼大竹工場の年表 (同社webサイトより作成)
年 月
事   項
1961 (昭和36)年01月
大日本化成(株)を設立、石油化学事業へ進出
AS樹脂の製造を開始
1966 (昭和41)年02月
社名をダイセル(株)に変更
1968 (昭和43)年06月
大日本化成(株)を吸収合併、同社大竹工場をダイセル(株)大竹工場と する
1968 (昭和43)年08月
ABS樹脂の製造を開始
1979 (昭和54)年10月
社名をダイセル化学工業(株)に変更
1980 (昭和55)年04月
メタノール法による酢酸の製造を開始
1982 (昭和57)年12月
ABS樹脂製造販売会社の協同ポリマー(株)を合弁で設立
1990 (平成02)年07月
ポリスチレン事業に進出
2002 (平成14)年07月
大竹工場の酢酸ノルマルプロピル(酢酸n−プロピル)の生産能力を従来 の年2,000トンから
4,000トン強に倍増(『化 学工業日報』2002年4月19日付
2007 (平成19)年10月
大竹工場のたばこフィルター用アセテート・トウ製造設備が竣工
2008 (平成20)年05月
大竹工場の液晶光学フィルム用酢酸セルロース(TAC)製造設備が竣工

2009 (平成21)年07月
大竹工場のバイオエタノールを原料とした酢酸エチル製造設備が稼働


▼大竹工場の車扱輸送

2000.12大竹駅
手前からタキ8702(酢酸ビニル専用)
タキ8500(パラアルデヒド専用)

2000.12大竹駅
手前からタキ10800(クロトンアルデヒド専用)
タキ750(プロピオン酸専用)

タキ8701(酢
酸ビニル専用)
 タンク車による輸送は、大竹〜新井間の自社工場間でプロピオン酸輸送が 行われていた。尚、大竹工場の生産品目にはプロピオン酸がある(石油化学工業協会のwebサイトよ り)。


▼大竹工場のコンテナ輸送

【アクロレイン】
 アクロレインは日本曹達(株)が二本木工場で製造するメチオニンの原料として、大竹〜二本木間で古くからコン テナ輸送が行われていた。かつては国鉄時代に製造された12ftタンクコンテナで輸送が行われており、筆者は1996(平8)年8月に黒井駅でコキ1両 に5個満載された青と白の鮮やかなコンテナを目撃した。

 その後、1999(平11)年4月に同じ黒井駅で目撃した時は、20ftタンクコンテナに変更され塗色は茶色と白をベースにした落ち着いたタイプに なっていた。

 このような長い歴史を持つ輸送であったが、日本曹達(株)のメチオニ ン事 業撤退により2006(平成18)年8月にこの輸送は廃止された。(Wikipediaの「二 本木駅」より)

1996.8 黒井駅
左からUT3-165、UT3-番号不明、UT3-187
ダイセル化学工業(株) アクロレイン専用

1999.4 黒井駅
UT11C-5048、UT11C-5039、UT11C-5053
ダイセル化学工業(株) アクロレイン専用


2003.5新井駅
UT11C-5042 ダイセル化 学工業(株) アクロレイン専用


2003.5新井駅
AL:大竹→二本木(日本曹達)



【モノエチルアミン】
 上記アクロレイン用に使われていたUT11C形式コンテナは、同輸送が廃止された後は「65%モノエチルアミン」に種別変更されて使われ 続けているようで大竹駅には大量に置かれていた。但し、運用区間は不明で気になるところである。

2007.9大竹駅
UT11C-5043 65%モノ エチルアミン専用

2011.12大竹駅
UT11C-5041 アクロレイン専用も残っていた

2007.9大竹駅
UT11C-5040、5042、 5048、5050、5053
65%モノエチルアミン専用

2007.9大竹駅
UT3-345 今は何の輸送に使 われているのだろうか?

【PLACCEL M】

1998.3土浦駅
UT9C-5026 NRS所有 使用者:ダイセル化学工業(株)
PLACCEL M専用

 大竹(ダイセル化学工業)→小名浜(大日ケミカル)


大日ケミカル(株)
ダイセル化学工業のグループ会社
◇所在地:いわき市常磐下船尾町杭出作23番11号
◇オリゴマー製品、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの製造及び販売
ダイセル化学工業(株)webサイトよ り)

【エポキシ化亜麻仁油】

2007.9大竹駅

【1-3ブチレングリコール、ポリカプロラクトン】
▼ダイセル化学工業(株)大竹工場 『モーダ ルシフト事例集』国土交通省 中国運輸局 2007.1月作成
● モーダルシフトした取扱貨物と導入時期
 取扱貨物:化成品(1-3ブチレングリコール、ポリカプロラクトン)
 導入時期:1965(昭40)年頃
 シフト区間:大竹〜関東地区(鉄道)
● 対象貨物数量と輸送機関比率(鉄道・海運)の推移(1四半期分貨物量比較)

● 導入の経緯
@鉄道輸送は以前から行っているが、トラック輸送(路線)での事故が多いため、製品安全上から鉄道シフト率を高めた。
AISO14001を取得しており、環境対策としての効果が認められること、また対象品目が比較的リードタイムに余裕があったため。
● シフトへの工夫した点(生産調整、出荷調整等)
@充填日を出荷日の前日に設定して、工場発送時の事故防止とした。
A混載輸送で送り、小ロットの貨物の輸送効率を高めた。
B鉄道輸送も無事故ではないので、積替え事故を減すため、パレット化テスト輸送を実施している。



◆帝人(株)岩国事業所  

▼岩国事業所の年表
年  月
事   項
1927(昭 02)年02月 帝国人造絹糸(株)が岩国工場(現、岩国事業所)開業、レーヨン長繊維 操業 開始同 社web サイトより)
1936(昭 11)年05月 岩国工場、レーヨン短繊維操業開始同社webサイトよ り)
1950(昭 25)年11月 岩国工場、強力レーヨン操業開始同社webサイトよ り)
1956(昭 31)年10月 岩国工場、ポリ塩化ビニル繊維「テビロン」操業開始同社webサイトよ り)
1962(昭 37)年11月 社名を現在の「帝人(株)」に改称同社webサイトよ り)
1971(昭 46)年10月 レーヨン事業撤収同社webサイトよ り)
1972(昭 47)年04月 岩国工場、耐熱性のメタ系アラミド繊維「コーネックス」操業開始同社webサイトよ り)
1973(昭 48)年11月 岩国工場、PBT樹脂、ガラス繊維強化PET樹脂操業開始同社webサイトよ り)
1978(昭 53)年01月 岩国製造所(医薬品)操業開始同社webサイトよ り)

▼「専用線一覧表」より岩国駅所管の帝人(株)専用線を抜粋
専用線
一覧表
所 管駅
専 用者
第 三者利用者
通運事業者等
作 業方法
作 業キロ
総 延長
キロ
記 事
1970年版
岩国
帝人(株)
日本通運(株)
岩国通運(株)
池田興業(合)
私有機
1.4
3.4

1975年版
岩国
帝人(株)
日本通運(株)
岩国通運(株)
池田興業(合)
私有機
0.1
0.2
使用休止
 「1983年版 専用線一覧表」では岩国駅の帝人(株)専用線は存在しない。

帝人物流(株)岩国営業所 (『モーダ ルシフト事例集』国土交通省 中国運輸局 2007.1月作成
● モーダルシフトした取扱貨物と導入時期
 取扱貨物:樹脂
 導入時期:2006(平18)年1月
 シフト区間:岩国〜御殿場(鉄道)
● 対象貨物数量と輸送機関比率(鉄道・海運)の推移(1四半期分貨物量比較)
 
● シフトの内容

● 導入の経緯
@トラックに比べ環境負荷の少ない鉄道を利用することで確実にCO2排出削減が可能となる。
A納品先によっては冬季問題となる納期時間延着(雪の影響)を鉄道利用により確実に延着問題が解決できる。
B異常気象時の延着及び製品事故(水濡れ)防止に大きく効果が期待でき輸送品質の維持向上がに役立つ。
● シフトへの工夫した点(生産調整、出荷調整等)
@冬季機関出荷に関しては、特に気象情報に注意し積雪状況、道路状況を勘案し早めにトラック輸送からコンテナ輸送へと切り替えた。



◆東洋紡績(株)岩国事業所  

▼「1975年版 専用線一覧表」より南岩国駅所管の東洋紡績(株)専用線を抜粋
所 管駅
専 用者
第三者利用者
通運事業者等
第 三者利用者
通運事業者等
作 業方法
作 業キロ
総 延長
キロ
記 事
南岩国
東洋紡績(株)
東洋化成工業(株)
共進(株)
私有機
1.9
2.3

 「1983年版 専用線一覧表」ではこの専用線は存在していない。また南岩国駅の貨物取扱は1982(昭57)年9月に廃止された(『岩国市統計書』 より)。

▼南岩国駅の貨物取扱量 (単位:トン)
年 度
発 送
到 着
合 計
1970 (昭45)年
26,258
30,961
57,219
1975 (昭50)年
23,333
13,884
37,217
1980 (昭55)年
5,681
10,663
16,344
(『岩国市統計書』より)

▼「モーダルシフトに協力」岩国通運 (『JR貨物ニュース』 2003年12月15日号、4面)
 大竹駅を拠点とする岩国通運は、「少しでも環境にいい方を」という意識で鉄道コンテナ営業に取り組んでいる。岩国市を中心に、同社の守備範囲には化成品 を製造する企業が多く、紙袋やフレコン、段ボール箱入りの樹脂を多く扱う。
 そのうちのひとつ、東洋紡績岩国事業所が、埼玉県東松山市にある営業倉庫への、化成品(エンジニアリングプラスチック)輸送を昨年4月、トラックから鉄道にモーダルシフトした。
 東洋紡績はこの取り組みで、国土交通省主催の第5回中国モーダルシフト推進協議会において、優良荷主として表彰されている。
 そもそもISO14001の環境マネジメントプログラムを展開する上で、環境面に重点を置いた物流が検討されたのがきっかけ。
 リードタイム、コンテナ容積、遅延時の対応などの課題が残るものの、営業倉庫の在庫管理と複数品目積み合わせオーダー管理を充実させることで、営業要望 をクリアした。
 また、一部素材では1200×1200ミリの特殊パレットを14型パレットへ切り替えて、一貫パレチゼーションを実現している。
 このモーダルシフトで所要時間が1.8倍になったが、輸送コストは2%減少、車両走行距離は95.8%減少した。環境面の貢献のほか、輸送品質向上、製 品損傷等トラブル減少などのメリットも出てきている。
 シフトされてから1年半、輸送は順調に推移し、月間40〜50個5トンコン テナが発送されている。

▼東洋紡績(株)岩国事業所  (『モーダ ルシフト事例集』国土交通省 中国運輸局 2007.1月作成
● モーダルシフトした取扱貨物と導入時期
 取扱貨物:化成品(エンジニアリングプラスチック)
 導入時期:2002(平14)年4月
 シフト区間:岩国〜東松山(鉄道)
● 対象貨物数量と輸送機関比率(鉄道・海運)の推移


● 導入の経緯
@ISO14001規格の中で物流部門の環境マネジメントプログラムを展開する上で話しが出てきた。
AJR貨物大竹営業所の営業によりコストメリットが見込めたため。
● シフトへの工夫した点(生産調整、出荷調整等)
@トラックに比べリードタイムが長くなりデリバリー対応でマイナス要素があったが、営業倉庫在庫管理強化と多品目積み合わせオーダー管理を
充実させることで営業要望をクリアした。
AJR貨物ダイヤの関係で午後納入となり、営業倉庫配送作業に影響があるため、翌日午後納入した。
B輸送品質安定化のため、一部素材で特種パレット(1.2×1.4)を14型へ切替えて、一貫パレを実現した。



◆三菱レイヨン(株)大 竹事業所  
2000.12 大竹駅

 アクリペットはメタクリル樹脂の商品名で、大竹事業所で生産している。(石油化学工業協会webサイトより)

 (株)クラレ新潟事業所が発荷主と思われるメタクリル酸輸送が新潟(タ)〜大竹間 で行われている(下記参照)が、これは三菱レイヨン向けの輸送の可能性がある。メタクリル酸は三菱レイヨ ン大竹事業所で生産しているのだが、自給できない分をクラレから供給してもらっている可能性はあるのではないか。


1998.5宮城野駅
UT14C-5001 JOT所有 使用者:日東化学工業(株) ターシャ リブチルアミン専用
大竹(日東化学)→宮城野(大内新興)

大内新興化学工業(株)
◇有機ゴム薬品のトップメーカー。有機ゴム薬品・高分子安定剤・重合防止剤・
有機硫黄化合物有機硫黄農薬・医薬品原薬・その他を販売。
◇原町工場 所在地:南 相馬市原町区小浜字狐沢1番地

三菱レイヨン (株)は1998(平10)年10月に 日東化学工業(株)を吸収合併した。
三菱レイ ヨン(株)webサイトより)

2007.9 大竹駅
上記輸送はISOタンクコンテナに転換されたようである。


▼JRコンテナによる輸送
発 駅
発 荷主
品 目
着 駅
着 荷主
コ ンテナ形式
確 認・備考
大竹
三菱レイヨン
工業薬品
刈谷
日本ペイント(株)
19D
1998.3.11刈谷駅
日本ペイント(株)愛知工場:高浜市新田町3-1-5同社webサイトよ り)
大竹
三菱レイヨン
ABS樹脂
刈谷
富士レジン化工(株)
19E
1998.3.11刈谷駅、1999.3.26刈谷駅 多数あり
※大竹工場からのABS樹脂の輸送については、拙web「荷主企 業事例研究」の「UMG ABS(株)」 も参照されたい

富士レジン化工(株) http://www.sankyo-kasei.co.jp/fresin/fresin21.htm
所在地
愛知県西加茂郡三好町大字福田字宮下7番地
設立
1958(昭33)年4月
事業内容
合成樹脂の着色、コンパウンド、ブレンド
主要取引先
日本ポリケム株式会社
UMG ABS株式会社
三菱レイヨン株式会社
竹本油脂株式会社
三協化成産業株式会社
年商
18億円
生産高
1,000トン/月



◆フマキラー(株)広島工 場  
▼フマキラー株式会社 (『運輸タイムズ』1998年5月25日 付)

 フマキラー(株)は、主に家庭用殺虫剤を製造販売している。鉄道コンテナは、主力の広島工場から東日本各地の営業倉庫への商品輸送に利用している。
 同社は札幌市や浦和市・名古屋市・大阪市などに営業倉庫を持っている。各地域支店や営業所からの発注を受け、商品は営業倉庫から代理店や卸しなどを経て 供給される。
 広島工場は広島県佐伯郡大野町にある。コンテナの発駅は大竹駅。着駅は、約9割が越谷(タ)。同駅から浦和営業倉庫へ入る。なお一部の荷物は、可燃性の 高い殺虫剤・除草剤など危険物なので、危険物の取扱許可を持つトナミ運輸 (株)浦和流通センターの倉庫に保管される。
 越谷(タ)行きは、3月中旬から7月末までは月間約80個が発送される。8 月から2月頃まではその半数に減る。これは家庭用殺虫剤の需要は季節波動が大きいためである。この他に、名古屋の営業倉庫行きが月間約4個、札幌の営業倉庫行 きが年に数回、発送 される。
 荷姿は、越谷(タ)行きがパレット積み。12ftコンテナ1つに6枚のパレットを積載する。さらに空隙には商品ケースを詰め込み、荷崩れを防いでいる。 パレットの返回送にはコンテナとトラックを利用している。
 現在、大竹駅で夕方に発送した荷物は、3日目の朝に越谷(タ)へ到着する。リードタイムに不都合はなく、運賃が安いため鉄道コンテナを利用していると同 社は話す。一方で、今日・明日の納入を求める発注も増えている。現在は工場から顧客へ直接コンテナで輸送するなどして対処している。しかし、コンテナを含 めて、さらに効率的な輸送方法を考えたいと同社はしている。
※鈴木康弘氏の運営するwebサイト「日本の鉄道貨物輸送」の記述を引用 させて戴きました。

▼荷主さん訪問 フマキラー(株) (『JR貨物ニュース』 2000年 8月15日号、3面)
 「夏場に年間販売量の7割を売る」という殺虫剤の老舗メーカー、フマキラー(株)。防虫剤や除菌剤、園芸用品など、1年を通し平準的に売れる商品比率が 50%以上になった現在でも、主力商品の季節性が同社の殆どを鉄道コンテナで出荷している同社は、7、8年前から物流効率化に取組み、拠点や運送業者の集 約を進めているが、その渦中鉄道はどんな評価を受けているだろうか。

▽直送体制強化し物流改善
 大正13年に広島産の除虫菊から世界で初めて「強力フマキラー液」が開発された。これに端を発するフマキラー(株)は、化学合成原料に切り替わった現在 も宮 島近郊の広島工場を生産拠点として、殺虫剤を始め約300種の各種製品を全国に出荷している。
 フマキラー(株)は殺虫剤等の季節商品の生産を毎年5月末までに年間販売量の7割方先行しておき、最も売れる5〜8月の季節本番は販売状況を見ながら生 産調 整する。
 同社は以前、東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、福岡など各地に物流拠点(デポ)を置いていたが、現在は東京と大阪に残すのみ。その他地域向けは殆ど広島 工場からの直送に切り替えた。広島から全国各地に発注の翌日配送できるリードタイムを、特積み貨物取扱事業者が整備したのを活用しての拠点集約と、直送化 の推進だ。
 同時に取引があった特積み事業者を8社から3社に削減、1社当たりの取扱量を増やすことでサービスの充実を求めた。
 さらに同社は直送体制を支える情報システムを整備。全国3,600のエリアに分け、発注地区と内容に応じて、どこの在庫をどの運送業者で送るまで優先順 位付きで自動的に振り分けられる仕組みである。
 こうした物流改善で同社は売上高に占める物流経費の割合を6%台から3.7%にまで縮小する大きな効果を上げた。

▽関東向けは鉄道有利
 ただ現時点では同社の情報システム上の輸送手段に、鉄道コンテナは組み込まれていない。生産副本部長・生産部部長の中川達郎氏は「東京や名古屋向け以外 の鉄道コンテナはリードタイムが長いので」と、その理由を説明した。情報システムを通し受注から輸送手配まで行うので、コンテナに合う輸送単位でしかも輸 送日数に余裕がある時はむしろ「前もってシステムから(受注)データを抜き取る必要がある」という。
 一方、同社の輸送機関別シェアで30%を占める鉄道コンテナの8割強は、千葉県柏所在の東京デポ向けである。JR貨物 の汎用コンテナで広島工場から約30分の大竹駅発、越谷(タ)に着ける。越谷(タ)からデポまでは約20kmだ。
 物流担当の森重憲一郎製造部次長によると、鉄道コンテナがトラックよりコスト的に有利なのは、1コンテナに2.5トン以上積むとして輸送距離が 500km以上の場合だ。関東方面には「全くトラックを使わない」くらい重宝しているが、その他方面向けは「リードタイムが合う」仕向け先に限られる。特 に鹿 児島宮崎方面向けに利用したいが、 現行ダイヤでは「使えない」。
 鉄道コンテナの輸送品質を「特積みに比べて荷痛みがない」と評価し、またパレット返送にもコンテナは貨物積付け料金割引が効き「割安」と歓迎。ダイヤが 改善されれば利用増の可能性を示唆する。

▽繁忙期のGW中 大竹にも列車を
 物流改善に意欲的な企業の通例として、フマキラーも情報収集に極めて熱心だ。
 最近、特積み事業者を集約したのとは逆に、コンテナ発送を依頼する鉄道利用運送事業者を1社独占から2社に増やした。2社との取引にして、物流課の生島 哲課長は「比較することで鉄道コンテナの情報がより伝わってくる」という。
 同様、JR貨物にもリードタイムの制約に関連して「線路使用料はどうなっているのか」「旅客運賃には繁忙期と閑散期で格差がある。貨物運賃はこうした格 差は付けないのか」などの情報提供を求めつつ、同社の繁忙期に重なるゴールデンウィークの列車運休について「今年も10日間位止まって困った。こういう時 でも、東京や福岡行きなどにはある程度の列車を動かしてほしい」と要望した。

JR 貨物からお客様へ 長距離集配や期間増送策を提案
 ゴールデンウィークや盆休みなど長期休暇中にもコンテナ貨物をお引き受けして、輸送させていただきますことは、お客様のご要請を待つまでもなく、弊社で 今年度、積極的に取り組んでいる事柄です。
 ところがフマキラー様のように、折角ご利用の意思がありながら、お使いいただく条件が整えられないケースがありましたことは、弊社の取組み不足であり、 お詫び申し上げます。
 札幌(タ)、東京(タ)、隅田川、梅田、福岡(タ)などの大拠点間、またそれに次ぐ拠点駅間には長期休暇中も優等列車をほぼオール運転して、多くのお客 様から「助かった」とご評価いただいておりますが、一方、その他駅でも列車運転を「検討してほしい」とのご要請を、フマキラー様以外のお客様からも受けて おります。
 この問題を解決するために、今後弊社では次の2つの側面から取組みます。
 1つは通常利用駅の発着にこだわらず長距離集配して、期間中列車の動く拠点駅から発送する方式です。本方式は本盆休期も、各地で行われております。
 ただ本方式は、地域ごとに鉄道利用運送事業者さんと連携・折衝することが不可欠なので全国展開には至っておりませんでした。今後はJR貨物が積極的に本 方式の営業窓口になり、お客様のご要望の実現に努めてまいります。
 もう1つの取組みは、長期休暇中でも支線区の駅に列車運行可能な条件を整える、提案営業です。
 列車運転には荷物を一定量まとめる必要がある点に困難があるのですが、例えば普段貨物量の30%を鉄道に載せているお客様に、期間中のみ利用シェアを増 やしていただくための、お客様にもお得な方策を提案できれば、ご一考いただけるのではないかと期待しております。



◆日本製紙(株)岩国 工場  
 日本製紙(株)岩国工場は岩国駅に専用線があり、大量のコンテナ輸送が行われている。しかし専用線からの発送だけではなく、大竹駅からも相当量の発送を行っている。

 輸送の詳細については、拙web「荷主企業 事例研究」の「日本製紙グ ループ」の岩国工 場の鉄道貨物輸送を参照されたい。
2007.9 大竹駅



◆ 日本大昭和板紙(株)大竹工場  
 同社は旧、日本板紙(株)が日本製紙(株)と事業統合し日本大昭和板紙西日本(株)芸防工場として発足、その後三島製紙(株)大竹工場が統合され日本大 昭和板紙(株)大竹工 場となった。

 輸送の詳細については、拙web「荷主企業 事例研究」の「日本製紙グ ループ」の日本大 昭和板紙(株)大竹工場の鉄道貨物輸送を参照されたい。



■大竹駅に到着する輸送など  
 大竹駅は1日平均貨物発着トン数の推移から分かる通り、発送主体の貨物取扱駅である。しかし化学薬品の到着などで興 味深い輸送は複数ある。残念ながら着荷主がはっきりしないものが多いのだが、以下それらの輸送を中心に纏める。

◆三徳化学工業(株)宮城 工場

2007.9大竹駅 
UT10C-8005 三徳化学工 業(株) 過酸化水素水専用
宮城野駅−大竹駅専用

2009.7仙台港駅 
STKU000006_6 三徳 化学工業(株) 過酸化水素専用

2009.7仙台港駅 返回送:大竹→仙 台港(三徳)
三 徳化学工業(株)宮城工場

◇所在地:仙 台市青葉区芋沢字大竹新田10-2

【会社沿革】 同社webサイトより)
1956(S31)年 過酸化水素製造開始(電気分解法)
1961(S36)年 高純度過酸化水素、過硼酸ソーダ製造開始
1962(S37)年 保土谷化学工業(株)及び日本化薬(株)と
共に合 弁会社の日本パーオキサイド(株)を 設立
1988(S63)年 大竹倉庫完成
1991(H03)年 大竹西倉庫完成

 上記の日本パーオキサイド(株)の郡 山(タ)〜大竹間の輸送同様に着荷主は三井化学(株)岩国大竹工場と考えたいところだが、ど うやら異なるようなのである。
 それは同社の宮城野〜大竹間の鉄道による過酸化水素輸送が 「環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験」の2004(平16)年度の第1次の認定案件に指定されたことから判明した。

 詳細は下表の通りである。
 但し、宮城野駅発が東広島のユーザー向けとしても、仙台港駅発は三井化学向けの輸送かもしれないという想いは残る。

環境負荷の小さい物 流体系の構築を目指す実証実験より抜粋
実 験名称
仙台−大竹間ISOタンクコンテナによる鉄道 活用実証実験
実 験概要
タンクローリー車による長距離輸送を鉄道輸送 にシフト
申 請者
荷主等:三徳化学工業(株)
物流:日本貨物鉄道(株)東北支社、日本通運(株)
実 験期間
2004(平16)年10月〜2005(平 17)年9月(1年間)
輸 送経路
◇現 行:仙台←(トラック)→東広島
◇転換後:仙台←(トラック)→宮 城野駅←(鉄道)→大竹駅←(トラック)→東広島
貨  物
品目:化学薬品(過酸化水素31%
貨物量:740トン
備  考
復路は空回送



◆(株)クラレ 新潟事業所  

2010.8新潟(タ)駅
ICSU029257_0  メタクリル酸専用

2007.9大竹駅
ICSU029252_2 メタク リ:新潟(タ)→大竹

 (株)クラレ新潟事業所(新潟県胎内市倉敷町2-28)の主要生産製品としてメタクリル樹脂とその中間原料となるメタクリル酸を生産している同社webサイトよ り)ので、上記輸送の発荷主はクラレの可能性が非常に高いと思われる。

 一方、上述しているが大竹の三菱レイヨン(株)大竹事業所でもメタクリル酸とメタクリル樹脂(ア クリ ライト、アクリペット)の生産を行っており石油化学工業協会webサイトよ り)、上記輸送は三菱レイヨンで自給できない分のメタクリル酸をクラレが供給しているものであろうか…?




[1]『中国支社30年史』日本国有鉄道中国支社、1966年
[2]『広島鉄道管理局この10年史』日本国有鉄道広島鉄道管理局、1976年
[3]『そのとき石化は−決断の軌跡 検証・日本の石化産業50年』化学工業日報社、2007年
[4]『貨物鉄道百三十年史(下巻)』日本貨物鉄道株式会社、2007年
[5]渡辺 喜一「JR貨物の車両ガイド@貨車編」『鉄道ダイヤ情報No.42』第16巻第11号、通巻第47号、1987年

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