■三菱瓦斯化学(株)新潟工業所 (『貨物』1983年3月号、会
員訪問〔13〕、p14-18) 【工場及び生産品目概況】 ▽1971年に日本瓦斯化学工業(株)と三菱江戸川化学(株)が合併して三菱瓦斯化学(株)が発足 ▽日本瓦斯化学工業(株)は1951年に新潟で設立。立地は天然ガス資源によるもので、現在約40品目を生産。扱い量は年間50万トン。 ▽自社のガス田としては、東新潟ガス田が大きく、工業所の下にある。吉井、関原、片貝などは帝国石油や石油資源開発の鉱区(全国の約8割を新潟が占める) ▽年間50万トンの扱い量の主なものはメタノール、アンモニ ア ▽メタノールは60%がホルマリン用に消費。さらにホルマリンは工業用尿素と合わせて合板用接着剤(尿素接着剤)になる。尿素樹脂としては漆の代替 ▽メタノールのその他の用途は、メチルメタクリレート、クロロメタン類、酢酸、メチルアミン等の原料として、日本では約100万トン消費されている ▽アンモニアは、カプロラクタム、アクリロニトリル、肥料用等に消費 【物流概況】 ▽ユーザーの殆どが関東、関西などの太平洋側と一部北海道がある。鉄道、自動車、船が輸送手段 ▽量、品目等によって新潟東港と新潟西港を使い分けている。西港からは一般貨物、中国向けの肥料が主で、東港からは工場とパイプラインで結んでいる出荷所 より、メタノール、アンモニアを出荷している。このアンモニア、尿素の船輸送は、比較的ロットが大きく、需要家向け及び自社SP向け ▽貨車輸送は、新井郷川の上流約6kmに新崎出荷所があり、 側線を利用して、新崎駅から出荷している ▽メタノールだけは、西港近くの現在は集約により操業していない榎工場に側線があり、工業所からパイプラインで結び出荷所として使用。この榎出荷所からはメタノールを貨車積みし焼島駅から出荷している ▽1982年の50万トンの出荷手段は、船38%、鉄道28%、 トラック30%、その他(パイプライン)4%となっている。1975年度では、船60%、鉄道19%、トラック19%、その他2% ▽船のロットは、メタノールで2千トン、アンモニアは高圧ガスなため千トンくらい ▽SPは全国に43カ所もあり、物流部門の合理化の余地は大きい 【国鉄貨物輸送について】 ▽現在、国鉄を利用している製品はメタノール、アンモニアが主なもの。国鉄貨物輸送の新体制について、非常に不安をもっている ▽私有貨車は全社で190両を所有し、130両が社有で60 両がリース。全社とは言っても、大半が新潟工業所で使用 ▽回転率は、液化アンモニアは殆ど需要家向けで月に1.7回転。需要家でタンク代わりに使われているため。メタノールは同2.6回転で、これは自社SPと 需要家に納入する。 ▽松浜工場は1957年の操業で、荷役設備はかなり老朽化しており、手を入れたい。また榎・新崎出荷所の貨車荷役設備の増強も図らなければならないが、国 鉄が500駅体制で残るのか、将来のビジョンがはっきりしないと手の打ちようが無い。 ▽私有貨車による出荷は、貨物ロットの大きさ及びトラック輸送との輸送費比較で低廉なことから利用を続けていきたい ▽一般貨車による出荷は、肥料だけだが、これは全農の注文次第であり、貨物駅の集約や道路事情が改善されていることからトラックに切り替わることも考えら れる |
■工場ルポ 三菱瓦斯化学 新潟工場 メタノールのオールラウンドプレイヤー
(『化学工業日報』2003年2月25日付、2面) 新潟工場は同社前身である日本瓦斯化学の創業拠点で、1952年に新潟地区に多量に埋蔵される天然ガス資源をベースにメタノール生産を開始した。サウジ アラビア、ベネズエラにおけるメタノール生産が軌道に乗ったため、新潟工場では98年に生産を停止したが、ホルマリン、MMA(メチルメタクリレート)、 アミン類などメタノール誘導品を開花させている。 ◇ 新潟工場は天然ガス系化学品カンパニーの主力工場だが、MXナイロン、超純安水など他カンパニーの製品も生産している。 鉱業権を有する東新潟ガス田、岩船沖油・ガス田では天然ガス、原油を生産しており、原燃料に使用しているほか、国内4位にあたる1億8千万立方メートル の天然ガスを出荷している。現在も安定した生産が続けられており、昨年10月にも新たな採掘井で産出を確認している。 新潟東港区には物流子会社・海洋運輸が化学分野では日本海側随一の荷役能力3万5千トン施設を備えている。同港へはLNG、紙パルプ用チップなどが入っ ており、同社を中心とするサウジの合弁生産会社から約26万トンのメタノールが輸送されている。メタノール生産を停止した後も、誘導品工場として発展して いる要因の1つに、ロジスティクスを確立したことが挙げられる。 同工場の有力誘導品の1つであるMMAは、硫安の発生しないクリーンプロセスを採用している。青酸などの中間体を製品化しやすく、高付加価値のメタクリ ル酸を低コストで生産できるという優位性がある。開始当初に不安定だった操業は2000年から安定度を増しており、コストダウンが図られた。今後は、エス テル類やMSシートなどの中間体、誘導品も強化し、MMA事業の安定収益構造を構築する方針。 次世代クリーンエネルギーとして注目されるDMEの量産プロセスは、同工場で確立するなど、同工場を特徴づけるエネルギー関連分野でも将来有望な事業が 揃っている。 (加納 修) |