日本の鉄道貨物輸送と物流:表紙へ
とはずがたりな掲示板  鉄 道貨物輸送研究スレへ  鉄 鋼・非鉄金属スレ

古河電気工業株式会社
2017.5.18作成開始

▼環境面と安全性で鉄道コンテナの利用拡大 自社倉庫に製品を輸送  (1998年8月3日付『運輸タイムズ』3面)

 古河電気工業(株)は、大手企業グループの古河グループにあって、通信用の電線や工業用非鉄金属の製造と販売を手広く行っている。鉄道コンテナは日光、 平塚、三重の3事業所で生産される伸銅品や電線、通信ケーブルの外装などに使われる。樹脂管などの地域配送倉庫や一時保管のための在庫倉庫への輸送に、3 事業所合わせて月間160個から190個、年間約2,000個前後を利用している。同社の製品物流は、子会社の古河物流が元請けで一貫して行っているが、 鉄道コンテナは輸送コストの安さから利用するほか、今後環境面への配慮や長距離輸送の安全性を考慮して、徐々に利用を拡大していく考えで、JR貨物と通運 事業者には、さらに積極的な営業努力を求めている。

 古河電工は製品の生産工場を全国10ヵ所に持ち事業部制を採り、各事業所によって生産品目は様々だが、製品の物流は子会社の古河物流(株)が元請けして 一貫して行っている。

 鉄道コンテナは、日光事業所(栃木県日光市)で生産する伸銅品や平塚事業所(神奈川県平塚市)の電線、三重事業所(三重県亀山市)の樹脂管を北海道、阪 神、北九州方面の製品配送拠点及び在庫倉庫に輸送するとき利用しており、現在コンテナの利用個数は日光事業所が月間で平均約90個から100個、平塚事業 所が同約40個から50個、三重事業所が同約30個から40個程度となっている。ただ日光事業所だけは伸銅品をコンテナで輸送する際、専用容器に納めて 送っているため、その容器の返送にも鉄道コンテナを利用している。

 各事業所の鉄道コンテナの利用割合は、それぞれ日光が約6〜7%、平塚が約2〜3%、三重事業所も約2〜3%で、主な利用ルートと荷姿は日光が鉄製容器 入り直積みで、宇都宮(タ)から札幌(タ)、大阪(タ)、浜小倉駅間。平塚が電線ドラム巻で相模貨物駅から札幌(タ)へ、三重は樹脂管を直積みで四日市駅 から浜小倉駅で利用しており、パレットは使わない。

 これは、同社の製品の荷姿が電線ドラムや樹脂管のように特殊な形状をしていることに加え、伸銅品を鉄製容器で輸送するように重量物も多く、パレットに載 せると輸送効率の面で不利なためで、平塚事業所から出荷する電線ドラムなどは、あえて電線ドラムを1個積むごとにコンテナ内での輸送中の転がりを防ぐた め、角材で製品を固定しながら積み込みを行っている。

 また、日光事業所から出荷する伸銅品に関しては、5トンコンテナのサイズでは専用容器を3個しか積めず、しかも重量物のため二段重ねができないので輸送 効率が悪いうえ、最寄りの貨物駅は宇都宮(タ)しかないため荷物の集荷に時間がかかり、通運料金も高くついている。

 総体的に同社の鉄道コンテナに対する感想は、長距離輸送でトラックより輸送コストが少し安い程度で、料金面、リードタイムなどの面でも融通が利かない が、それでも鉄道コンテナを利用するのは、CO2削減など環境への配慮と長距離輸送時の安全性のためである。

 現にコンテナの利用は少しずつ増えており、今後もさらに増やしていくつもりで、具体的には「翌日朝納入」など納期の制約が無いところから、徐々にコンテ ナの利用を促進していきたいという。

 そのためにもJR貨物と通運事業者に対しては、例えば、日光から北九州までの輸送時間が、鉄道コンテナの場合は中2日とトラックより1日長く、リードタ イム面での圧縮や列車の締め切り時間の繰り下げ、製品の安全輸送の観点からコンテナ内に荷物を固定する工夫など、荷主と一緒に考えて欲しい、としている。


inserted by FC2 system