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株式会社ダイセル
2016.10.30作成開始

<目次>
1.ダイセルの概要
2.ダイセルの沿革
3.ダイセルのトピックス
4.ダイセルの鉄道貨物輸送
 @新井工場
 A姫路製造所 網干工場
 B大竹工場


4.ダイセルの鉄道貨物輸送

@新井工場

▼車扱

【アセトアルデヒド】
発駅
発荷主
品目
貨車/所有者
目撃・備考
椎津
住友化学工業(株)
アセトアルデヒド
タキ9263 ダイセル化学工業(株)
1999.3椎津駅
青海
電気化学工業(株)
アセトアルデヒド
タキ9255 電気化学工業(株)
2003.5新井駅

【液体塩素】
発駅
発荷主
品目
貨車/所有者
目撃・備考
酒田港
東北東ソー化学(株)
液体塩素
タキ135474 東北東ソー化学(株)
1999.2酒田港駅など ソーダニッカ扱い
浜五井
旭硝子(株)
液体塩素
タキ5450型

能町
日本曹達(株)
液体塩素
タキ75490 日本曹達(株)
2003.5新井駅
新南陽
徳山曹達(株)
液体塩素
タム12393 徳山曹達(株)


【苛性カリ・苛性ソーダ】
発駅
発荷主
品目
貨車/所有者
目撃・備考
酒田港
東北東ソー化学(株)
苛性溶液
タキ57784 東ソー(株)
1999.2酒田港駅など 三木産業扱い
浜五井
旭硝子(株)
苛性ソーダ
タキ7750型?

青海
電気化学工業(株)
苛性ソーダ
タキ7750型
2007.3新井駅
伏木
東亞合成(株)
苛性カリ液
タキ7063 東亞合成(株)
1999.4黒井駅

【酢酸】
発駅
発荷主
品目
貨車/所有者
目撃・備考
中条
(株)クラレ
酢酸
タキ3708 ダイセル化学工業(株)
タキ3753 (株)クラレ
2003.5黒井駅など
安治川口
ダイセル化学工業(株)
氷酢酸
タキ18701 ダイセル化学工業(株)
2003.5新井駅

【硝酸】
発駅
発荷主
品目
貨車/所有者
目撃・備考
速星
日産化学工業(株)
乙硝
タキ10728 日産化学工業(株)
2003.5黒井駅など

【プロピオン酸】
発駅
発荷主
品目
貨車/所有者
目撃・備考
大竹
ダイセル化学工業(株)
プロピオン酸
タキ750 ダイセル化学工業(株)
1984.1大竹駅

【硫酸】
発駅
発荷主
品目
貨車/所有者
目撃・備考
秋田北港
秋田製錬(株)
濃硫酸
タキ46043 秋田製錬(株)
1999.4黒井駅
神岡鉱山前
神岡鉱業(株)
硫酸
不明



▼コンテナ輸送
■専用線からコンテナ発送 利用個数従来の倍に (『運輸タイムズ』1995年 7月17日付、3面)

 ダイセル化学工業(株)では、新井工場が製造する工業製品のコンテナ輸送を昨年10月以降、従来の1カ月100個を200個に増やした。全社的な物流効 率化推進と輸送手段の見直しを行う過程で、JR貨物と相談し新井駅接続の専用線にコキ車を入線し、専用線からコンテナ発送が出来るようになったため利用個 数を倍増した。

 新井工場では従来、黒井駅からコンテナ輸送していた。工場専用線では、原料のタンク車到着と空タンク車の発送に使用していた。この専用線へコキ車を入 れ、コンテナへ製品を積み込んで発送するようにしたことにより、コンテナ発送個数がそれまでの1カ月100個から200個となった。

 専用線から出荷しているのは、網干工場向けの工業(中間)原料が中心で、フレキシブルコンテナ入り。着駅は姫路貨物。昨年10月以前は他輸送機関を使っ ていたが、拠点間の輸送効率化のため鉄道輸送に切り替えた。現在、専用線から発送しているコンテナは1日8個(土日、祝日を除く)、1カ月160個。

 このほか専用船から発送できない製品(1日8個を超える分)は従来通り黒井駅から発送しており、これは1日4個。送り先は北海道(配合飼料、苫小牧駅 着)、関東(食品防腐剤、隅田川駅着)、九州(飼料、福岡(タ)駅着)など。

 尚、姫路貨物駅へコンテナ輸送し、神戸港国際埠頭から海上輸送していた輸出品は、阪神大震災で神戸港から出せなくなったため、隅田川駅へコンテナで送り 東京、横浜港から海上輸送している。

 同社は新井工場、網干工場、大竹工場など全国の工場でコンテナ輸送しているが、新井工場が専用線からのコンテナ輸送を増やしたのは、物流費の軽減と納期 を確保するのが目的。同社によると200kmを超えるとトラックより鉄道運賃が有利になり、それ以上の遠距離では、製品単位当たり運賃はかなり安くなる。 納期については北海道向けの場合、黒井駅発北海道行き列車の指定枠が優先使用できるため、到着日指定で発送している。

■ダイセル化学工業(株)新井工場の調達原料 車扱輸送をISOコンテナ 化  Y・S物流(株) (『JR貨物ニュース』2005年9月15日号、3面)

 ダイセル化学工業の新井工場には引込線があり、安治川口駅からタンク車で化学 原料が届く。2年前まで同工場には千葉の京葉久保田駅からもタンク車で原料が届いていたが、同ルートは今ISOタンクコンテナ輸送に切り替わっている。調 達物流である本輸送をコンテナ化したY・S物流にその経緯を聞いた。

 ダイセル化学工業の出発点はセルロイド製造。同社は今日酢酸セルロース・有機合成品などを基幹事業として、たばこのフィルターや写真フィルムなど他用 途の各種製品を生産している。
 2年前に京葉久保田駅発(筆者註:椎津駅の誤り、発荷主は住友化学)ダイセル化学工業の新井工場にタンク車で車扱輸送していた調達原料をコンテナ化した 時の経緯を同輸送を請け負うY・S物流の藤本憲治取締役事業本部長は、次のように語った。

 「調達資材については、通常、納入側で輸送してもらいますが、新井工場の同原料は従来からダイセル化学工業のタンク車で運んでいたので、タンク車の老朽 化に伴い輸送手段をどう切り替えるか、ダイセル化学の支援を受け検討しました」。
 ISOタンクコンテナは総重量24トンまでしか積めないが、製品比重は0.78なので22キロリットルになる。30キロリットル用のタンク車よりは少な いが許容範囲だった。
 輸送容器をコンテナに切り替えると、専用線上の抜き取り装置を 使えないので、他所に新設する必要もある。また発駅側はごく短距離だが、着駅の黒井駅か らは新井工場まで22kmの配送が新たに生じる。

 これら様々な要素を一つ一つ検討しながらアセスメントを行った結果、コンテナ化後も継続的に輸送することになった。
 製品が危険物なので、タンク車で長年利用してきた鉄道の安全性を評価したためだ。コンテナは日本陸運産業(株)の保冷機能付きタイプをリースして、集配も同社に依頼するこ とに した。

 2年を経過した現在、月間300〜350トンが、新井工場にISO タンクコンテナで到着している。「中越地震の時もJR貨物から迅速に情報を流してもらったので適切な対応が取れた」とか。
 一方、安治川口駅発新井工場行き車扱輸送で運用しているタンク車(筆者註:タキ 18700などによる氷酢酸輸送)も、耐用年数が迫っている本ルートのコンテナ化も今後の検討課題で あること、またダイセル化学工業(株)堺工場の機能が2007年末に大竹工場に移転するのに伴う、輸送手段の変更についてもアセスメントが既に始まってい るこ とを、藤本部長は明らかにした。

 同社の製品物流は鉄道利用の目安として、500km以遠としてい る。殆どが5トンのJRコンテナで、その利用量は、新井工場が黒井駅発で年間1万トン、網干 工場が姫路貨物駅発で同5万トン、大竹工場は大竹駅発で同1万トンに上る。

 先に紹介した「黒井駅 40フィート海上コ ンテナ取扱可能に 24トンISOタンクコンテナも」(『JR貨物ニュース』2000年4月15日号4面)の記事の写真には、NRS所有「グリオキザール 専用」のISOタンクコンテナ写真が写っている。ちょうど上部左のタイプのコンテナだ。
 記事中には、24トンタンクコンテナは、ダイセル化学工業が使 用。欧州に向け輸出することを検討。鉄道での輸送区間は黒井駅〜東京(タ)駅間 で、その後は東京港から 仕向け先港へ運ばれるとのこと。
 また同社はグリオキザール専用のタキ8250形を所有し、新井〜関西方面に運用されていたので、国内輸送用のISOタンクコンテナである可能性もあろ う。
 ただ、2007年3月に黒井駅を訪問した際にはこのグリオキザール専用のISOタンクコンテナを目撃しておらず、現在も輸送が継続しているのか、気になると ころではある。

 ジエチルアミンはダイ セル化学工業のwebサイトには、有機合成カンパニーの合成品事業の製品として載っている。
 また製法はアセトアルデヒドにアンモニアや水素を反応させるというもの。原料から製品までISOタンクコンテナで鉄道輸送されているわけで、興味深い。

 ダ イセル化学工業のwebサイトによると1940年に新井工場でアセトンの製造を開始したとあるが、これは石油化学が発達する前のカーバイド化学の 時代であるし、原燃料購買のページに は、購入する原料の1つにアセトンがあり、現在は新井工場でアセトンの製造は行っていないと思われる。そのためこのISOタンクコンテナはダイセル化学工 業への原料輸送ではないか。

 安治川口〜新井間で行われていたタンク車による氷酢酸輸送は、 ISOタンクコンテナ化されたようで安治川口駅と黒井駅の両駅で無水酢酸専用コンテナを目撃した。これらは全く同じコンテナではないが、共にJOT所有の 形式番号の近い両コンテナの目撃からコンテナ化は確実だと思われる。

▼その他の黒井駅に発着するダイセル化学工業(株)新井工場が荷主のコンテナ輸送
発 駅
発 荷主
品 目
着 駅
着 荷主
コ ンテナ
確 認・備考
東水島
日合
ゴーセノール
黒井
ダイセル化学
V18C
1999.4.2黒井 ゴーセノールはポリビニルアルコール。
日本合成化学工業(株)は水島工場あり。(→拙 web参照
 黒井駅発送のダイセル化学工業が発荷主である12ftコンテナ輸送の目撃をこれまでしたことがない。年間1万トン程の輸送があるとのことなのに限られた 地 域向けなのか。


A姫路製造所 網干工場

■運賃次 第で利用減 コスト重視から (『運輸タイムズ』1995年5月1日付、3面)

 ダイセル化学工業(株)姫路製造所網干工場は、日曜日を除く毎日、35個の12ftコンテナで姫路貨物駅から富山貨物駅へ化学工業品(25kg、 30kg袋詰め。シートパレット使用)を輸送している。1994年3月、姫路貨物駅開業時に車扱をコンテナ化。1カ月の利用個数は870個。

 安全・確実性と運賃メリットから、輸送条件が合えばコンテナ利用個数を増やすが、運賃割引の見直しが行われると現行の利用個数を減らすこともあるとい う。



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