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日本ゼオン株式会社
2006.1.29作成開始  2006.6.25公開
目次
<1.会社概要>
<2.年表>
<3.工場別の鉄道輸送状況とトピックス>
@ 高岡工場  三和倉庫[日進駅]
A 川崎工場
B 水島工場
C 徳山工場
D 鉄道貨物輸送のまとめ
E その他トピックス



<1.会社概要>

【本社】東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル
【設立】1950年4月12日
【資本金】(2006年3月末)242億円
【主要株主】(2006年3月末)日本トラスティ・サービス信託銀行 株式会社11.27%、 日本マスタートラスト信託銀行6.97%、 横浜ゴム(株)4.80%、 朝日生命保険相互会社4.41%、 古河電気工業(株)3.55%
【従業員】(2006年3月末)1,992名
【連結業績】(2006年3月期)売上高2,630億74百万円 経 常利益26,459百万円

【日本ゼオンの特徴】 http://www.zeon.co.jp/welcome/aboutzeon/pride.html

□特殊ゴム
日本車のボンネットを開けると特殊ゴム部品の過半数以上が日 本ゼオンの製品
 自動車タイヤなどの汎用ゴムでトップクラスの生産量を誇るだけでなく、油や熱に強い特殊ゴムでも、世界No.1の地位を占める。日本車のボンネットを開 け てみると、そこに使われている特殊ゴム部品の過半数以上は日本ゼオンの製品。

□リーフアルコール
青葉の香りの香料は世界トップシェア

 青葉の香りのするグリーン系香料(リーフアルコール)では、全世界で圧倒的なシェアを占める。心地よくさわやかなグリーン系香料は香水やシャンプー、 ジュースなど、香りやにおいを持つ日用品や食品のほとんどに日本ゼオンの香料が使われていると言っても過言ではない。

□シクロオレフィンポリマー
環境にやさしく、軽くて透明な、いわばプラスチックガラス

 カメラ付き携帯電話やコンパクトカメラのレンズやプリズムは、ほとんどが日本ゼオンのCOP(シクロオレフィンポリマー)製。液晶テレビ、ノートパソコ ン、携帯電話などの液晶ディスプレー、給食用食器にも使われている。また、COPフィルムもIT関連製品で大活躍している。

□GPB法
ゼオンの独創的技術の礎、GPB法(ゼオン・プロセス・オブ・ブタジエン)
 エチレン生産の際に得られるC4留分から、抽出蒸留によって合成ゴムの主原料ブタジエンを効率良く製造する技術で、世界各国に技術供与し、本技術で生産 さ れるブタジエンは世界の半分近くを占めるまでになっている。


<2.年表> http://www.zeon.co.jp/welcome/profile/history.html  及び『会社案内』(2000年12月)
1950年04月 合成樹脂の製造販売を目的として、日本ゼオン株式会社を資本金5百万円で設立。本社を東京都中央区銀座西7丁目3番地の日本軽金属 (株)内に置く。
1951年01月 B.F.グッドリッチ・ケミカル社と塩化ビニル樹脂製造に関する技術提携。
1952年04月 蒲原工場(静岡県)が完成し、塩化ビニル樹脂生産開始。
1956年11月 高岡工場(富山県)が完成し、塩化ビニル樹脂生産開始。
1959年07月 川崎工場(神奈川県)が完成し、日本で初めて合成ゴム生産開始。中央研究所開設。
1961年09月 東京証券取引所に株式を上場、10月には大阪、名古屋にも上場。
1965年06月 本社を現住所(千代田区丸の内)に移設。
1965年08月 徳山工場(山口県)が完成し、GPB法(自社技術によるブタジエン抽出技術)によるブタジエン及びSBRの生産開始。
1967年03月 塩化ビニル樹脂の生産合理化のため蒲原工場閉鎖。
1969年08月 水島工場(岡山県)が完成し、塩化ビニル樹脂生産開始。
1970年09月 B.F.グッドリッチ・ケミカル社が当社保有株をすべて日本側に譲渡。
1971年11月 GPI(自社技術によるイソプレン抽出技術)設備が水島工場に完成し、IRの生産開始。
1973年08月 C5石油樹脂の生産を水島工場で開始。
1978年02月 NBRの生産を徳山工場で開始。
1980年04月 合成香料の生産を水島工場で開始。
1982年07月 電子材料事業に進出。
1984年04月 水素化ニトリルゴム「ゼットポール」の生産を高岡工場で開始。
1985年12月 熱可塑性エラストマーSISの生産を水島工場で開始。
1986年03月 重合法トナーの生産を川崎工場で開始。
1986年08月 溶液重合SBRの生産を徳山工場で開始。
1989年03月 英国BPケミカルズ社のNBR事業を買収。
1989年09月 RIM事業に参入。
1989年10月 B.F.グッドリッチ・ケミカル社の特殊ゴム部門を買収。
1990年10月 医療器材総合工場が高岡工場内に完成。
1990年11月 COP「ゼオネックス」プラントが水島工場に完成。
1994年07月 環境資材事業を本格展開開始。
1994年10月 合併処理浄化槽生産設備が水島工場に完成。
1995年07月 塩ビ事業を新第一塩ビ(株)へ移管。
1998年09月 COP「ゼオノア」を上市。
1998年12月 「ゼオローラ」の生産設備が高岡工場に完成。
1998年12月 米国DSMコーポリマー社からNBR事業を買収。
1999年09月 米国グッドイヤー社から特殊ゴム事業を買収。
2000年03月 水島工場で塩ビ樹脂生産を打ち切り、塩ビ事業から撤退。
2001年12月 COP加工工場が高岡工場内に完成。
2002年10月 LCD用光学フィルム「ゼオノアフィルム」を上市。


<3.工場別の鉄道輸送状況とトピックス>

@高岡工場(1956年11月操業開始)    

2004.8日本ゼオン(株)高岡工場 伏木油槽所  液化塩化ビニルのタンク
 高岡工 場は、1956年塩化ビニール製造工場として誕生した。プラスチック普及期の主役である塩化ビニル樹脂の量産工場として操業を続け、その需要拡大を支える 重要な役割を果たした。その後、経営環境の変遷に対応して汎用塩化ビニル樹脂の生産を水島工場へ移管し、塩化ビニル樹脂の特殊品生産に傾注。その後、電子 材料のフォトレジスト製造、ゼオン独自技術である特殊合成ゴム「ゼットポール」、次世代フッ素系溶剤「ゼオローラ」の生産をしている。
 工場敷地内には、1990年より操業開始したゼオンメディカル(株)高岡工場や、2001年より操業開始した(株)オプテス 高岡工場があり、前者は医療器材の各種カテーテルの生産、後者はCOP光学用フィルム・プラスチックレンズを生産している。

●主要製品
水素化ニトリルゴム、電子材料、医療器材

(2006年1月、2013年2月の同社webサイトより)

■高岡工場の塩化ビニル事業

 高岡工場は高岡市の熱心な誘致で進出、1956(昭和31)年から操業を開始した。初めはカーバイド、次に石油系原料のEDC(二酸化エタン)を原料に 塩 ビを生産した。
 小矢部川を挟んで対岸の二上に1967(昭和42)年秋ナフサ(粗製ガソリン)からつくるGPAプラントを完成した。価格の安かった石油原料への 100% 転換を図った。ナフサは富山市四方の簡易精製所・日本海石油から供給を受けた。県の音頭でゼオン、日産化学、北陸電力などが参加、1967年に設立した。
 富山・高岡新産業都市基本計画(1964年)は「石油精製」目玉だった。火力発電所への重油供給と「石油系原料(ナフサ)の供給による既存企業の原料転 換、合理化」が目的である。
 しかし二度のオイルショック以後、アメリカなどから安い塩ビが入るようになり国内品は国際競争力を失う。高岡工場は二上プラントを動かせば動かすほど赤 字 がかさむ。 1979(昭和54)年6月二上と荻布プラントのモノマー(ガス)生産を中止。 高岡工場はモノマーを買い、単にポリマー(粒状の半製品)に重合するだけの工場になった。生産量は6万トン、かつての二分の一だ。
(『幻の繁栄−新産都市二十年の決算《富山・高岡の場合》』北日本新聞社、1984年、p139)

 なお伏木油槽所は1967(昭和42)年10月竣工、油槽所からのパイプラインも完成した。タンク4基、7,000立方メートルの規模である。
(『伏木港史』伏木港史編さん委員会、1973年)

▼特殊塩化ビニル樹脂の製造受託解消について (2005年10月28日) http://www.zeon.co.jp/press/051028.html
 日本ゼオンは、新第一塩ビ株式会社との製造受委託を解消し、2008年3月末をもって高岡工場における特 殊 塩化ビニル生産を停止する ことに合意した。
 なお、特殊塩化ビニル樹脂製造設備は、全て新第一塩ビ株式会社所有であり、新第一塩ビ株式会社は将来的な競争力強化を実現するために同社愛媛工場に集約 す ることが最善と判断した。
 日本ゼオン並びに当社100%子会社オプテスの高岡工場は電子材料、光学フィルムなど高機能材料事業の拠点として拡大しており、特殊塩化ビニル樹脂製造 設 備跡地についてもこれら新規事業で活用を図ってゆく予定である。


■高岡工場の鉄道貨物輸送
 高岡工場には専用線があり、塩化ビニルパウダーのタンク車輸送が行われていた。また専用線内のコンテナ扱いも行っていた。専用線は国鉄末期に廃 止されたと思われる。

▼高岡工場の専用線の推移
専 用線一覧表
所 管駅
専 用者
第 三者利用者
作 業方法
作 業キロ
総 延長キロ
記  事
1957年版
能町
日本ゼオン(株)
日本通運(株)
日通機
1.3

日本曹達線に接続
1964年版
能町
日本ゼオン(株)
日本通運(株)
日通機
1.3

日本曹達線に接続
1967年版
能町
日本ゼオン(株)
日本通運(株)
日通機
1.5

日本曹達線に接続
1970年版
能町
日本ゼオン(株)
三菱商事(株)
日本通運(株)
日通機
1.5
2.0
日本曹達線に接続
コンテナによる小口扱貨物も取扱う
1975年版
能町
日本ゼオン(株)
三菱商事(株)
日本通運(株)
日通機
1.5
2.0
日本曹達線に接続
コンテナ貨物も取扱う
1983年版
能町
日本ゼオン(株)
三菱商事(株)
日本通運(株)
日通機
1.5
2.0
日本曹達線に接続

▼「昭和54年3月31日現在 私有貨車番号表」より抜粋
所 有者名
車 種
形 式
両 数
常 備駅
日本ゼオン(株)
塩化ビニール
タキ6550
13
能町


タキ20400
3


液化塩素
タキ5450
6

三菱商事(株)


5

※「昭和60年9月30日現在 私有貨車番号表」では、日本ゼオンの貨車はタキ6550形13両だけで常備駅は東水島駅になり、三菱商事の能町駅常備のタ キ5450形は1両のみとなった。


【車扱】
▼塩化ビニルの輸送(タキ6550形)
 13両あったタキ6550形は塩化ビニルパウダー輸送用の粉体専用車で、タキ6557は1967(昭和42)年4月に富士重工業で製作された。所有者は 日 本ゼオン、常備駅は 能町で、川越線は日 進駅にあったストックポイントへ運用 されていたため、当時は上越線の貨物列車の常連であった。 1980(昭和55)年4月に東水島に転属 となったが、晩年は留置となることが多く、1987(昭和62)年4月に廃車となった。(吉岡心平氏のwebサイトの「タ キ6550形6557」より)

 タキ6562は1970(昭和45)年8月富士重工業でホキ6000形6025から改造された車両である。ちなみにホキ改造のグループは5両あり、種車 は 1968(昭和43)年5月改造のタキ6558〜60がホキ5600形5629〜31、1970(昭和45)年8月改造のタキ6561、62はホキ 6000形6021、25となっていた。所有者は日本ゼオンで、 常備駅は落成時の能町か ら、昭和55年4月東水島に異動した。昭和55年10月に水島臨海鉄道の栄町ヤードで撮影さ れた際は、川越線の日進から帰ってきたところであった。1986(昭和61)年10月に廃 車となった。(吉岡心平氏のwebサイトの「タ キ6550形6562」より)

※日本ゼオン(株)高岡工場からのタキ6550形による塩化ビニル輸送は同工場がナフサを原料に塩化ビニル樹脂を作り出した1967年からスタートし、同 工場が汎用塩ビの生産拠点としての地位を失う1980年まで続けられ、その後は同社の塩ビ生産拠点となった水島工場からの輸送に従事したということだろ う。

▼日進駅の三和倉庫(株)について

  1967(昭和42)年4月には日本ゼオンの要請に基づいて大宮事業所(大宮市大成町4-884)が開設された。3,125m2の広さをもつ大宮事業所は 関東地区における塩化ビニール樹脂のバルク(粉体)輸送センターとして位置付けられており、我が国で最大規模の塩化ビニール樹脂貯蔵タンクが設置された。構内には 三和倉庫で初めて貨物の専用側線が引き込まれていたので、鉄道によって荷主と直結した輸送体制をとることができた。
 大宮事業所が建設された場所は日進駅のほぼ500mの至近距離にあり、国道16号、17号など幹線道路を通じて関東一円
の需要家との配送に便利だった。この土地はもともと日進駅がバルク製品や液状製品の基地として活用することを予定していたことでも分かるように、ストック ポイントとして非常に優れたいた。
 日本ゼオンから委託された作業は同社高岡工場から専用貨車で運ばれてきた塩化ビニール樹脂粉末をいったん側線際の大型貯蔵タンク(サイロ)で保管した 後、専用タンクローリー車に積み替えて需要家へ配送することである。このため専用貨車から塩化ビニール樹脂を取り出す装置(エアースライド)、貯蔵タンク (250t3基)、サイロへの空気圧送装置、サイロからの搬出装置などがあった。
 しかし、1984(昭和59)年に川越線の複線化工事が始まったことで、引込線部分を国鉄に返還したので、引込線を利用することによって機能していた塩化ビニール用サイロを撤去し た。塩化ビニール用サイロの跡地には普通倉庫が建設された。
(『三和倉庫50年史』2000年、p39-40)


▼日進駅接続の三和倉庫(株)専用線の推移

専 用線一覧表
所 管駅
専 用者
第 三者利用者
作 業方法
作 業キロ
総 延長キロ
記  事
1967年版
日進
三和倉庫(株)
私有機
0.5

大成建設(株)線から分岐
1970年版
日進
三和倉庫(株)

私有機
0.5
0.1 大成建設(株)線から分岐
1975年版
日進
三和倉庫(株)

大成建設機
0.5
0.1
大成建設(株)線から分岐
1983年版
日進
三和倉庫(株)
旭電化工業(株)
私有機
0.6
0.6



2006.6三和倉庫(株)埼玉事業所

【コンテナ】
発 駅
発 荷主
品 目
着 駅
着 荷主
コ ンテナ
目 撃
能町
ゼオン
塩ビ
百済
ラビット
UV1(JOT)
1999.4能町駅
※発荷主はセブンのようにも見えたがゼオンだろう。


■塩ビ生産以外の高岡工場
 2008年3月に高岡工場は特殊塩化ビニル生産を中止したことで、操業開始以来の塩ビ生産の歴史は幕を閉じた。現在は機能化学品の生産拠点として生まれ 変わっている。

▼日本ゼオン、水素化ニトリルゴムの生産能力増強 (1997年5月19日) http://www.zeon.co.jp/press/970519.html
 日本ゼオンは、水素化ニトリルゴム(商標名ゼットポール:Zetpol)の世界的な需要増大に対応して、同社高岡工場(富山県高岡市)内にある同製品の 製造プラントの生産能力を1,000トン増強し、 3,800トン/年にすることを内定した。関係官庁の認可が取れ次第着工し、本年内に完成させる予定。 同製造プラントは1995年3月にも1,000トンの能力増強を実施しているが、その後の需要の増大に合わせてさらなる増強を決定したものである。

1.能力増強の概要
(1)プラントの所在地: 富山県高岡市荻布630 日本ゼオン(株)高岡工場内
(2)生産能力: 1,000トン増強 (合計 3,800トン/年)
(3)投資額: 数億円以内
(4)完成予定: 1997年12月

2.増強完了後の同社水素化ニトリルゴム生産能力
プラント名
生産能力(ト ン/年)
所在地
高岡プラント
3,800
富山県高岡市
米国プラント
1,800
米国テキサス州ヒューストン

3.水素化ニトリルゴムの特徴と用途
(1)日本ゼオンが1975年から基礎研究に着手し、世界に先駆けて独自技術で開発した 耐油性特殊ゴムで、 耐油性の他に、耐熱性、耐寒性、耐オゾン性、耐酸敗ガソリン性、耐薬品性等の耐久性、及び機械的強度等の諸特性が優れており、極めて高い性能バランスを有 する"高機能ゴム"である。現在、日本ゼオンとドイツのバイエル社の2社で世界市場を占有している。
(2)タイミングベルト、燃料系ゴム部品(ホース、ダイヤフラム等)、オイルシール、パッキン等の各種自動車部品として世界的に使用されており、着実に需 要を伸ばしている。また、その優れた特性から各種工業部品、ロール、石油掘削部品等幅広い分野で用途が広がりつつある。さらに同製品の特性を、独自の技術 によって飛躍的に向上させた特殊な超高強度ポリマーである"ゼオフォルテ"(商標名)もその用途を大きく拡大しつつある。

▼ 高岡で新生産拠点 日本ゼオンが検討 光学フィルムなど高機能材料の生産拡充 (2005 年10月29日『北國新聞』
 日本ゼオン(東京)は、高岡工場がある同市内で、光学フィルムなど高機能材料の生産を拡充する新たな生産拠点を設ける検討に入った。縮小傾向にあった特 殊 塩化ビニールの製造停止に伴い発生する高岡工場内の跡地を含め、市内複数の候補地から選定を進めているとみられる。

 同社は2005年、大型液晶テレビ用の光学フィルム「ゼオノア」の生産と精密光学系商品の研究開発を、子会社のオプテス高岡工場に集約した。需要の急伸 が 予想を上回り、当初計画を1年前倒しした来秋までに、現状の2.6倍まで増産する方針を明らかにしている。県によると、増産に伴い、新湊市での大型生産拠 点開設も検討したが、実現には至らなかった。

 同社は創業時の主力事業であった塩化ビニール事業を、新分野拡張に伴い、2000年3月に撤退した。現在は、新第一塩ビ(東京)からの製造受委託分だけ を 高岡工場で担い、年間売上高ベースでは約20億円まで縮小していた。新第一塩ビが同事業を愛媛工場に集約するため、2008年3月末で完全に生産停止する ことが、28日までに決まった。高岡工場内の塩ビ設備跡地のほか、県、高岡市も、増産のための候補地を同社に提示しており、今後、本格的に検討が進むとみ られる。



A川崎工場(1959年7月操業開始)  

2003.8川崎工場
 川崎地 区石油化学コンビナートの一画に位置する川崎工場は1959年7月に我が国で初めて合成ゴムの量産を開始した。以来、40年以上にわたり自動車の重要保安 部品であるベルト、ホース等に使用される耐油性、耐熱性に優れた特殊合成ゴム、コート紙やカーペットのバインダーとして、またゴム手袋や化粧用パフにも使 われる合成ラテックスを製造してきており、年産4,000tでスタートした生産体制も現在では10万トンを超える規模となっている。「首都圏の強みを活か した先進的な工場を創造する」を事業所基本方針に、独創的技術に基づく優れた品質の製品群を生産している。

●主要製品
1. 合成ゴム
アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリルゴム、ポリブレンド、ハイスチレンゴム

2.合成ラテックス
アクリロニトリル・ブタジエンラテックス、スチレン・ブタジエンラテックス、アクリレートラテックス、ハイスチレンラテックス

(2013年2月現在の同社webサイトより)

【車扱】

1999.1川崎貨物駅(側線でタンク車に荷役)

2003.8川崎貨物駅(側線は使用停止状態)

発 駅
発 荷主
品 目
着 駅
着 荷主
備  考
目  撃
塩浜操

ラテックス
新南陽
日本ゼオン側入
日本ゼオン
1月5日積
神奈川臨海通運(株)の荷票
タキ35958(JOT所有)
1999.1川崎貨物駅

タキ35958(JOT 郡山駅常備)+タキ15701(JOT 郡山駅常備)+タキ8850 (JOT 郡山駅常備)+タキ8855(JOT 郡山駅常備)
※全て新南陽駅臨時常備、臨時使用者:日本ゼオン株式会社
※タキ35958(ガソリン専用)及びタキ15701(メチルメタアクリレート)は臨時専用種別がラテックス


【コンテナ】
2004年8月12日 高岡貨物駅にて目撃
UST2-85906(NRS ラテックス専用)[左]
川崎貨物(中央通運)→高岡貨物
UT11A-5064(日本ゼオン ラテックス)[右]
川崎貨物(ヤマト運)→高岡貨物



※高岡貨物駅では、ISOタンクコンテナでラテックス:東水島(旭化成水島)→高岡貨物(日本製紙伏木)の輸送を目撃した。
そのため日本ゼオンも日本製紙(株)伏木工場へラテックスを輸送していると思われる。


発 駅
発 荷主
品 目
着 駅
着 荷主
コ ンテナ
目 撃
川内

返送タンク
川崎貨物

UT5A-40(ラテックス専用)
JOT所有 借受者:日本ゼオン
1999.3川崎貨物駅
※川崎の日本ゼオンから川内の中越パルプ工業(株)にラテックスを輸送か?



B水島工場(1969年7月操業開始)   

 倉敷市 の水島臨海コンビナートの一角に、1969年、汎用塩化ビニル樹脂の生産拠点として水島工場は誕生した。その後、ブタジエンモノマー抽出プラント(C4- GPBプラント)、イソプレンモノマー抽出プラント(C5-GPIプラント)更にはイソプレンゴム、合成香料や高機能性樹脂などのC5関連製品プラントが 続々と建設され生産を続けている。
 ゼオンのC5事業は、自社開発技術の《GPI法》の成功によって世界でも類を見ない発展をとげており、GPI法によってC5留分より抽出されたイソ プ レンはイソプレンゴムIR、熱可塑性エラストマーSIS、ジシクロペンタジエンはC5石油樹脂クイントン1000シリーズ、RIM成形品、ピペリレンは C5石油樹脂クイントン100シリーズ、エポキシ樹脂硬化剤、アミレンはコンクリート流動剤、生コン減水剤、分散剤、他のC5ケミカルは合成香料、光学樹 脂の各原料として水島工場内で使用されている。水島工場はC5に強いゼオンを代表する生産拠点である。

●主要製品
イソプレンゴム、熱可塑性エラストマーSIS、C5石油樹脂、コンクリート流動化剤/減水剤/分散剤、光学樹脂、リム成形品、合成香料、イソプレンモノ マー、ブタジエンモノマー(岡山ブタジエン (株))

(2006年1月、2013年2月の同社webサイトより)


■塩化ビニル

▼タンク車による輸送

 13両あったタキ6550形は塩化ビニルパウダー輸送用の粉体専用車で、タキ6557は1967(昭和42)年4月に富士重工業で製作された。所有者は 日 本ゼオン、常備駅は 能町で、川越線は日 進駅にあったストックポイントへ運用 されていたため、当時は上越線の貨物列車の常連であった。 1980(昭和55)年4月に東水島に転属 となったが、晩年は留置となることが多く、1987(昭和62)年4月に廃車となった。(吉岡心平氏のwebサイトの「タ キ6550形6557」より)

 タキ6562は1970(昭和45)年8月富士重工業でホキ6000形6025から改造された車両である。ちなみにホキ改造のグループは5両あり、種車 は 1968(昭和43)年5月改造のタキ6558〜60がホキ5600形5629〜31、1970(昭和45)年8月改造のタキ6561、62はホキ 6000形6021、25となっていた。所有者は日本ゼオンで、 常備駅は落成時の能町か ら、昭和55年4月東水島に異動した。昭和55年10月に水島臨海鉄道の栄町ヤードで撮影さ れた際は、川越線の日進から帰ってきたところであった。1986(昭和61)年10月に廃 車となった。(吉岡心平氏のwebサイトの「タ キ6550形6562」より)

 塩ビの主力生産拠点が高岡工場から水島工場に移ったことに伴い、タンク車の輸送も東水島駅発送に変更されたわけだが、その後塩ビ事業そのものから日本ゼ オ ンは撤退することになる。
 以下、水島工場における塩ビ事業の推移を纏めておこう。

▼塩ビ事業の統合による「新第一塩ビ」設立 (1994年12月5日) http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/19941205_1.pdf
 日本ゼオン(株)、住友化学工業(株)、サン・アロー化学(株)及びサン・アローの親会社の(株)トクヤマの4社は、このほどそれぞれの塩化ビニル(以 下 塩ビという)事業を更に発展させるため、各社の塩ビ事業を統合して新会社を設立することで合意した。日本ゼオン、住友化学およびサン・アローは、塩ビ樹脂 に関して呉羽化学工業(株)とともに1982年3月、第一塩ビ販売(株)を設立して共同販売を行うとともに、種々の合理化計画の一環として共同研究を行 い、1990年にはその成果を実現すべく、第一塩ビ販売を含めた5社共同で第一塩ビ製造汲設立し、住友化学千葉工場内に最新鋭の塩ビ製造設備を建設し た。一方、わが国の塩ビ事業は需要の伸びの鈍化と海外市況の影響を受けた売価の低下、原料コストの上昇により再生産可能利益を確保するどころか、最近では 各社とも深刻な赤字の状況に陥っている。こうした状況のもとで第一塩ビ・グループでは、引き続き供給責任を果すとともに品質改良等の需要家の要請に応え、 今後とも塩ビ事業を発展させていくための方策を検討してきた。その結果、各社の事情を勘案し、今般、呉羽化学を除いた3社はそれぞれの塩ビ事業を統合して 製販一体の新会社を設立し、一体化による合理化と各親会社の全面的な協力により、これを需要家に信頼される国際競争力をもつ会社に育成していくこととした もの。

1.新会社の概要
新会社設立は第一塩ビ販売の再編成(呉羽化学持株の買取り、サン・アロー持株の一部のトクヤマへの譲渡、増資、社名変更)により行う。
@社名:新第一塩ビ株式会社(Shin Dai-Ichi Vinyl Corporation) 商標ZEST
A本社:東京都
B資本金:70億円(第一塩ビ販売の資本金 90百万円を増資する) 出資比率 日本ゼオン40%、住友化学30%、サン・アロー20%、トクヤマ10%
C社長:佐伯康治(現日本ゼオン 専務取締役)
D営業開始:1995年7月1日(目標)
E事業目的:将来は原料VCMから加工品までの総合塩ビメーカーを目指す。スタート時は塩ビ樹脂(ペースト、特殊品を含む)の製造販売と、日本ゼオンの製 造する塩ビ強化剤MBS樹脂の販売を行う。
F工場と能力:3社の5工場(千葉、高岡、水島、新居浜、徳山)の塩ビ樹脂製造設備を譲受ける。合計製造能力は 430千トン/年となる。
G従業員:約80名(営業、研究、管理)なお製造は各親会社に委託するため、製造要員は含まない。
H初年度売上高:年間400億円

2.新会社のねらい
 塩ビ専業メーカーとして需要家の諸要請に迅速に応える体制をつくる。
 汎用品、ペースト、特殊品を揃えた国内最大メーカーとして、また東西各地の拠点を有効に活用して、製品の安定供給を行う。
 一体化により最適生産・最適輸送体制を確立し製造コストの低減を図る。将来的にはスクラップ・アンド・ビルドにより合理的生産体制を確立する。
 原料に関しては、親会社が出資する山陽モノマー、千葉塩ビモノマー及びサン・アロー化学のVCMを優先活用するが、親会社間の協力によりそれらVCMの コ スト低減を図る。
 将来的には親会社の強みを生かし、塩素/エチレン、モノマー、ポリマーの一貫体制の中で国際競争力のあるVCMの確保を目指す。
 販売、研究、管理の集約により効率化を図るとともに、研究体制の強化を行う。 各親会社は新会社の事業運営を全面的にバックアップする。

3.第一塩ビ・グループの共同販売体制改組について
 呉羽化学工業(株)、サン・アロー化学(株)、住友化学工業(株)および日本ゼオン(株)の4社は、1982年3月に第一塩ビ販売(株)を設立し、4社 の 塩化ビニル(以下、塩ビ)樹脂の共同販売会社として運営してきたが、今般、呉羽化学を除く3社がそれぞれの塩ビ事業を統合して、(株)トクヤマとともに合 弁事業として新たに発足させることとなったため、第一塩ビ販売を以下のとおり改組することとした。
 日本ゼオン、住友化学、トクヤマ、サン・アローの4社は1995年7月1日を目途に第一塩ビ販売の増資を行うとともに社名を新第一塩ビ(株)と改称し、 そ れぞれの塩ビ樹脂事業を同社に譲渡する。
 呉羽化学はその所有する第一塩ビ販売の株式を、上記新会社発足までの出来るだけ早い時期に、他の3社に譲渡する。


▼新第一塩ビ トクヤマが子会社化 70%出資 工場を集約し再建 (1999年5月17日 日本経済新聞 13面)
 トクヤマは日本ゼオン、住友化学工業と共同出資する塩化ビニール樹脂業界3位のメーカー、新第一塩ビ(東京・港)を来年3月までに子会社化する。現在は 日 本ゼオンが40%を出資し筆頭株主となっているが、トクヤマが70%にまで出資を引き上げる。新第一塩ビは不況による塩ビ樹脂需要の低迷を受け、収益が悪 化している。主力工場の生産停止を決めたのを機にトクヤマ主導で再建を進める。

 新第一塩ビは95年に3社の塩ビ樹脂事業を統合して設立した。資本金は70億円。現在の出資比率は日本ゼオンが40%でトクヤマグループと住友化学がそ れ ぞれ30%。累積損失解消のため、近く減資し、さらに二段階に分けて増資する計画で、最終的にトクヤマが70%前後を、日本ゼオンと住友化学が15%前後 ずつを出資する見通し。新第一塩ビは主力工場の1つで、日本ゼオンから譲渡を受けた水島工場(岡山県倉敷市)での塩ビ樹脂生産を停止する方針。今後はトク ヤマから 譲渡を受けた徳山工場(山口県徳山市)を中心に生産する計画で、資本面でもトクヤマ主導を明確にする。


▼山陽モノマー(株)の解散および清算 (2000年2月10日)  http://www.zeon.co.jp/press/000210.html
 日本ゼオン株式会社(以下、日本ゼオンという。)は、平成12年2月10日開催の取締役会において、下記のとおり、日本ゼオンの子会社である山陽モノ マー 株式会社を解散することを決議した。

1.解散および清算に至った経緯
 山陽モノマー株式会社(以下、山陽モノマーという。)は、日本ゼオン等に塩化ビニール樹脂の原料モノマーを供給するための塩ビモノマー製造を目的とし て、 日本ゼオン、旭化成工業株式会社、チッソ株式会社の3社の出資により、昭和43年3月12日に設立された。
 日本ゼオンは平成7年7月1日に塩化ビニール事業を新第一塩ビ株式会社(以下、新第一塩ビという。)に営業譲渡し、以後、日本ゼオンは山陽モノマーの塩 ビ モノマーを新第一塩ビに供給してきた。しかしながら、 新第一塩ビが同社水島工場の操業を平成12年3月末日をもって休止することを決定したことにより、山陽モノマーの今後につき上記出資3社で 協議をした結果 、筆頭株主である日本ゼオンが山陽モノマーの全株式を買い取ったうえ、操業停止とすることに合意した。

2.解散時期
 特段の事情のない限り、平成12年6月開催予定の山陽モノマー定時株主総会にて解散決議予定。

3.山陽モノマー株式会社の概要
(1)本店所在地:東京都千代田区丸の内三丁目2番3号
(2)工場所在地:岡山県倉敷市児島塩生字新浜2767番2(日本ゼオン水島支社に隣接)
(3)資本の額:4億5千万円
(4)主な株主構成(出資比率):日本ゼオン(株)・・・55%、旭化成工業(株)・・・25%、チッソ(株)・・・20%


▼新第一塩ビ、累損一掃へ 今期 60億円減資や収益改善
 (2005年1月31日 日経産業新聞 22面)
 トクヤマ系の塩ビ統合会社、新第一塩ビは2005年3月期で累損を一掃する見通しとなった。前期末の累損は資本金に匹敵する約80億円に達していたが、 60億円減資することで同額を相殺。残る20億円は今期の利益でまかなう考え。供給能力削減を背景にした値上げや、需要の下げ止まりで、収益性が改善して いるのを機に、財務体質を健全化する。

 60億円の減資は現在、登記手続き中で月内にも完了する見込み。新たな増資はしないため、新資本金は20億円となる。資本構成はトクヤマ71%、日本ゼ オ ンと住友化学が各14.5%で変わらない。同時に欠損金も約20億円まで減少。今期に同額程度の当期利益を想定しており、今期末で累損は一掃できると見て いる。

 新第一は塩ビ樹脂の統合会社の第1号として、日本ゼオンが40%、住友化学とトクヤマが30%ずつ出資し1995年に発足した。その後、ゼオンが主導的 な 役割をひき、2000年に減増資を実施し現在の資本構成に変更。トクヤマ主導で再建を進めてきた。2004年9月中間期は売上高130億円程度で10億円 強の利益を計上した模様。下期も同様に推移すると判断し、バランスシートを改善する。

▽塩ビ、需給均衡で回復 一段の再編も

 塩ビ樹脂業界の2004年度中間期業績は主要5社すべてが黒字になった。新第一塩ビだけでなく、東ソー系の大洋塩ビ、信越化学工業、カネカも当期損益は い ぜれも10億円を超えた模様。回復の遅れていた三菱化学系のヴイテックも若干のプラスになった。業界全体で1992年度以降、赤字の続いていた塩ビ樹脂各 社の収益力の回復は大きく2つの要因からなる。1つはメーカーの集約・撤退を通じた設備廃棄による生産能力の削減、もう1つは内需の下げ止まりだ。

 1999年末時点の生産能力は業界全体で、年290万トン強だった。その後、新第一塩ビが主力の水島工場(岡山県)で同10万5千トンの設備を廃棄した ほ か、大洋塩ビに営業譲渡した呉羽化学工業が同10万トンの設備を停止するなどした結果、現在は約2割減の同230万トンまで縮小した。

 一方、1995年の205万トンをピークに減少に転じていた内需は、2004年に146万8千トンで5年ぶりに増加した。近年は145万トン前後でほぼ 安 定しており、落ち込みには歯止めがかかった。大手電機メーカーが全廃方針を見直すなど塩ビ忌避の流れに変化が見え始めたことや、樹脂サッシなど新規需要が 生まれたためだ。

 中国向けを中心に好調な輸出を合わせた出荷量は約215万トンとなり、生産能力230万トンとのギャップは大幅に縮小。需給はタイトになっている。その 結 果、昨年に原料価格高騰の転嫁を目的とした二度の値上げに成功。値決め方式も樹脂メーカーに不利だった後決めから、念願の先決めに移行、これらの要因が重 なり業績改善につながった。

 当面は需給が大幅にゆるむとは考えにくい。だが塩ビ業界はこれまで、生産設備の稼働率維持とシェア向上を目指した乱売がなかなか収まらなかった。今後、 市 況が軟化した際、安売りや後決めの復活を避けるには、各社が一段と経営体質の改善に取り組むのはもちろん、さらなる合従連衡も視野に入れるべきだろう。 (川崎満)

▽塩化ビニール樹脂の国内生産シェア(カッコ内は株主、シェアは日経 推定)
大洋塩ビ(東ソー、三井化学、電気化学工業)
信越化学工業
カネカ
ヴイテック(三菱化学、東亞合成)
新第一塩ビ(トクヤマ、日本ゼオン、住友化学)
その他
25.4%
21.9%
21.2%
12.1%
11.6%
7.8%
※2003年の生産量(214万7,900トン)ベース


■ジシクロペンタジエン
 下記の「物流ニッポン新聞」の記事には3ヶ所の間違いがあると思われ、実際には日本ゼオンのISOタンクコンテナ輸送が開始された内容と思われる。交通 新 聞や日本ゼオンのプレスリリースから訂正をした箇所にの ように訂正をした。尚、交通新聞から分かることは、1998年4月から水島コンビナートで生産された化成品が山形県内の工場まで運ばれること。また日本ゼ オンのプレスリリースから分かることは、1998年4月に日本ゼオンの全額出資子会社が山形県米沢市に水島工場で生産するジシクロペンタジエンを原料とす る工場を完成させたということ。

1998. 1.11〜 1.17 物流ニッポン新聞社 http://www.transport.jp/butsuryu/pastnews/h980103l.html#kiji9
▼海コン仕様で化成品輸送/鉄道初「タンク」利用…………………JR貨物
 日本貨物鉄道(株)(JR貨物)の金田好生社長は13日に開いた記者会見で、4月から海上コンテナ仕様の新型タンクコンテナで、石油化学品( ジミクロペンタジエンジシクロペンタジエン)の鉄道輸送を開始する−− と発表した。

 工場間の危険物国内輸送で、タンクコンテナによる鉄道利用は、わが国では初めて。従来は船舶輸送がメーンだったが、コスト、安全性などから鉄道の優位性 が 認められた形となった。当面は1日当たり2個を輸送するが、荷主のニーズに応じ拡大していく。

 水島臨海鉄道(株)(中田武志社長、岡山県倉敷市)の東水島駅発、郡山貨(タ)駅(福島県郡山市)着のルートでスタート。郡山に到着した後、トラックに 積 み替えられ、 県内山形県の工場に運ばれる。コンテナ は、長さ6,058ミリ(20フィート)、幅2,438ミリ(8フィート)、高さ2,591ミリ(8.6ミリ)で、荷重16.5トン、自重3.5 トンと、規格は20フィート海上コンテナ仕様となっている。日本石油輸送(株)が開発、所有するもので、リースにより 日本石油(株)日本ゼオン(株)が利用。


▼JR貨物 水島臨海 船からレールへ 化成品輸送を誘致 海上サイズのコンテナ利用 (1998年1月16日 交通新聞 3面)
 JR貨物の郡山貨物ターミナル駅とグループの水島臨海鉄道東水島駅の間でこの4月から、我が国で初めてになる海上コンテナサイズのタンクコンテナを使っ た 石油化学製品の鉄道輸送がスタートする。タンクコンテナに載るのは、水島コンビナートで生産された化成品。郡山に運ばれた後、トラックに積み替えられて 山形県内の工場に運ぶ。従来は輸送手段を主に船舶に頼っていたが、海上輸送の場合、
@港にタンクなどの保管施設が必要
A化成品を運ぶ船が比較的小型で安定性に欠ける
のが欠点。そこで、同臨海鉄道と地元のJR貨物岡山支店が定時性と安全性に優れた鉄道輸送のメリットを武器に、コスト面も含めて積極的なセールス活動を展 開。今回、待望の「オンレール化」に成功した。

 実際の輸送では当初、これまでの10トンタンクコンテナの使用が検討されたが、着側の郡山貨タ駅に海上コンテナの荷役に対応できるフォークリフト(トッ プ リフター)が既設されていたことから、東水島側でも新たに導入を決定。20フィートコンテナが初めてお目見えすることになった。

 ちなみに、10トンと20フィートのタンクコンテナは、ともに長さ6.06メートル、幅2.44メートル、高さは20フィートが2.59メートル、10 ト ンが2.44メートルで、サイズ自体はほとんど変わらない。しかし、荷重は20フィートが10トンの1.65倍に当たる16.5トンまで積載でき、まさに 効率的輸送にはぴったりというわけ。コンテナは日本石油輸送が製作し、荷主企業にリースする。
 輸送量は当面は1日当たりコンテナ2個だが、将来的には拡大も予定。JR貨物営業部では、今回の実績をばねに新規荷主の開拓に力を入れる構えだ。


▼日本ゼオン RIM成形用原料製造設備が完成 事業拡大へ (1997年5月8日) http://www.zeon.co.jp/press/970508.html
 日本ゼオンは、 RIM成形品の需要拡大に対応して、同社水島支社(岡山県倉敷市)内にあるRIM成形用原料の高純度 ジシクロペンタジエン(DCPD)製造設備の大幅増設工事を進めていたが、この程完成した。従来生産 能力は年産 4,000トンだったが、今回の増設で年産30,000トンになった。関係官庁の検査・承認を得次第、試運転を経て、本格稼動に入る。
 今回の大幅能力増強は、需要の急拡大に対応すると同時に、本事業の将来性を見越して実施したものである。即ち、RIM成形品は、その優れた加工性・物 性・ 経済性等から、鉄板、鋳物、繊維強化プラスチック(FRP)等を代替してきており、様々な用途に広がりを見せてきている。
 同社は、増強設備の稼働率を早急にアップさせるため、既存用途への拡販と新用途開拓に、より一層注力して行く。販売体制強化と責任所在の明確化を図る 為、 既に本年4月1日付けでRIM事業部内に東日本販売部と西日本販売部を新設しているが、今後、販売員を増強し、全国展開に拍車をかけて行く考えである。

1.日本ゼオンのRIM成形品事業
 同社が世界に誇るC5留分の総合有効利用の一環として、同留分中のDCPDの有効利用を促進するために研究開発された。
 89年3月、米国グッドリッチ社と共同で、DCPDを原料とするRIM(反応型射出成形)方式の大型成形品製造技術を開発し、その技術をベースにプラス チック成形品事業としてスタートした。原料から成形品製造までの一貫システム「ゼオンリム」を確立しており、商標名「ペンタム」として販売を展開してい る。

2.「ペンタム」の特長
 ペンタムは、低粘度、低圧、低温で成形が可能であることから、大型且つ複雑な成形が比較的容易に出来る。成形品は汎用エンプラ並みの機械強度、耐衝撃 性、 耐熱性を備え、低吸水性で寸法安定性にも優れる。さらに形状記憶性も有している。

3.「ペンタム」の用途
 建設機械や農業機械のパーツ、パワーショベルカー用バンパー、ローントラクター用フードなどをはじめ、建農機メーカー全社に採用されている。また、ト ラッ クのルーフラックや業務用ゲーム機のハウジング、真空下水道システム用の枡など、鉄板や鋳物の代替、繊維強化プラスチック(FRP)に代わる材料として、 用途が拡大している。特に、95年春上市した一般 家庭排水処理用の合併処理浄化槽は、ペンタムの高強度性に基づく現場施工の容易さが高く評価され、急激に販売を伸ばしている。

4.今回の設備増強の内容
(1)高純度DCPD製造設備
 所在地:日本ゼオン水島支社内(岡山県倉敷市児島塩生字新浜2767−1)旧能力4,000を、30,000トン/年に増強した。RIM成形用には、更 に 純度アップした高純度品が必要なため。
(2)投資金額:約 10億円

5.当RIM事業の年間売上規模
 現在:約 50億円 2000年予想:120億円


▼日本ゼオン、米沢市に化学品の新工場完成 (1997年4月14日) http://www.zeon.co.jp/press/970414.html
 日本ゼオンは、山形県米沢市の米沢八幡原中核工業団地に化学品製造用多目的プラントを建設 し ていたが、このたび完成した。今後、試運転を経た後、5月には本格操業を開始する予定。
 該社は、水島支社(岡山県)内の既存設備能力では、化学品関連製品の需要拡大に対応出来なくなってきたため、米沢市に新工場建設を急いでいたもの。今 後、 この米沢を化学品事業の第2生産拠点として拡大して行く方針で、今回の工場建設は、その第1期工事となる。

1.新工場は、日本ゼオン全額出資の別会社とする。本別会社は生産会社であり、製品の販売は日本ゼオン化学品事業部が行う。
(1)会社名:ゼオンケミカルズ米沢株式会社
(2)資本金:90百万円
(3)所在地:〒922−11 米沢市八幡原3−446−13
(4)生産品目:合成香料、医農薬中間体、工業薬品
(5)従業員数:10名

2.日本ゼオンの化学品事業
(1)同社は、ナフサ分解によって得られたC5留分を原料として、自社開発したGPI法(ゼオン・プロセス・オブ・イソプレンの略。イソプレン抽出技術) により、イソプレンモノマー、ジシクロペンタジエン、ピペリレン、アミレン、その他モノマーを製造している。更に、その各種モノマーを原料に、イソプレン ゴム、熱可塑性エラストマーSIS、C5石油樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、コンクリート流動化剤、RIM成形品(合併処理浄化槽他)、光学樹脂、その他各種 の誘導品を製造している。この様にC5留分を総合的に有効利用している例は、世界でも外には見られず、同社はC5留分の総合有効利用にかけては世界一と自 負している。

(2)同社の化学品事業は、C5留分の有効利用率を向上させる目的で、約20年前に香料の研究開発を開始し、80年代初頭に水島支社内に合成香料工場を完 成して合成香料市場に参入したことからスタートしている。その後、各種医農薬中間体、工業薬品を加え、ファインケミカル事業として発展してきた。事業拡大 に伴い、昨年7月に従来の化成品事業部化学品部から、化学品事業部として分離独立した。現在、化学品事業の中核を成すのは合成香料で、グリーン系及びジャ スミン系香料を得意とし、約30種類を製造販売している。特にグリーン系香料の中でもポピュラーな“青葉アルコール”に関しては、世界需要の過半を押さ え、文字通 り世界一である。またジャスミン系でも汎用的に使用される“メチルジヒドロジャスモネート”では、世界第2位 のシェアを有している。以前は、国内香料業界でも、該社の知名度は低かったが、現在では世界トップ・テンの香料会社の全てと取引関係を持つに至っており、 合成香料メーカーとして世界的に知られる存在になっている。
その他に、合成香料の開発で培った高度な有機合成技術と、C5留分から得られる各種モノマーやその他の該社固有原料とを組み合わせて、各種医農薬中間体を 製造販売している。
工業薬品では、やはりC5留分を有効利用して、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノン等のユニークな製品を製造販売している。


▼日本ゼオン、米沢市にRIM成形品工場が完成 (1998年4月20日)  http://www.zeon.co.jp/press/980420.html
 日本ゼオンは、C5留分の総合利用推進の一環として注力しているRIM成形事業に関し、RIM成形品の需要拡大に対応するため山形県米沢市の自社所有地 内 にRIM成形品工場の建設を急いでいたが、この度、その第1期工事分の成形用原料の配合液製造工場が完成した。当社はRIM成形品事業に関し、同社水島支 社内(岡山県水島市)に原料から成形加工迄の一貫した生産設備を保有しており、昨年5月に 主原料となる高純度ジシクロペンタジエン(DCPD)の製造能力を、4,000トンから一気に30,000トンに増強実施済である。この度 の米沢市でのRIM成形品工場の完成により、東日本の需要家への納期短縮、物流コストダウン等を図ると同時に、生産拠点の複数化による安定供給体制の強化 を図る。

1.RIM配合液製造工場の所在地
山形県米沢市八幡原3−446−13 同地には、昨年4月、ゼオンケミカルズ米沢(株)の化学品工場を完成させている。

2.配合液製造設備
上記の高純度DCPDを主原料に、触媒その他を加えた配合液を製造する設備である。 ゼオン・リム・システムと成形品(商品名 ペンタム)の生産工程を下記に示す。
(1)配合液の年産能力: 完成分:7,000トン。水島の既存5,000トンと合わせて、合計12,000トンとなった。
(2)投資金額: 約5億円(今回の第1期工事分として)
(3)なお、時期は未定だが、第2期工事として、成形工場の建設を予定している。


■コンクリート混和剤

2000年5月19日 宮城野駅にて目撃
UT4A-43(日本ゼオン コンクリート混和剤専用)
QF540:東水島(ゼオン)→宮城野(アトミックス)



2004年6月6日 酒田港駅にて目撃
UT4A-42・44・45(JOT コンクリート混和剤専用)
QF542:東水島(日本ゼオン)→酒田港(テルナイト)



(株)テルナイト http://www.telnite.co.jp/
1955(昭和30)年9月、日本唯一の泥水材料専門メーカー『帝石テルナイト工業株式会社』として設立され、
さらに、1971(昭和46)年10月には、泥水エンジニアリング部門を新たに加えて、総合泥水会社『株式会社テルナイト』として再発足。
現在の事業範囲は、国内外の石油、天然ガス、地熱エネルギー等の開発ボーリングに使われる泥水、セメント材料及び技術の提供にとどまらず、
土木建築の基礎工事、シールド工事、廃泥処理、残土処理など、泥水に関するあらゆる分野に広がってきている。


▽酒田工場全景(山形県酒田市大浜1丁目2番14号) ※奥に酒田港駅が見える。
酒田工場は、会社が創立された昭和30年9月当初よりここ山形県酒田市大浜地区において生産活動を行っている。
また、昭和42年には販売量の拡大に伴い酒田市高砂地区にバライトの製造工場を増設した。
さらに、100種類以上にもおよぶ各種調泥剤・肥料・化成品等の配送拠点としての倉庫も充実し、日夜、全国各地へ製品・商品を出荷している。
工場製造品の主原料は、中国や欧米よりの輸入によるもので、定期コンテナ船などにより酒田港に入ってくる。
石油掘削現場における廃泥処理業務や環境関連事業の機器・装置の組み立て、メンテナンスについても酒田工場が担当。


■その他製品

1999年3月28日 豊橋駅にて目撃
JRコンテナ
化学製品:東水島(日本ゼオン)→豊橋(日通豊橋)


▼日本ゼオン 水素化シクロオレフィンポリマーの生産能力を大幅増強 (1996年12月19日)  http://www.zeon.co.jp/press/961219.html
 日本ゼオンは、同社水島支社(岡山県倉敷市)内に、水素化シクロオレフィンポリマー(商標名: ゼオネックス)の生産設備1系列(年産能力 2,000トン)を増設することを決定した。同設備の完成は、1997年11月を予定している。
 同社では、1990年秋に同社水島支社内に上記ポリマーの生産設備1系列(年産 1,000トン)を完成させ、製造・販売を行ってきた。用途開拓の進展とともに、このところ販売量 も飛躍的に増加し、設備能力一杯になってきたので、本既存生産設備の隣接地に設備1系列を増設して、2系列生産体制を敷くことに決定した。
 本能力増強の暁には、現在の主要2品種(汎用グレード、低複屈折グレード)に加えて、既に研究を完成している高強度グレードの販売も開始する。

1.水素化シクロオレフィンポリマー(商標名: ゼオネックス)
 C5留分中に含まれるジシクロペンタジエンを基本原料とする高透明性プラスチック。日本ゼオンはC5留分を分離・精製する世界最大規模のプラントを有し て おり、そのプロセスから得られる高純度ジシクロペンタジエンを原料に使用している。なお、日本ゼオンは、本プラスチックの開発・企業化に関し、本年3月に 日本化学会より平成7年度日本化学会化学技術賞を授与されている。
 同ポリマーは高透明性、低吸湿性、低比重、不純物を殆ど含まない等の特性を備えていることから、レーザービームプリンターやCD−ROMピックアップレ ン ズなどの光学用途、MOやDVDなどの情報記録媒体、プレフィルド注射器などの医療器具、これらの用途でガラスや既存プラスチックを置き換えつつあり、用 途先の高成長性、ハイテク性から需要の急伸が期待される。

2.増設設備について
(1)建設地:日本ゼオン(株)水島支社内 岡山県倉敷市児島塩生字新浜2767の1
(2)設備能力:2,000トン/年。設備完成後は、現有設備能力1,000トン/年と 合わせて、総設備能力は3,000トン/年となる。
(3)完成時期:1997年11月
(4)投資金額:25億円強

3.本ポリマーの主要用途
光学レンズ、液晶用フイルム、ディスク、医療用容器など

4.本ポリマーの売上高
1996年度(見込):約 20億円 2000年度(予想):約 90億円


▼日本ゼオン、シクロオレフィンポリマーの生産能力を10,000トンへ倍増 (2004年6月1日) http://www.zeon.co.jp/press/040601.html
 日本ゼオンは、6月1日、水島工場(岡山県倉敷市)で高機能熱可塑性透明樹脂シクロオレフィンポリマー(COP;製品名 ZEONEX® (ゼオネックス)、ZEONOR® (ゼオノア))プラントの竣工式を行った。現有5,000トン/年から、新たに5,000トン/年の設備を建設したもので、これによりCOPの生産能力は 10,000トン/年へ倍増となった。投資金額は約40億円。今回の能力増強は、LCD用光学フィルム(製品名 ゼオノアフィルム® )の販売急増と、光学レンズ、プリズム用途がカメラ付き携帯電話、デジカメ、DVDなどの市場の急速な拡大により大きく伸び、さらに、LCD用拡散板等が 新たに立ち上がってきたことに対応するものである。COPおよびCOP精密加工品から成る高機能樹脂事業は当社の今後の成長の柱であり、売上高の早期倍増 を目指していく。

補足説明 COP
 当社は、ナフサからエチレン、プロピレンを製造する際に副生されるC5留分の総合利用を推進しており、COPはC5留分を抽出分離して製造するジシクロ ペ ンタジエンが原料。当社が1990年に世界に先駆けて独自に開発、上市したCOPの高級グレードである「ZEONEX® (ゼオネックス)」は、透明性樹脂の中でも吸水性が極めて低く、加熱溶融時に流れやすいため精密成型性が良く、また比重が小さいなどの特性を持つ。さらに 本樹脂は高透明性や低複屈折性などの優れた光学特性を有しており、カメラ付き携帯電話やデジタルカメラ・コンパクトカメラのレンズ・プリズム、OA機器の ピックアップレンズなど光学用途、CDやMD、DVDなどの光ディスク用途、その他の分野で使用されている。
 また当社は98年に、高透明性を維持し、耐衝撃性と耐熱性を改良したCOPの汎用グレードである「ZEONOR® (ゼオノア)」を上市した。LCD用導光板・拡散板、光学フィルム、自動車ヘッドランプのエクステンション、食品用容器、医薬品分野の容器や包装材などに 幅広く採用されている。


▼日本ゼオン、シクロオレフィンポリマー(COP)の生産能力を15,000トンへ増強 (2004年11月5日) http://www.zeon.co.jp/press/041105.html
 日本ゼオンは、水島工場(岡山県倉敷市)で高機能熱可塑性透明樹脂シクロオレフィンポリマー(COP;製品名 ZEONEX® (ゼオネックス)、ZEONOR® (ゼオノア))プラントの能力増強を決定した。
今回の能力増強は、2004年に5,000トン/年製造設備を新設したが、その設備を10,000トン/年に増強するもので、投資額は約20億円、完成は 2005年6月の予定。今回の能力増強によりCOPの生産能力は15,000トン/年となる。今回の能力増強はZEONEX® 、ZEONOR® の販売が引き続き好調であることへ対応するものである。
 ZEONEX® は、携帯電話カメラレンズ、レーザービームプリンター用Fθレンズ、DVD用ピックアップレンズなどの光学用途が好調なことに加え、今後プレフィールドシ リンジなどの医療用途が大きく伸びることが期待されている。
 ZEONOR® は、100%子会社である(株)オプテスで製造販売している液晶用光学フィルム(製品名 ゼオノアフィルム® )の販売が相変わらず好調であることに加え、拡散板が本格的に立ち上がってきている。ゼオノアフィルム® については、従来販売してきた原反に加えて、低複屈折フィルムおよび縦一軸、横一軸、縦横二軸のそれぞれ延伸フィルムも製造販売を開始した。また、ゼオノ ア拡散板については、近年需要が急増している大型液晶テレビに使用され、軽量で成形性が良く吸水しないため変形し難い特長を生かして大きく伸びるものと期 待されている。このため原料樹脂の需要も大きく伸びると予想している。


▼日本ゼオン 水島工場 携帯レンズ材 独占供給 (2004年11月2日 日経産業新聞 13面)
 特殊樹脂のCOP(シクロオレフィンポリマー)を核とした高機能材料メーカーへ−−。合成ゴムメーカー、日本ゼオンが新しい顔を持ち始めた。COPは携 帯 電話のカメラレンズ、液晶表示装置(LCD)のフィルムに使い、同社がレンズでは世界市場をほぼ独占する。その拠点が水島工場(岡山県倉敷市)。

 「来年3月に、さらに1万5千トンへ増強する計画だ」。原田悠司工場長はこう明かす。今年6月、約40億円をかけCOPの生産規模を年5千トンから同1 万 トンに引き上げたばかりだ。矢継ぎ早の増産は、COPを中心とした高機能材料事業が予想以上のスピードで成長しているからだ。2004年度には同事業の営 業利益が“本業”の合成ゴムなど「エラストマー素材事業」を初めて上回る見通し。高機能材の快走をテコに今年度は2,176億円の売上高に対し、経常利益 は過去最高の170億円を見込む。

 COPは透明な樹脂で軽くて成型しやすい。吸水性が低く変形しにくいことから、ゼオンはCOPを子会社でシート状に加工し、LCDのバックライトの光を 画 面に均等に拡散させる「拡散板」や「導光板」向けにも供給している。真新しい多くの配管で構成される水島工場のCOPプラント。 ここはかつてゼオンの創業事業である塩化ビニール樹脂のプラントが並んでいた。1970年代には年間12万トンを生産しシェア10数%を誇った主力事業 だったが市場が成熟化し、バブル崩壊後から不振に陥り、2000年に塩ビ事業から撤退して以来、設備は撤去され更地だった。

 余りもので何かできないか−−。ゼオンがCOP事業に本格的に乗り出したのは1990年。もともとナフサ(粗製ガソリン)を熱分解して出る化合物「C5 留 分」から独自技術を生かし合成ゴム原料のイソプレンだけを抽出していた。しかし、イソプレンが得られるのは化合物の12%程度で、その他は道路舗装剤や合 成香料の原料に使い一部は安値で販売していた。そこでC5留分の有効利用策の一つとしてCOPはスタートした。当初はコンパクトカメラの光学レンズやCD 用のポリカーボネートの代用として採用されたが、高価だったことなどから市場は限定的。COPは2000年度まで赤字事業だった。

 転機は2000年秋のカメラ付き携帯電話の発売だった。競合品に比べ変形しにくく高画質を維持できることが、携帯電話メーカーに高く評価された。同年に は COPのフィルムが液晶パネル大手のサムスン電子の導光板用に採用され、一気にCOPは年産5千トン体制を確立した。

 「工場には年産3万トン程度まで拡張できる敷地は確保している」。原田工場長の鼻息は荒い。もっとも、同社は「過度のCOPへの収益依存を避けたい」 (古 河直純社長)考えだ。合成ゴムを引き続き柱の一つに位置づけながら、COP以外に合成香料や化成品などへの多角化を進めている。とはいえ当面は水島の COPがゼオン快走の原動力となるのは間違いない。(稲井創一)



C徳山工場(1965年8月操業開始)  

 山口県 徳山市(現:周南市)に、自社のブタジェン抽出技術であるGPB法によるモノマーを活用した汎用合成ゴムの主力工場として誕生。
 その後、特殊合成ゴム、合成ラテックスの設備も完成、1995年に重合法トナー製造設備稼働開始。現在では、タイヤ・樹脂改質用汎用ゴム、自動車部品用 特殊ゴム、樹脂改質・紙加工・手袋用ラテックス及び重合法トナーを生産している。
 工場敷地面積237,300m2を擁し、世界でも有数の規模を誇る合成ゴムの工場である。生産した合成ゴムの約半分は近隣の徳山港から欧米、 アジア等世界に向けて輸出している。徳山工場はゼオンの素材事業の中核工場として、グローバルな活動を展開している。

●主要製品
スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、スチレンブタジエンラテックス、ポリブタジエン ラテックス、ブタジエン、トナー

(2013年2月の同社webサイトより)

▼専用線の推移
専用線一覧表
所管駅
専用者
第三者利用者
作業方法
作業キロ
総延長キロ
記 事
1967年版
徳山
日本ゼオン(株)
日本通運(株)
徳山通運(株)
山九運輸機工(株)
私有機
0.6

昭和石油線から分岐
1970年版
徳山
日本ゼオン(株)
日本通運(株)
徳山通運(株)
山九運輸機工(株)
私有機
0.6
0.9
昭和石油線から分岐
1975年版
徳山
日本ゼオン(株)
日本通運(株)
徳山通運(株)
山九運輸機工(株)
国鉄機
私有機
0.6
(機)0.1
0.9
昭和石油線から分岐
1983年版 徳山
日本ゼオン(株)
日本通運(株)
徳山通運(株)
山九(株)
国鉄機
私有機
0.6
0.8 昭和石油線から分岐

 2000.12.28徳山工場専用線。レールは光っており、当時は使用しているようだった。

【車扱】
1998年2月16日 清水駅にて目撃
タキ23800形(JOT 郡山駅常備)+タキ8850形(JOT 郡山駅常備)
※タキ8850形は徳山駅臨時常備、臨時使用者:日本ゼオン株式会社

返空:北袖→新南陽(着荷主:日本ゼオン) 2月14日積

※会社別発着駅・主要品目(平成8年度実績) 『35年のあゆみ』京葉臨海鉄道株式会社、1999年
会社名:日本石油輸送(株)
主な着駅・発送:新南陽、岩国・空タンク車
主な発駅・到着:新南陽、岩国・ラテックス

※北袖には新南陽からのラテックスの到着がある。これは、特定企業の専用線に入線するわけではなく、駅構内でタンクローリーに積み替えて輸送 されている。
渡辺一策・藤岡雄一「臨海鉄道パーフェクトガイド」『鉄道ピクトリアル』第28巻第3号、1999年

※徳山駅の神戸方にある日本ゼオンですが、ラテックスのタンク車が1〜2車出入りしています。入れ換え作業はJRのDE10が担当しています。 99.1.23訪問
菱沼正治「新南陽の専用線近況」『レイル・マガジン』第16巻第6号、1999年

※下記の「JR貨物ニュース 2004年12月1日号」の記事中では新南陽駅の日本ゼオン徳山工場の 専用線の使用を中断した とあり、
2004年中にISOタンクコンテナによる新南陽駅発千葉貨物駅着のラテックス輸送を開始予定 とあるため、コンテナ化されたのだろう。

【コンテナ】
2003年1月2日 新居浜駅にて目撃
UT5A-30・39(JOT ラテックス専用)
ラテックス:新南陽(日本ゼオン)→新居浜



徳山市から新居浜市への輸送は、鉄道が瀬戸大橋経由の運賃になるため船舶やトラックの方が
有利ではないのかという疑問を感じるが、輸送単位やスピードなどがちょうど鉄道に優位なのだろうか?


▼国土交通省中国運輸局 環境負荷の低減に向けて (2003年11月17日) http://www.cgt.mlit.go.jp/topics/03111702.html
 2003年10月31日、広島市内にて「第5回中国モーダルシフト推進協議会」が開催され、トラック輸送から鉄道・海運へ輸送手段をシフトした中国地方 の 5荷主(事業場)の環境負荷低減に向けた取り組みを評価し、モーダルシフト優良荷主として表彰した。受賞者は、日本製紙株式会社岩国工場、 日本ゼオン株式会社徳山工場、 株式会社ヨータイ日生工場、東洋紡績株式会社岩国事業所、日本ポリウレタン工業株式会社南陽工場の5荷主(事業場)で、これらの事業場は、雑貨等の長距 離・中距離輸送をトラックから新規に鉄道、海運輸送へシフトしたり、従来から、鉄道、海運輸送を行っているが、前年度に比べ、一層モーダルシフト化を推進 するなど、環境負荷の低減に貢献している。

▼平成15年モーダルシフト優良荷主(事業場) 日本ゼオン(株)徳山工場 http://www.cgt.mlit.go.jp/kikaku/ninushi02.pdf
○モーダルシフトした取扱貨物と導入時期
 取扱貨物:合成ゴム
 導入時期:2002(平成14)年7月

○評価対象貨物数量と鉄道輸送比率

トン/1-3月
鉄道比率
2002年
20トン
0.6%
2003年
1,545トン
28.1%

○シフトの内容 (トラック:⇒ 鉄道:→)
 <シフト前>
 日本ゼオン(株)徳山工場(山口県周南市) ⇒営業倉庫(宮崎県都城市) 計470km 12時間

 <シフト後>
 日本ゼオン(株)徳山工場(山口県周南市) ⇒JR新南陽駅→JR広島(タ)駅→JR福岡(タ)駅→JR鹿児島駅⇒営業倉庫(宮崎県都城市) 計 824km 44時間21分

 発着間の所要時間(荷役時間、駅での滞留時間、ドライバーの休憩・急速時間等も含む)

○導入の経緯
 @出荷品目が多く出荷量のバラつきがあったが、物流会社と交渉後、緊急を要するものとそうでないものを分けて安定しているものを安価なJRコンテナにシ フトした。
 AISO14001規格の継続改善の一環として、物流の面から取り組みを推進することとした。

○シフトへの工夫した点
 @「フル生産、フル販売体制」により在庫を抱えない分、出荷と納期に大きく影響を与えていたが、日々輸送可能なJRコンテナにシフトすることによりコス トを含めて計画的に解決した。
 AJRコンテナ積込みのため発貨物駅近くに保管倉庫を構え、事前作業・業務の効率化を図った。

○荷姿:12ftドライコンテナ

○シフトによる効果
輸送コスト
14.0%減
所要時間
3.7倍
車両走行距離
81.1%減

○シフトによるメリット
・夜間出発のため、緊急時でも日中が有効に使え対処できるようになった。
・緊急対応のトラック便が減少し、物流コスト削減が図れた。
・日々コンテナ輸送と着駅留置サービスも含め、一部需要家へ直送が可能になった。

○シフトによるデメリット
・空の梱包箱回収パレットが約40セット/コンテナあり、ターミナル毎に保管管理が必要となった。

○今後の展望  
 今後の取り組みとして、関東方面のJR貨物、RORO船、東北方面のJR貨物へのシフトを検討中。  
  

▼日本ゼオン(株)徳山工場 鉄道へのモーダルシフト拡大で 中国運輸局が2年連続表彰 (JR貨物ニュース 2004年12月1日号)
 日本ゼオン(株)は、日本で初めて合成ゴムの国産化に成功した世界有数の合成ゴムメーカーだ。徳山工場は高岡・水島・川崎と並ぶ同社の主力工場で、タイ ヤ や自動車部品用の合成ゴム、紙加工用のラテックス等を生産している。その半数が国内全域の顧客企業向け、半数は徳山港から欧米・アジア各国へ輸出する製品 だ。一昨年から同工場は物流面での環境負荷削減を目指して、合成ゴム輸送のモーダルシフトに取り組み始めた。昨年度は鉄道利用率を対前年127.5%伸ば し、今年度も上期で既に同150%を達成した。中国運輸局のモーダルシフト表彰も2年連続で受賞し、CO2排出削減の環境貢献が認められている。
 日本ゼオン(株)徳山工場は、モーダルシフトをどんな経緯で実現・拡大させてきたのだろうか−。物流業務課長を務める三平能之副工場長と、同課の岩政和 美 物流グループリーダーに話を聞いた。

▽関東・九州のSP向けから
 徳山工場内にはまだ専用線の線路が残る。だが 専用線使用を中断して以降、同工場の輸送手段は、専ら「トラックと船」。その工場が再び工場に目を向けたのは、トラックに対する排ガス規制 や都市への乗り入れ規制、また運転手の乗務規則等がきっかけだった。
 また港際の仕向け先には便利な船輸送も、内陸地への輸送では、鉄道に一歩譲る。ましてCO2排出量は鉄道が最も少ない。さらに「複数の輸送手段を使いリ ス クを分散させる」ことも必要と考えた。
もともと日本ゼオンは全国に23ヵ所のSPを設けているが、1〜5、6社の顧客を対象とするSPが多く、出荷する品目が大体決まっている。
 そこで安定している需要量は鉄道で、波動需要の部分や緊急を要する場合にはトラックで対応する方針を立て、まず徳山−船橋港間を船輸送していた平塚(神 奈 川県)のSP向け輸送を、 新南陽駅発相模貨物駅着の鉄道輸送にシフト。次いで都城(宮崎 県)SPの需要が倍増したのを機に、増加分を 新南陽駅発(鹿児島駅経由)都城コンテナセンター着の 鉄道で送り始めた。
 合成ゴムの荷姿は1トン入り梱包箱である。トラック輸送時はこれを10〜17箱、船ならば数百個の単位で輸送するが、12フィート鉄道コンテナの輸送単 位 は、1個5箱積みで5トンだ。
 平塚までのリードタイムはトラックと同等だが、都城へは半日のリードタイムが2日に伸びる。それでも5トン単位で毎日安定供給することにより、両SPと も 在庫削減の効果があった。
 また鉄道シフトに伴い、同工場では新南陽駅近くの日本通運(株)倉庫を新たな保管場所にしたので、集荷作業が効率化して鉄道でも緊急オーダーに対応でき る ようになり、緊急対応のトラック便も減少した。

▽顧客直送のシフトへ
 この成果を得た同工場は、関東圏への輸送をなるべく鉄道にシフトしようと、JR貨物の山口営業支店と日本通運の周南支店に仕向け先データを示して、鉄道 シ フトの可否をルート別にシミュレーションするよう要請した。その結果、これまでSPから小口配送していた製品のコンテナ直送が進み、現在では 東北・関東の6駅着で顧客各社に届けている。
 なお合成ゴムの梱包箱は側板、下枠などに分解可能。使用後40箱分を1コンテナに積み、同工場に鉄道で戻す。

▽ラテックスも鉄道で
 また同工場では並行してラテックスのモーダルシフトも進む。ラテックスは液体品なので以前から 高岡貨物 梅田千葉貨物 各駅にはJR規格の20フィートタンクコンテナで鉄道輸送している。これに加えて 黒井仙台港駅行きのISOタンクコンテナ鉄道輸送が、今年中にも開始される見込みだ。

▽新南陽駅の上屋では
 新南陽駅ではホーム西端にある上屋を、発着貨物の積み替えに活用している。
 上屋東側の土間部分は、鉄道利用運送事業者各社に提供しているコンテナの積み替え場。取材時は日本通運(株)が、同社の営業倉庫からウイングトラックで 集 荷してきた日本ゼオン(株)徳山工場の合成ゴムを、コンテナに積み替えていた。合成ゴムの梱包箱を二段積みすると扉高を上回るので、2台のフォークリフト が両側からそれぞれ箱を差し入れて、二段積みする。



D鉄道貨物輸送のまとめ   
 日本ゼオンは車扱のタンク車輸送を全廃したようだが、川崎貨物駅や北袖駅では専用線が無いためタンクローリー荷役をしていたようでISOタンクコンテナ 輸 送への転換は止むを得ない、というよりも望ましいだろう。また塩化ビニル事業からは撤退しており、輸送需要の変化も見逃せない。さらにラテックスが複雑な 輸送をしていることが非常に興味深い。川崎工場から徳山工場への工場間輸送がある一方、川崎と徳山の両工場から高岡の日本製紙への輸送が行われていると考 えられるなど複雑だ。徳山工場を中心にモーダルシフトにも積極的で今後の動向にも注視したい。

種 類
発  荷 主 発  駅
品  名 着  荷 主
着  駅
形  式
所 有者
備   考
コ ンテナ 日 本ゼオン(株)
川崎工場
横 浜本牧
ラ テックス
日 本製紙(株)石巻工場
又は岩沼工場
仙 台港
ISO タンクコンテナ
JOT
2009.11 横浜本牧駅
車 扱

川 崎貨物
ラテックス
日本ゼオン (株)徳山工場
新 南陽
タキ 35000形
タキ15700形
タキ8850形
JOT
JOT
JOT
1999.1.5 川崎貨物駅 現在廃止
コ ンテナ

川 崎貨物
ラテックス
日本製紙 (株)伏木工場?
高 岡貨物
UT11A-5064
NRS
2004.8.12 高岡貨物駅
コ ンテナ

川 崎貨物
ラテックス
中越パルプ工 業(株)?
川 内
UT5A-40
JOT
1999.3.30 川崎貨物駅
車 扱
日 本ゼオン(株)
高岡工場

能 町
塩化ビニール
三和倉庫 (株)
日 進
タキ 6550形
日 本ゼオン
吉岡心 平氏web 1980年廃止(水島へ移管?)
コ ンテナ

能 町
塩ビ
ラビット
百 済
UV1
JOT
1999.4.2 能町
車 扱
日 本ゼオン(株)
水島工場

東 水島
塩化ビニール
三和倉庫 (株)
日 進
タキ 6550形
日 本ゼオン
吉岡心 平氏web 1986〜87年廃止
コ ンテナ

東 水島
コンクリート 混和剤
(株)テルナ イト
酒 田港
UT4A -42・44・45
JOT
2004.6.6 酒田港駅
コ ンテナ

東 水島
コンクリート 混和剤
アトミックス
宮 城野
UT4A-43
JOT
2000.5.19 宮城野駅
コ ンテナ
東 水島
合 成ゴム?
東 洋ゴム工業(株)
岩 沼
19G

2012.9 東水島駅
コ ンテナ

東 水島
ジシクロペン タジエン
ゼオンケミカ ルズ米沢(株)
郡 山(タ)
ISO タンクコンテナ
JOT
交通新 聞など
2011.9東水島駅
コ ンテナ
東 水島
化 学製品?
信 号器材(株)
郡 山(タ)
UR18A
JOT
2011.9 東水島駅
信号器材は福島工場(田村市滝根町広瀬)あり。
コ ンテナ
東 水島
シ クロペンタン
日 立アプライアンス(株)
東 京(タ)
ISO タンクコンテナ
JOT
2012.9 東水島駅
コ ンテナ

東 水島
化学製品

豊 橋
JRコ ンテナ

1999.3.28 豊橋駅
車 扱
日 本ゼオン(株)
徳山工場

新 南陽
ラテックス

北 袖
タキ 8850形
タキ23800形
JOT
JOT
1998.2.16 清水駅 現在廃止
コ ンテナ

新 南陽
ラテックス
日本製紙 (株)石巻工場?
仙 台港
ISO タンクコンテナ

JR貨 物ニュース 2004.12.1号
コ ンテナ

新 南陽
ラテックス
北越製紙 (株)長岡工場?
黒 井
ISO タンクコンテナ

JR貨 物ニュース 2004.12.1号
コ ンテナ

新 南陽
ラテックス

千 葉貨物
ISO タンクコンテナ

JR貨 物ニュース 2004.12.1号
北袖着の車扱のコンテナ化?
コ ンテナ

新 南陽
合成ゴム
日本ゼオン (株)SP
相 模貨物
JRコ ンテナ

JR貨 物ニュース 2004.12.1号
コ ンテナ

新 南陽
ラテックス
日本製紙 (株)伏木工場?
高 岡貨物
ISO タンクコンテナ

JR貨 物ニュース 2004.12.1号
コ ンテナ

新 南陽
ラテックス
王子製紙 (株)神崎工場?
梅 田
ISO タンクコンテナ

JR貨 物ニュース 2004.12.1号
コ ンテナ

新 南陽
ラテックス
大王製紙 (株)?
新 居浜
UT5A -30・39 JOT
2003.1.2 新居浜駅
コ ンテナ

新 南陽
合成ゴム
日本ゼオン (株)SP
都 城
JRコ ンテナ

JR貨 物ニュース 2004.12.1号


Eその他トピックス   

▼合成ゴム原料 日本ゼオン、生産再編 タイ 50%増の1万8000トン 川越 老朽化設備を廃棄 (2003年5月21日 日刊工業新 聞 1面)
 日本ゼオンは国内外で、合成ゴムの中間原料に使われるカーボンマスターバッチ(CMB=用語参照)事業の生産体制を見直す。9月をめどに、国内では全額 出 資子会社の川越工場(埼玉県川越市)で年2,400トン分の老朽化設備を廃棄する一方、タイの関係会社では総額1億5千万円を投じてCMB年産能力を現状 比50%増の1万8,000トンに増強する。自動車生産台数が減少している国内では設備縮小を、逆に需要が急増しているタイでは能力増強を図ることで、最 適地生産体制の構築を急ぐ。

 日本ゼオンが見直しを図るのは国内とタイのCMBの生産体制。8月から9月にかけて、同社全額出資のCMBの混練加工販売を手掛けるゼオンポリミクス (東 京都港区)の川越工場の年産9,600トンの設備のうち、老朽化が著しい1系列、年産2,400トンの混練機1台を廃棄する。海外生産シフトの影響で国内 自動車生産台数が減少基調にあるため。

 一方、日本ゼオン40%出資のタイ関係会社であるゼオン・アドバンスド・ポリミクス(バンコク市)では、8月までにCMB混練機を3台追加導入し、年産 能 力を現状の1万2,000トンから50%増の1万8,000トンに拡充する。日系自動車メーカーを中心に急増している現地需要に対応する。

◇用語 カーボンマスターバッチ
合成ゴムの中間原料。スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)などをベースとしたポリマーに、カーボンブラックや硫黄などの各種 薬品を混ぜた成形前のゴム材料。主に自動車ベルトやホースに使われる。ゴムメーカーが生産したマスターバッチを自動車部品メーカーが成形、完成車メーカー に納入している。


▼大型成型品 ゼオン・帝人8月統合 売上高、2005年度100億円狙う (2003年6月16日 日本経済新聞 9面)
 日本ゼオンと帝人は、浄化槽やトラックのバンパーなどに使う大型成型品事業を8月に統合することで合意した。ゼオングループで同事業を手がける RIMTEC(東京・港)に、帝人が事業譲渡するととも4割出資する。原料分野に強いゼオンと成型加工技術や販売力を持つ帝人が組むことで、前年度実績に 比べ倍増の2005年度に100億円規模の事業に育てる。

 8月1日付でゼオン子会社のRIMTECが資本金を1千万円から4億9千万円に増資。ゼオンと帝人が6対4の割合で出資に応じる。帝人で大型成型品関連 事 業を手がける子会社から担当者らがRIMTECに移り、増資後は約40人体制となる見込み。帝人は岩国工場(山口県岩国市)に持つ関連生産プラントを廃棄 する方針。大型成型物には繊維強化プラスチック(FRP)を使うことが多い。ゼオンと帝人はジシクロペンタジエン(DCPD)を主原料とする液体材料を利 用する。

 DCPDは不純物を含まず、化学反応もしやすいため、高温高圧で成型する必要のあるFRPに比べて加工が簡単で、製造時のエネルギーコストは10分の1 以 下という。FRPのようにガラス繊維を含まないため再利用もしやすい。

 だが大型成型用材料としてはFRPに出遅れ、販売するのはゼオンと帝人の2社のみ。公共事業の低迷で主用途である浄化槽需要が減少するなど事業環境は厳 し く、両社の売上高はそれぞれ35億円、15億円程度にとどまっているとみられる。事業を統合すれば、現在50%程度にとどまるゼオンのDCPD生産設備の 稼働率が向上し、原料コストの低下も見込める。

◇ジシクロペンタジエン(DCPD)
ナフサ(粗製ガソリン)を分解し得られる炭素と水素からなる無色透明の液体。触媒を加えて混ぜると常温で高い圧力をかけなくても化学反応を起こし短時間で 樹脂に固まるため、大型で複雑な形状の成型物の原料に適する。
大型成型用材料として広く普及が進んでいる繊維強化プラスチック(FRP)用とは違うタイプの成型機が必要で、普及の足かせになっている。国内の市場規模 はFRP40万トンに対し、DCPDは3万トン弱。


▼合成ゴム快走の秘訣(下) 日本ゼオン 賃金制度・合理化に独自色 社員巻き込み経営改革 (2003年6月17日 日経産業新聞 11 面)
 「社長に就任した1993年度は赤字で無配。そこからスタートして、ここ3年間は連続して連結経常利益を更新できた」。5月末、日本ゼオンの中野克彦社 長 は古河直純専務への社長交代発表の席で胸を張った。2003年3月期は売上高2,108億円、営業利益129億円、経常利益97億円でいずれも過去最高。 好業績の構図はJSRと同じだが、中身は異なる。

 合成ゴムはタイヤ用の汎用品でなく、エンジン周辺部品などに使う特殊品中心で、耐油性特殊ゴムは世界一のシェアを持つ。ナフサ(粗製ガソリン)から得ら れ るC5留分の総合利用もゼオンの特徴だ。収益の柱に育ちつつある高機能透明樹脂はC5留分からゴム原料以外の成分の活用法を模索したどりついた。もっとも ゼオンの強みはこうした事業構造もさることながら、他社のまねをしない独自の経営スタイルにある。その代表例が1999年度から導入し、改善を続ける賃金 制度だ。大卒社員は入社5年目から完全年俸制に移行し、賞与も業績連動で決める。ベースアップや定期昇給はなく、労働組合との賃金交渉すら存在しない。

 部門業績は経営指標の一つである経済付加価値(EVA)を改良した「ZVA」、会社業績は経常利益で評価するが、これには思わぬ効果もある。業績指標は 1ヶ月単位で社内に公表しているが、期末が近づいて目標まで若干足りないと「がんばろうという雰囲気が全体に広がり、結果的に5億円くらい上回る」(中野 社長)。

 コスト削減策も独特だ。「ゼットシグマ運動」と名付けテーマを全社員から募集する。ここまでは他社にもありがちだが、ゼオンはテーマの内容と発案者、コ ス ト削減額とその進捗状況などをイントラネットで誰でも見られるようにした。コスト削減効果の大きいテーマの発案者には専用の手当を支給し、報酬面でも報い ている。その結果、発案数は初年度の200年度から、2002年度には1,087件にまで増えた。中野社長は「1件あたりの効果は100万円、200万円 と少なくても、件数がこれだけ集まれば20億−30億円になる」と話す。

 情報を公開しながら、従業員を巧みに巻き込んで進める経営改革を端的に示すのは、2001年度の労働組合による自社株式23万千株の購入だ。労組は「経 営 情報を共有しながら会社をより良くする」と「労使一体」を強調する。こうした信頼関係も2000年に塩ビ樹脂から撤退する際、希望退職を募らなかった結果 と中野社長は見る。

 C5留分を効率良く消費する上で唯一ネックとなっていたジシクロペンタジエンを利用した大型成型関連事業も、帝人と8月に統合することで解決にめどをつ け た。社長交代を決めた中野社長は「3年間は最高益を更新し続けられる体制が整った」と自信を見せる。27日就任の古河新社長には「ゼオン流」をさらに磨き 上げられるかが問われる。(川崎満)


▼合成ゴム各社、増産へ投資 タイヤ需要が拡大 値上げで採算も改善 (2005年9月20日 日経産業新聞 15面)
 合成ゴムメーカーがタイヤ需要の拡大を受けて増産に動き出した。最大手のJSRは四日市工場(三重県四日市市)で11月、高機能タイヤ向けゴムの生産能 力 を3割増強。宇部興産もタイ工場の能力を約3割増やす。旭化成ケミカルズも増産の検討に入った。JSRなどは液晶材料などデジタル素材事業を収益源として 育成してきたが、相次ぐ値上げで本業の合成ゴム事業の採算も改善しており、投資に踏み切る。

 JSRは11月に予定している設備の定期修理に合わせて、四日市工場(三重県四日市市)の設備を約5億円をかけて改造する。省エネタイヤに使う耐摩耗性 の 高いS-SBR(スチレン・ブタジエンゴム)の年間生産能力を1万トン増強し、4万5千トン体制にする。

 4位の宇部興産はタイの子会社、TSLの合成ゴム工場でBR(ブタジエンゴム)の生産能力を1万6千トン増やし、7万2千トンとする。約2億7千万円投 資 して、既存の製造設備を改良する。BRは加工しやすく衝撃を和らげる効果もある。タイヤ向けのほか、家電の外枠などに使う樹脂の改質材として販売する。

 3位の旭化成ケミカルズも「タイヤ向けなどの需給はタイト感が増している」(川崎俊之合成ゴム事業部長)として、合成ゴムの生産拠点である川崎工場(川 崎 市)で、SBRやBRの生産能力を引き上げることを検討している。

 国内では自動車用タイヤ生産が6月まで19ヶ月連続で前年同期比を上回るなど、ゴム需要も牽引している。国内の合成ゴム工場はフル稼働しており、 2位の日本ゼオンは輸出を減らし、国内タイヤメーカー向けに振り向けている。各社は増産意欲を高めているが、国内の石油コンビナートでは合成ゴム原料であるブタジエンの供給能力が限界に達してい る。このため大量の原料消費を伴う生産ラインの新設には慎重で、当面は既存設備の改良などによる増産で対応する。

▽本業、デジタル減益補う
 JSRと日本ゼオンの2005年4−6月期の連結営業利益は増えたが、貢献したのは合成ゴム事業。JSRの合成ゴムを含む石化部門の営業利益は前年同期 に 比べ2.2倍。日本ゼオンの石化部門の営業利益も同45%増えた。

 一方、JSRの液晶用レジストをはじめとする、いわゆるデジタル素材は伸び悩んでいる。両社の電子材料部門は競争激化や液晶メーカーからの値下げ要請な ど で、4−6月期に営業減益となった。数年前までお荷物とも言われた本業がこれをカバーする。

 合成ゴムの復調の要因は市況の回復。ブタジエンの原料となるナフサ(粗製ガソリン)の値上がりを背景に、合成ゴムメーカーは昨年以降、3回値上げした。 大 口需要家向けの価格は03年に比べ1割以上上がって1キログラム160円程度となり、「十数年ぶりという水準まで回復している」(ゴム大手)。

 JSRの主要顧客はブリヂストン、ゼオンは横浜ゴム。 かつてはタイヤメーカーの圧倒的な購買力を前に、なかなか値上げをのんでもらえなかったが、ここにきて力関係に変化が出てきた。世界的なタイヤ需要の拡大 を背景に、タイヤメーカーは各地で増産計画を打ち出しており、合成ゴムの需給は逼迫。タイヤメーカーは原料確保を優先している。ただ原油高騰は懸念材料。 本業復権を確実にするには、今後も原料の値上がり分を漏れなくゴム価格に転嫁していく必要がある。

▽合成ゴム
 天然ゴムのような弾性を持つ石油化学製品。ナフサを分解してつくるブタジエンが原料。スチレンモノマーなど他の成分と合成することで耐候性、耐摩耗性な ど さまざまな特性を持たせることができる。1960年に日本合成ゴム(現JSR)が量産化。2004年の国内出荷量の約34%が自動車タイヤ向け。JSRが 31%、日本ゼオンが20%のシェアを占める。


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