日本の鉄道貨物輸送と物流: 目次へ
とはずがたりな掲示板  鉄 道貨物スレへ  製 紙スレへ
大王製紙株式会社
2017.5.14作成開始

目次
1.大王製紙(株)の概要
2.大王製紙(株)のトピックス
3.伊予三島駅の貨物取扱量推移
4.三島工場の鉄道貨物輸送概況
5.その他工場の鉄道貨物輸送概況


1.大王製紙(株)の概要  

本 社所在地
(東京本 社)東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム
(四国本社)愛媛県四国中央市三島紙屋町628
設 立年月日
1943 (昭18)年5月5日
資 本金
427億 円(2018.9.30現在)
連 結売上高
5,315 億円(2018年3月期)
連 結従業員数
10,765 名 (2018.9.30現在)

*三島工場の生産量推移 (単位:トン)

パ ルプ

板 紙
紙・ 板紙
合計
古 紙消費
2000年
1,064,000
1,419,000
291,000
1,710,000
-
2007年
929,749
1,489,997
401,776
1,891,773
1,195,352
2014年
887,265
1,551,137
470,571
2,021,708
1,257,010
(『知っておきたい紙パの実際』より作成)


2.大王製紙(株)のトピックス  
▼効率化へ手綱緩めず 世界最大級の臨海工場 大王製紙 愛媛・三島 (2005 年3月15日付『日刊工業新聞』18面)
環境配慮、改善重ねる アジア市場の生産基地に

 製紙業界では中国などとの国際競争が本格化している。安価な輸入紙に対抗するには国内メーカーならではの高付加価値製品やサービスの強化と並び、製造コ ストの最小化が欠かせない。生産拠点の体質強化を加速している国内各社。その担当者が口をそろえて「理想的な製紙工場」と語るのが大王製紙の三島工場(愛 媛県四国中央市)だ。紙・板紙の生産量は年間193万トン(03年実績)と単 一工場としては国内首位。世界でも最大級を誇り、大王紙の成長エンジンとしてフル稼働を続けている。 (井上正広)

▽年産200万トン

 標高1,000メートル超の四国山地が、そのまま瀬戸内海に沈むような地形の四国中央市。その市内のどこからでも目に飛び込んでくる白い大煙突が、三島 工場のシンボル「エリエールタワー」だ。工場の敷地面積は、東京ドーム34個分に相当する約160万平方メートル。年産能力200万トンに及ぶ各種パルプ 設備と、新旧24台の抄紙機を擁する大王紙としては唯一の、しかし国内最強レベルの競争力を持つ紙・パルプ一貫工場として知られている。

 強さの秘密は瀬戸内海に短冊状に突き出す形で造築された通称「新工場」の存在にある。東西2面の岸壁の間に原料ヤード、抄紙機、塗工機、製品倉庫が直線 状に幾列も並び、工場内の横持ちロスが極めて少ない。

 また、外からはうかがえないが「水深が深く、10万トン級の大型船が接岸できる」(田中徹三島工場長代理)ため、石炭、木材チップの搬入や製品出荷の面 でも優れた効率性を発揮する。同業他社からは「右から原燃料を入れると、左から紙になって出てくる」などと、やっかみ半分でうらやましがられているほど だ。

▽輸送は船舶中心

 だが、三島工場の高い競争力は工場レイアウトに負うばかりではない。細かく積み重ねてきた環境対策や改善活動の成果も見逃せない。例えば同工場で使用す るエネルギーの原料別構成比の変化。02年に65%を占めていた石炭は04年には61%に減少した。一方で廃プラ固形燃料(RPF)の使用量は1.5%か ら7%に増加。昨年1月には通算4基目となるバイオマスボイラも稼動した。

 製品輸送については船舶を中心にロールオン・ロールオフ(RORO)船や 鉄道を活用しており、トラック輸送の比率は44%に まで縮小した。一方で、ボトルネックの解消などを通じて「関連会社を含め年間40万トン相当の増産ができた」(木原和憲常務)という。

▽輸入紙が増勢

 現在、国内の紙市場は印刷用紙を中心に、輸入紙が再び増勢に転ずる気配をみせている。また、家庭紙はメーカー間の激しい価格競争の真っ只中にある。いず れも生産コストの優劣が勝敗を大きく左右するため、三島工場でも「各品種ともほぼフル生産」(田中工場長代理)で対抗中。「合理化の余地はまだある」 (同)とも続け、効率化の手綱は緩めない方針。

 06年には、同工場西隣の三島川之江港に国土交通省が国際コンテナ埠頭を整備する予定で、大王紙は「中国などへの紙輸出に活用できる」(木原常務)と期 待を寄せる。同埠頭が完成すれば三島工場には国内にとどまらず、アジア市場をにらんだ生産拠点としての役割が加わりそうだ。

▼基幹工場の競争力強化 大王製紙 450億円投資 (2005年 6月21日付『日経産業新聞』13面)

 大王製紙は20日、三島工場への大型投資を発表した。紙の製造設備である抄紙機と製紙原料となるパルプの製造設備を新設する。新設する抄紙機の年産能力 は約29万トン。主に表面に光沢感のある塗工紙を生産する。設備の新設に伴い老朽化した抄紙機2台を停止することを検討しているが、三島工場の年産能力は 実質的に増加する可能性が高い。

 新設するパルプ製造設備は2台で、雑誌と新聞紙の古紙を原料とする。年産能力は2台合計で約28万トン。これに伴い、電力を使用する現行のパルプ設備を 停止する。

▼大王製紙 三島工場 漂白工程を無塩素化 32億円投資 今年度中に転換  (2005年7月27日付『日経産業新聞』15面)

 大王製紙は26日、三島工場(愛媛県四国中央市)の製紙原料パルプ漂白工程すべてを2005年度末までに無塩素漂白(ECF)に転換すると発表した。投 資額は約32億円。品質面で環境に配慮する姿勢をアピールし紙製品の拡販につなげたい考え。

 無塩素漂白ラインに転換するのは三島工場のパルプ設備。これまで同工場のECF化比率は50%だった。パルプ設備ではチップ(木片)を高温・高圧で煮て 取り出した繊維を漂白する。漂白に塩素ガスの代わりにオゾンを使う。オゾンを空気中の酸素を使用して製造する設備を導入する計画だ。

▼大王製紙、再生塡料を増産 一般印刷用紙にも活用 年360→3万トンに 完全再生紙拡充  (2007年1月10日付『日経産業新聞』17面)

 大王製紙は古紙を再利用する際に発生する廃棄物から製造した「再生塡料(てんりょう)」の生産能力を2007年中にも約100倍に引き上げる。三島工場 (愛媛県四国中央市)に20億−30億円投資して専用プラントを増設。需要家の環境意識が高まるなか、主要素材をリサイクル素材にした100%資源循環紙 (完全再生紙)を拡充し、製品の差別化を図る。

 再生塡料の生産能力を現在の年間360トンから同約3万トンにまで引き上げる方針だ。これまではコピー用紙に再生塡料を使用していたが、今回の増産に伴 い一般の印刷用紙向けにも活用していく。塡料は炭酸カルシウムやクレーなどの天然無機鉱物を使用するのが主流だが、大王は製紙スラッジと呼ばれる廃棄物か ら塡料を生成することに昨年、業界に先駆け成功した。泥状の製紙スラッジを高温で焼き炭酸カルシウムなど無機鉱物と不純物を分離する装置を開発した。

 通常、塡料は製紙原料に混ぜて使用するが、再生塡料はこれまで紙の白さを損なったり製紙用具を損傷させるなどの問題があった。同社は焼く際の温度調整を 工夫して、再生塡料の実用化にこぎつけた。再生資源から生成した塡料と古紙や植林木から製造した製紙原料を組み合わせると、主要素材すべてをリサイクル素 材で構成する完全再生紙の生産が可能となった。

▽塡料(てんりょう)
製紙原料のパルプの隙間を埋めて紙のなめらかさや不透明性を向上させる粉状の物質。印刷用紙や新聞用紙に欠かせない製紙素材の1つ。炭酸カルシウムやク レーなどが使用されるケースが多い。製紙スラッジを塡料化することで産業廃棄物の削減にもつながる。

▼大王製紙、大型設備導入 印刷用紙 1万トン増に抑制 国内月間出荷 需給の悪化回避  (2007年11月2日付『日経産業新聞』14面)

 大王製紙は印刷用紙の大型生産設備を導入したことに伴い、基幹工場である三島工場(愛媛県四国中央市)の生産品種の構成を見直す。新型設備の稼働率を引 き上げる一方で既存設備を他品種の生産に振り替え、印刷用紙の国内出荷増を月間1万トン程度に抑える。大幅増産による需給の悪化を回避する考え。

 三島工場では、チラシやカタログに使う微塗工印刷用紙などで月2万4千トンの生産能力を持つ新鋭機「新10号抄紙機」が9月に稼働した。今後印刷用紙の 既存設備は一部を停止。生産する品種をクラフト紙やコピー紙、段ボール原紙の中芯などに変更する予定だ。

 大王製紙は子会社も含め、塗工印刷用紙や微塗工印刷用紙を月間6万7千トン生産していた。既存設備の振り替えで、新10号がフル稼働になる1年後も同社 の印刷用紙の増産量は月1万5千トンほどの増加にとどめる。輸出も月4千トンから年内をメドに6千トンに引き上げるため、国内向けは1万トン程度、増加率 で15%程度となる見通しだ。

 製紙業界では、来年にかけて日本製紙、北越製紙、王子製紙が新設備導入を予定する。ただ原燃料価格の高騰でコストが上昇、各社とも製品価格引き上げを目 指している。王子と日本は既存設備の廃棄や減産に踏み切り、北越も輸出や他社へのOEM(相手先ブランドによる生産)供給を増やす方針を打ち出している。


3.伊予三島駅の貨物取扱量推移  

2011.11伊予三島駅 大王製紙(株)専用線
 1970(昭45)年4月4日に伊予三島駅に大王製紙(株)の専用線 0.9kmが使用開始された。(『四鉄史』1989年、p304)

 今なお現役であり、四国唯一の専用線である。三島工場内に敷設された専用線ではなく、工場とは少し離れた保管倉庫に直結した専用線というのが特徴的であ る。

 『愛媛県統計年鑑』は、愛媛県内の各駅ごとの発送量と到着量を車扱とコンテナに分けて掲載している。更に国鉄時代には品目ごとの輸送量も開示されてお り、資料的価値が高い。そこから伊予三島駅の貨物取扱量を抜き出して纏めたのが、下記表である。


【発 送】
【到 着】
【発   着】
年  度
紙 パルプ
そ の他
小  計
紙 パルプ
パ ルプ用材
林産品
化 学薬品
そ の他
小  計
合 計
1971 年度
189,065
3,473
192,538
39,862
12,635
1,674
9,284
63,455
255,993
1973 年度
180,695
3,836
184,531
37,098
8,670
1,229
12,193
59,190
243,721
1975 年度
169,181
2,265
171,446
26,377
8,568
272
9,676
44,893
216,339
1978 年度
174,487
1,315
175,802
12,848
7,576
33
4,756
25,213
201,015
1980 年度
145,753
860
146,613
3,473
19,610
-
3,670
26,753
173,366
1982 年度
155,290
261
155,551
907
9,754
-
2,506
13,167
168,718
1984 年度
117,179
68
117,247
-
-
628
78
706
117,953
1986 年度
102,391
-
102,391
-
-
-
-
-
102,391
(単位:トン)

 大王製紙向け化学薬品の到着は川之江駅だったようで、1980年代半ばまで伊予三島駅に化学薬品の到着は無い。川之江駅の貨物取り扱い廃止と共に化学薬 品も伊予三島駅着に変更となったようだが、そもそも取扱量が少なく、化学薬品の車扱輸送そのものがすぐに廃止されたようだ。


【発 送】
【到 着】
【発   着】
年  度
車 扱
コンテ ナ
小  計
車 扱
コンテ ナ
小  計
合  計
1987 年度
92,068
-
92,068
-
-
-
92,068
1989 年度
113,578
74,570
188,148
102
65
167
188,315
1991 年度
112,680
130,510
243,190
120
10
130
243,320
1993 年度
65,100
125,120
190,220
30
50
80
190,300
1995 年度
-
132,955
132,955
-
85
85
133,040
1997 年度
-
131,895
131,895
-
405
405
132,300
1999 年度
-
126,500
126,500
-
1,570
1,570
128,070
2001 年度
-
110,500
110,500
-
600
600
111,100
2003 年度
-
100,480
100,480
-
3,080
3,080
103,560
2005 年度
-
90,700
90,700
-
3,090
3,090
93,790
2007 年度
-
97,087
97,087
-
1,885
1,885
98,972
2009 年度
-
93,627
93,627
 -
2,935
2,935
96,562
2011 年度
-
116,866
116,866
-
3,200
3,200
120,066
2012 年度
-
110,816
110,816
-
2,710
2,710
113,526
2013 年度
-
113,124
113,124
-
2,345
2,345
115,469
2014 年度
-
116,857
116,857
-
2,480
2,480
119,337
(単位:トン)



4.鉄道貨物輸送概況  


▼枠いっぱい使い巻取紙 日通伊予三島支店 (1994年1月31 日付『運輸タイムズ』5面)

 日本通運(株)伊予三島支店は、伊予三島駅から大王製紙(株)の巻取紙を休日を含めて毎日、コンテナ枠いっぱいの76個(コキ15〜16両相 当)を発送している。

 送り先は、札幌(タ)、宮城野、東福島、山形、新潟(タ)、南松本、北長野、倉賀野、東京(タ)、静岡貨物、名古屋(タ)、富山貨物、金沢、岐阜 (タ)、大阪(タ)、梅小路の全国各駅。


*伊予三島駅発のコンテナ着駅一覧(2018年3月ダイヤ改正)
地  域
駅  名
北 海道
札幌 (タ)
東 北
盛岡 (タ)、東青森、秋田貨物、仙台(タ)
関 東
東京(タ)
甲 信越
黒井、南 長岡、新潟(タ)、北長野、南松本
東 海
静岡貨物
北 陸
南福井、 金沢(タ)、富山貨物
近 畿
吹田(タ)、大阪(タ)、姫路貨物、京都貨物、神戸(タ)、安治川口、百済 (タ)
四 国
高松(タ)

 伊予三島駅からの発送先は、東北や甲信越、北陸地方の貨物駅が多い。巨大なマーケットである関東は、意外にも東京(タ)だけである。船舶輸送がメインな のは当然だが、関東内陸へは鉄道コンテナ輸送されそうなものだが、集約されてしまったのかもしれない。

 それを示唆する事例として、越谷(タ)を取り上げたい。

 駅の正面に「大王製紙(株)越谷物流センター」があり、立 地からして伊予三島駅〜越谷(タ)駅で鉄道コンテナ輸送されていたと思 われる。

 物流センターの規模は、小さめの倉庫といった感であったが、2013年11月時点では存在していた。しかし、2016年6月時点では跡形も無くなって、 新築の住宅が建ってい た。

 物流センターの規模からして輸送量は限られていたと思われるが、臨海部の大型倉庫へ集約されたのであろう。 

2013.11 大王製紙(株)越谷物流センター


▼高度化する物流への取組みについて 大王製紙(株)三島工場製品部物流管理課  (『Monthlyかもつ』1987年8月号、p22)

 拠点については営業倉庫を集約し、自社センターを開設していく方針。すでに6か所ある自社倉庫に加え、更に数か所増設する計画。

 鉄道輸送面では、1970(昭和45)年に専用線が開通して以来、製品輸送に正確で安定した貨車を最大限利用し、ピーク時では月間18,000トンを輸 送していた。しかし1986(昭和61)年11月ダイヤ改正時より専用線からの発送は、飯田町紙流通センター向け15トン貨車、1日当たり20両、月間 7,500トンのみとなっている。10,500トンの物流の内一部はコンテナ輸送に置き換わっているものの大部分は他の輸送手段に変わったことになる。

 現状、四国から中部、関東方面へのコンテナ輸送は日数が多くかかることが欠点であり、また必要な時に必要なコンテナ輸送が確保できない等の問題点があ る。

 同社は1985(昭和60)年9月より水島臨海通運(株)と取引を開始し、新ルートによるコンテナ輸送を行っているが、これは荷主ニーズを的確につかん だ営業戦略を打ち出し、荷主サービスに取り組んで成果を上げた良い例である。

 コンテナ輸送を増量できるかどうかは、1988(昭和63)年3月ダイヤ改正にかかっており、同年4月の本四備讃線開通を心待ちにしている。

▼4月から専用線でのコンテナ出貨を開始 (『Monthlyかも つ』1988年3月号、p17)

 現在、車扱で飯田町紙流通センターへ大量の巻取紙を輸送している。4月10日から構内にコンテナ専用ホームを作り、コンテナ出貨が1日40個に増える予 定。

▼大王製紙(株)の物流 (『Monthlyかもつ』1990年 12月号、p17)

 大王製紙(株)三島工場 輸送量は135,000トン/月(船65%、トラック25%、レール15%)、専用線からIPC向け紙列車など20,000ト ン/月を発送



2018.6稲沢駅
 伊予三島駅の到着トン数は、一時期は年間100トン未満の微々たるも のだったが、2000年代から年間2,000〜3,000トンの輸送量に増えている。

 その輸送の一例としては、半田埠頭〜伊予三島間のコーンスターチ輸送を目撃している。
 半田埠頭駅が発駅であることから、日本コーンスターチ(株)が発荷主と思われる。コーンスターチは、紙の強度向上剤として利用されているものと思われ る。

 その他に故紙の輸送にも鉄道コンテナ輸送が活用されている可能性はありそうだ。




5.その他工場の鉄道貨物輸送概況


inserted by FC2 system