日本の鉄道貨物輸送と物流:表紙へ
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三菱レイヨン株式会社
2016.10.27作成開始
<目次>
1.三菱レイヨンの概要
2.三菱レイヨンの沿革
3.三菱レイヨンのトピックス
4.三菱レイヨンの鉄道貨物輸送
 @大竹事業所
 A豊橋事業所
 B富山事業所
 C横浜事業所


1.三菱レイヨンのトピックス  
▽三菱レイヨン 見切り経営 高収益生む 「アクリル帝国」へポリエステル脱却 再編の「風雲 児」に (『日経産業新聞』2003年3月14日付、26面)

 「アクリル帝国」へひた走る――。中国などからの安価な流入品に四苦八苦する合繊業界の中で、世界を相手に成長軌道を描いている企業がある。三菱レイヨ ンだ。アクリル事業への特化戦略が功を奏し、連結売上高営業利益率は東レと帝人の二大メーカーをしのぐ。合繊産業の花形といえばポリエステル繊維産業。だ が、大手に完全に出遅れた三菱レイヨンは同事業を見切って経営資源を集中し、高収益体質を実現した。

 中国・江蘇省南通市。三菱レイヨンは今秋、日本の大手繊維各社の生産基地が集中するこの地域に、外資として初めてアクリル樹脂の成形材料の新工場を稼動 させる。皇芳之社長は「アクリル事業でアジア最強の地位を固める一環」とその狙いを説明する。

5年で生産1.8倍

 樹脂の女王と呼ばれるアクリル樹脂。その成形材料などは高い透明度などの素材特性が注目を集め始めており、雑貨や家電、液晶ディスプレーの導光板向けな ど幅広い分野で需要が拡大している。三菱レイヨンは経済成長を続ける中国のアクリル樹脂市場では年率10%の伸びが見込めると判断し、新工場には年産4万 トンの世界最大規模の設備を導入する計画だ。

 海外でのアクリル事業への投資活動はこれにとどまらない。2年後には原料となるメチルメタクリレート(MMA)モノマーの生産拠点を中国に設けるなど、 2007年度末までに5つの新規生産プロジェクトを立ち上げる。合計投資額は450億円に達する予定だ。

 計画終了時には国内外を合わせたアクリル製品の生産能力は約87万4千トンと、現在に比べ約1.8倍拡大する見通し。その結果、アクリル製品の原料の分 野では世界1位の大手化学品メーカー、英ルーサントグループ(サウサンプトン市)と生産能力でほぼ肩を並べる規模になる。

 他の繊維各社が疲弊するなか、三菱レイヨンは水面下で世界最大のアクリルメーカーに生まれ変わる戦略を着々と進めている。世界のアクリル関連の製造業の 中で、三菱レイヨンは原料から成形材料・シート・塗料用樹脂など多品種にわたる加工品の生産を手がける唯一のメーカー。ここに利益を稼ぎ出す仕組みが隠さ れている。

 素材の原料は市況の変動に大きく左右される。原料を外販するだけでなく、自社でも成形材料など様々な製品向けに使う一貫生産体制を敷くことで市場変動リ スクを回避する。もちろん一貫生産のメリットを享受するには、他社に負けない低コストの生産体制を整えておくことが前提になる。同社は樹脂シートの連続生 産技術を世界で初めて開発するなど、この分野で最先端の技術を駆使し続ける。

営業利益の7割

 三菱レイヨンの売上高は化成品・樹脂事業が4割、繊維と機能製品・エンジニアリング事業がそれぞれ3割を占めるが、アクリルへの特化戦略を柱とした化成 品・樹脂事業で営業利益の7割を稼ぐ。2003年3月期の連結売上高営業利益率は前期比0.4ポイント増の6.7%になる見込み。利益率では2、3%台の 東レや帝人を大きく上回る。

 「自社のコア事業との関連が認められないではないか。」2001年9月。皇社長はそれまで70億円ほどの売り上げを記録してきたドライアイスと液化炭酸 ガスの両事業の売却を決断した。「アクリル製品のチェーンを目指す」(皇社長)という経営方針を貫くためだ。三菱レイヨンがこうしたアクリル事業に特化す る布石を打ち始めたのは10年ほど前のこと。1993年に社長に就任した田口栄一現会長は「経営ががけっぷちに追い込まれていたことが引き金になった」と 明かす。

 93年度の決算は5億円の黒字を確保したが、実態は25億円の赤字に陥っていた。バブル崩壊の影響で繊維や樹脂の需要が急速に落ち込んだことで、数百億 円に上る積極投資が裏目に出る。設備稼働率が3割程度に落ち込んだ工場もあった。「他社に比べ技術力で優位に立つアクリル事業に特化するしか、生き残る道 はなかった」と田口会長は当時を振り返る。

合併進めやすい

 合繊メーカーにとって最大の事業は汎用性の高いポリエステル繊維だ。三菱レイヨンも69年に生産を開始し事業に参入した。だが、その時点で東レや帝人に 比べ12年遅れのスタートだった。「東レや帝人の10分の1の生産規模ではとても太刀打ちできなかった」と当時を知る業界関係者は指摘する。東レや帝人は 繊維王国の代名詞とも呼べるポリエステル繊維で培った技術力を生かし、異分野に手を広げて巨大企業に変身した。

 だが、USBウォーバーグ証券の村松高明アナリストは「多くの繊維メーカーは多角化が進み過ぎているために、各事業の相乗効果が見えない」と指摘する。 これとは対照的に、アクリル事業に特化する三菱レイヨンについては「事業単位の買収戦略ではなく、企業同士の合併などが進めやすい」(村松アナリスト)。 国内の繊維産業が低迷する中、これまで大型の再編劇なしに持ちこたえてきた合繊業界。三菱レイヨンが業界の風雲児になる公算は大きい。 (田中良喜)


4.三菱レイヨンの鉄道貨物輸送  
▽わが社の鉄道コンテナ輸送 (『運輸タイムズ』1990年10月 8日付、3面)

 三菱レイヨン(株)は、合成繊維、樹脂原料などの輸送に鉄道コンテナ、貨車を利用しており、全出荷量の約16%が鉄道輸送。樹脂原料は大竹工場が全出荷量の40%強、富山工場が60%、豊橋工場が30%とコンテナ利用率が高い。各工場では増産体制をとっているが、ト ラック輸送力の確保が難しくなっているため、コンテナ輸送を今後とも拡大する方針である。

 同社の3工場の製品の主力輸送手段はトラックだが、鉄道利用も多く大竹工場は年間4万トン、豊橋工場は1万1,000トン、富山工場は3万5,000トンを鉄道で輸送している。3工場合計で年間8万 6,000トン、全出荷量の15〜16%にあたる。一部貨車輸送しているものを除き、鉄道は全てコンテナ輸送で、内航海運も利用している。

 コンテナ輸送しているのは合成樹脂が中心で、製品は紙袋(25kg)とフレキシブルコンテナ(500kg)入り。ユーザーが集中している東京、大阪、名 古屋が主力送り先。大竹工場は大竹駅(一部は東広島駅)、富山工場は富山貨物駅、豊橋工場は豊橋駅から発送している。到着後SPで保管し、ユーザーへ配送 している(フレコン入りはユーザー直送)。

 合繊は殆どトラック輸送で、富山工場は近隣の福井県の機屋(加工所)向けが多いが、九州、中部地区へは一部、貨車で鉄道輸送している。豊橋工場は北陸の ユーザーへトラック輸送している。同工場はたばこ用のフィルターも製造しており、一部を日本たばこ産業(株)の工場へ鉄道コンテナ輸送している。

 三菱レイヨン物流部の菊池課長は「この2〜3年来、合成樹脂原料のコンテナ輸送が増えている。2年前から生産を始めた豊橋工場は出荷量の3分の1をコン テナで輸送しており、毎年生産設備を増強している富山工場も増産分をコンテナで送っているため。JR貨物になってからコンテナが使いやすくなったのも輸送 増の一因」と言っている。

 トラック輸送が逼迫しているため、「今後も鉄道コンテナ輸送を増やしたい」考えで、大竹、富山両工場から東京、北関東向けコンテナ輸送を拡大する方針。


@大竹事業所  ▲

▽ダイヤ改正後利用増 (『運輸タイムズ』1988年2月29日 付、4面)

 三菱レイヨン(株)大竹工場は、JR貨物の1988年3月ダイヤ改正でコンテナ輸送がスピードアップすることから、関東向け製品のコンテナ輸送を増や す。
 同社は現在、大竹駅から1カ月約700個、東広島駅から同100個のコンテナで製品を関東をはじめ中部、九州へ輸送しているほか、関東へは車扱も利用し ている。3月ダイヤ改正で大竹駅から関東向け輸送力が増え、到着時間も早くなることからコンテナ利用を増やすもの。

 大竹駅からの関東向け輸送力はコンテナで10個増えるため、1日5個、1カ月150個以上の増送となる予定。
 コンテナで輸送されているのはMMA(メチル・メタ・アクリレート)樹脂と樹脂原料。関東地区の樹脂ユーザー直送は、東京貨物ターミナル駅から約 40kmの大和、八潮市あて。ダイヤ改正後は区域トラックと同時間の配達が可能となる。

▽「鉄道輸送懇談会」開催 (『Monthlyかもつ』2001年 12月号)
 2001年10月に鉄道貨物協会広島支部主催による「鉄道輸送懇談会」が開催された。三菱レイヨン(株)大竹事業所 業務物流グループ課長によるコメン トは以下の通り。

 大竹事業所は製品形態が複雑で、多種であることが特徴。現在の鉄道貨物輸送は全体の1割であるが、来年から環境会計を導入する計画であり、鉄道輸送を 基本に考えて、シェアを増やしていきたい
 大竹〜神戸港間が3日かかるが、内航では翌日朝到着する。メリットが無いため、この区間を見捨てているのではないか


A豊橋事業所 ▲

▽わが社の物流とコンテナ輸送 (『貨物』1986年10月号、p11-13)

 豊橋工場の製品の輸送手段は、トラック(区域、路線)87%、国鉄コンテ ナ13%とトラック主体となっている。
 同工場のコンテナ利用は1977年に開始した。当初は原料用空袋の返却に利用していたが、同社他工場では、以前より製品輸送に大量のコンテナを利用し輸 送合理化を図っていた。そのため同工場でも検討を重ね、北陸向けポリエステル繊維で実施に移した。その後、コンテナ利用は順調に増加し、1980年11月 より南福井への定型輸送を開始した。

 コンテナのメリットは、@運賃がトラックより安い、A到着時間が正確、B発送及び配達の時間に多少弾力性が持たせられること 等である。
 最近のコンテナ利用の実績は下記の通り。
1983年 1,386個
1984年 1,178個
1985年 1,297個

 同工場のコンテナ利用は、南福井向けが80%程度を占めているが、豊橋〜南福井間は直行便が無いため、輸送日数は3日を要する。ユーザーへ直送する場合 は、出荷翌日配達が原則のため、コンテナによる直送は納期に余裕がある場合で、かつ比較的大口のユーザー向けに限定されます。専ら配送センター向けに利用 しているのが実情で、この問題が克服できないと同方面へのコンテナ伸長には限界がある。


B富山事業所  ▲

▽順調にコンテナ利用個数伸びる (『運輸タイムズ』1988年2 月29日付、4面)

 三菱アセテート(株)富山工場は、たばこ用フィルター、合成樹脂を鉄道コンテナで輸送しているが、2〜3年前に比べ2、3割輸送量を増やしている。
 現在、フィルターを1日10〜12個、樹脂を14〜15個のコンテナで輸送しており、1カ月の利用個数は600〜700個。2、3年前に比べ2〜3割増 えており、今後も需要増による増送が見込まれている。
 輸送先はフィルターが関西、関東、東北の日本たばこ産業(株)の工場、樹脂は関西、関東、中部のSP。

C横浜事業所


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